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サウジとフランスの関係:可能性は無限大

エマニュエル・マクロン仏大統領と握手するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(SPA)
エマニュエル・マクロン仏大統領と握手するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子。(SPA)
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23 Jun 2023 03:06:55 GMT9
23 Jun 2023 03:06:55 GMT9

23日は、サウジアラビアとフランスの関係という文脈でいえば、素晴らしい2週間の締めくくりを意味する。両国の関係は再び活性化して熱を帯び、最大限の可能性を引き出すための良い方向に向かい始めている。

サウジアラビアのアーディル・アル・ジュベイル外務担当国務大臣はサウジとフランスの外交関係において起きたことは「飛躍的進歩」だと、ふさわしい表現で語った。パリで行われたアラブニュース・フランス版のインタビューでジュベイル氏は、この飛躍の原動力となったのは「両国を高みへと押し上げるビジョン、野心、勇気を持った2人の若きリーダー」だと、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とフランスのエマニュエル・マクロン大統領について述べた。 「これは様々な要素の結集です」アル・ジュベイル氏はそう続けた。

この飛躍的進歩は、Vision Golfe 2023――フランス経済・財務・金融・デジタル主権省主催――における高レベルの参画や、  複数の地域および国際問題に対する両国の政治的整合性を通じて見えてくる。両国はフランス・サウジ投資フォーラムにて、24の基本合意書に調印を行った。

今週行われた2030年国際博覧会(Expo 2030)のレセプションでは素晴らしいプレゼンテーションが行われ、ハーリド・アル・ファーレフ氏やリーマ・ビント・バンダー王女をはじめとするサウジの各大臣や建築家たちが、サウジアラビアがExpo 2030をリヤドで開催すべき理由を訴えた。サウジアラビアで起きている素晴らしい変化について、そして世界がサウジアラビアに向かうべき理由について詳細に語るサウジの関係者たちからは、圧倒されるような誇りが伝わってきた。

パリ航空ショーでは、サウジとフランスの関係は文字通り空へと舞った。主要プレイヤーとしての役割を果たしたのはサウジアラビアの格安航空会社フライナスで、同社は航空宇宙メーカーエアバスに対し合計37億3,000万ドル相当の航空機30機を発注した。またエアバスは、サウジアラビアで地元の防衛企業と協力して軍用および民間用ヘリコプターの製造を行うための250億サウジアラビア・リヤル(67億ドル)超の投資合意に署名した。

そして最後に、サルマン皇太子自らが新国際金融協定サミットの代表団を率いた。

それは実に素晴らしい2週間だった。

だが、今回のサウジとフランスの関係の飛躍的進歩には具体的に何が伴い、それはどのように生じたのか?まず私たちは、これが突然の成功やサプライズではなかったということを理解する必要がある。これは長年にわたって取り組みが行われてきた、多角的な関係なのである。

文化面では、本紙コラムでサウジアラビアのバドル・ビン・アブドゥラー・ビン・ファルハーン王子 文化大臣が述べたように、私たちは「サウジとフランスの文化協力における黄金の5年間」を祝しているのである。ファルハーン王子は、次のように書いている。「過去5年間、私たちの文化協力には質的転換がありました。それはサウジとフランスのリーダーたちが、2国関係の強化を継続するためのこの協力の重要性を共に認識し、コミットしてきたおかげです。サウジビジョン2030は膨大な好機を生み、私たちはこの好機を活かすために世界のパートナーたちと協力しています」

サウジアラビアと同じく、フランスも、歴史や文化と同様に未来の相互利益の機会を重視している。実際、Vision Golfe 2023でサウジアラビアのバンダル・アル・ホレイフ産業・鉱物資源大臣は、フランス企業を歓迎し、またフランス企業が貢献できる12の分野について概要をまとめた。

だからこそ、今週行われたサウジ・フランス投資フォーラムでフランスの外国貿易大臣が、サウジアラビアを同地域におけるフランスの筆頭貿易パートナーだと述べたこともなんら驚きではなかった。

政治的には、多くの地域および国際問題において明確な一致が見られる。2つの例としてウクライナにおける平和的解決の必要性、中東の安定の必要性が挙げられるが、おそらくサウジおよびフランス政府共にほぼあらゆるトピックで見解が一致していると言えるだろう。唯一の例外になり得るのはレバノンだ。サウジ政府は、レバノンが自国の問題を自ら解決しなければならないと何度も伝えており、空白となっている大統領職について、特定候補を支持することを避けている。

それ以外には障害はないように思える。新たなサウジアラビアで起きている変化、改革、機会を考えたときに、このパートナーシップがどこまで大きなことを成し遂げることになるのかは誰にもわからない。

3年後、サウジアラビアとフランスは国交樹立100年を祝福することになる。サウジアラビアのアル・ファーレフ投資大臣は次のように述べている。「ビジョン2030におけるサウジアラビアの成果の多くには、サウジ・フランス関係の歩みが刻まれることになるでしょう」

この2週間を通して、フランスはサウジアラビアと協力し、パートナーでいることの意味を知った。グラン・パレ・エフェメールで行われたExpo 2030レセプションの壮観なショー、そしてそこに出席した地球軌道上から帰還したばかりのサウジアラビアの宇宙飛行士アリ・アルカルニ氏とラヤナ・バルナウィ氏のおかげで、少なくともサウジアラビアとフランスの関係については、文字通り可能性は無限大のようだ。

  • ファイサル・J・アッバスは、アラブニュースの編集長。

    Twitter: @FaisalJAbbas.

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