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地球のために、COP28開催国への非難を止めよ

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15 Jul 2023 04:07:57 GMT9
15 Jul 2023 04:07:57 GMT9

11月と12月にCOP28気候変動会議を開催するUAEは、中東で初めて締約国会議を開催する国ではない。実際、COP18はドーハで開催され、昨年のCOP27はエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された。

実はそのシャルム・エル・シェイクで、中東が世界平均の2倍の温暖化を経験しているという驚くべき調査結果が発表された。この研究では、1981年から2019年までに収集されたデータに基づき、中東と東地中海では10年あたり平均0.45℃の上昇が確認されたが、世界平均の上昇は10年あたり0.27℃であった。この観測結果は愕然とするものであり、憂慮すべきものである。

中東は、世界平均のほぼ2倍の速度で地球温暖化を真正面から経験しており、その人々と経済に壊滅的な影響を及ぼす可能性がある。この地域の約4億人が、極度の熱波、長期にわたる干ばつ、海面上昇のリスクにさらされている。

前述の調査によると、より暑く乾燥した気候によって、生活の「事実上すべての」分野が「深刻な影響を受ける」という。
その結果、死亡率が上昇し、この地域の「富裕層と最貧層の不平等」が増す可能性がある。

中東は気候変動により深刻な被害を受ける可能性が高いだけでなく、気候変動に大きく寄与する可能性がある、と研究結果は続けて指摘する。石油が豊富なこの地域は、近い将来、世界の主な温室効果ガス排出源のひとつになる可能性があるとしている。

COP28の開催地にドバイが選ばれたことは、一見すると尋常でないように思えるかもしれないが、無意味ではない。
それどころか、地球温暖化問題解決の核となるべき中東の国家が、この会議の編成の前面に置かれているのだ。

UAEは1980年代以降、急激な経済成長を遂げ、その成功の犠牲者となってきた。特にドバイは、昔も今も突き抜けた都市である。しかし近年、UAEは路線を変更し、エコツーリズムの先駆者というイメージに変わろうとしている。アブダビ中心部から20kmほど離れた広大な砂漠の一画が、現在マスダール・シティ(マスダールはアラビア語で「源」の意)となっている。2030年に完成予定のこの「エコシティ」は、再生可能エネルギー、低炭素交通網、廃棄物ゼロ戦略によって導かれている。

COP28の開催地選定を批判する人々は、パンデミックのように地球温暖化にも国境がないことを忘れているのではないだろうか。

COP28議長に指名されたスルタン・アル・ジャベール氏は、昨年こう発表した。「エネルギー転換の基本的な課題は以下の通りである。第一に、排出を抑制しながら、いかに経済を成長させるか。第二は、エネルギー安全保障と気候変動の対策を同時に維持する方法である。第三は、誰も取り残されないようにする方法である。私たちはこれらの課題を共に解決することができるし、しなければならない、せざるを得ない、と私は信じている」

COP28での議論を指揮する議長の揺るぎない決意に注目したい。2006年、アル・ジャベール氏はわずか33歳で再生可能エネルギー企業、マスダールを設立した。

2009年、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長(当時)は彼をエネルギーと気候変動に関する諮問グループに任命した。

グループは翌年、重要な報告書を発表した。同時にアル・ジャベール氏は、アブダビに国際再生可能エネルギー機関の本部を設置する許可を得た。

COP28の開催地選定を批判する人々は、パンデミックのように地球温暖化に国境はないということを忘れているのだろう。

ナタリー・グーレ

2010年以来、アル・ジャベール氏はUAEの気候変動担当特使を2期務め、2050年までに炭素排出量を正味ゼロにするという国の公約を果たすことを使命としている。この公約は、2015年のパリ協定に従ってなされ、UAEは中東で初めて気候変動対策に向けた決意のある一歩を踏み出した国となった。

アル・ジャベール氏は、エネルギー転換に対する現実的なアプローチを提示し、気候変動対策、エネルギー安全保障、経済成長を同時に確保するための、現実的で実用的かつ経済的に実行可能な計画を求めた。

「先進的な気候変動対策は必要であるだけでなく、強力な経済的推進力にもなり得る。うまくやれば、世界を新たな低炭素・高度成長発展の軌道に乗せることができる。だから、私たちは気候変動への挑戦をチャンスとしてとらえ始めなければならない」と彼は2021年に述べた。

「世界は手に入るあらゆる解決策を必要としている。世界が必要としているのは、石油やガスまたは太陽光ではなく、風力か原子力または水素でもない。石油とガスと太陽光と風力と原子力と水素だ。上記のすべてと、まだ発見、商業化、展開されていないクリーンエネルギーである。要するに、世界は最大限のエネルギーと最小限の排出を必要としているのだ。

アル・ジャベール氏は、パリ協定に沿った実用的かつ現実的な目標、すなわち気候変動に対する野心を高めるという目標を示している。

UAEが採用したアプローチは、再生可能エネルギー分野のパイオニアとしての立場と、この地域で最初に原子力を導入した国としての立場を反映している。

さらに、パリ協定の第4条第4項に従い、経過目標は、明日のクリーンエネルギーに投資する一方で、今日のエネルギーシステムをよりクリーンにするために、他国と提携し、連動することによって推進される。

パリ協定はこう定めている。「先進国側は、引き続き経済全体の絶対排出削減目標に率先して取り組むべきである。途上国側は、引き続き緩和努力を強化すべきであり、さまざまな国情に照らして、経済全体の排出削減または制限目標に向けて漸進的に移行することが奨励される」

アブダビ国営石油会社の最高経営責任者(CEO)であり、石油業界の重鎮であることから、アル・ジャベール氏の指名には批判が多い。しかし、締約国会議には締約国の代表だけでなく、地方自治体、非政府組織、科学者などの非国家関係者も参加していることを強調しておきたい。このように、気候変動という緊急事態に対処するために、可能な限り広範な利害関係者を参加させることは、各会議のDNAとなっている。

この多様性は、集団的な気候変動対策の加速化と強化という唯一無二の目標を目指している。

アル・ジャベール氏の専門的能力は、利害の衝突とみなされるべきではなく、むしろエコロジー転換のために行動できるエネルギーの専門家とみなされるべきである。

国連安全保障理事会のメンバーであり、国際社会の重要な一員であり、宗教的過激主義やムスリム同胞団との闘う当事者であり、地球温暖化の犠牲者であり、エネルギーの主要な消費者であるUAEがCOP28を主催し、議長を務めることは十分に正当化される。

「家が燃えているのに、私たちはよそを見ている」2002年に、ジャック・シラク・フランス大統領(当時)が発したこの言葉は、今日でも通用する。地球の運命がこの会議にかかっているのだから、不毛な論争はやめなければならない。

  • ナタリー・グーレ氏はフランス元老院議員で、オルヌ県(ノルマンディー)の代表を務める。

ツイッター@senateur61

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