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2030年万博:サウジアラビアは宗教間協力の世界的リーダー

万博開催候補都市が現在のサウジアラビアほどに大きな貢献を果たすのはめったにないことだ(ファイル/AFP)
万博開催候補都市が現在のサウジアラビアほどに大きな貢献を果たすのはめったにないことだ(ファイル/AFP)
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08 Oct 2023 02:10:51 GMT9

2030年国際博覧会の開催都市として、「The Era of Change: Together for a Foresighted Tomorrow(変化の時代:先見性のある明日のために共に)」をテーマを掲げるリヤドが選出されることを熱烈に支持する人々に私も加わりたい。万博開催候補都市が、1400年の歴史を持つイスラムの信仰と遺産に深く根ざしつつ、人類のための持続的な未来に向けた革新的なアイディアと記念碑的なプロジェクトという点で現在のサウジアラビアほどに大きな貢献を果たすのはめったにないことだ。

しかし、古い考えは根強く、リヤドは狂信的で不寛容で人を寄せ付けない場所であり非イスラム教徒は歓迎されないと考える人がとても多い。そのようなイメージは、サルマン国王陛下とムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下の大胆かつ先見の明のあるリーダーシップのおかげで完全に時代遅れとなっている。サウジアラビア王国は2015年以降、一連の歴史的イニシアティブを導入することで世界に対し自国を開き、その過程でグローバル・コネクティビティ、気候行動、女性のエンパワーメント、そして映画や音楽などの文化分野の急成長のハブになりつつある。

サウジアラビアの文化的変革は確かに目を引くが、宗教間の対話や協力の強化に向けたサウジの先駆的努力も同じくらい徹底的であり、長期的意義ははるかに大きい。

私は個人的に、寛容を推進し、アブラハムの宗教であるユダヤ教とイスラム教が共有する遺産や両宗教間で密接に結びついた儀式、礼拝、価値観を強調するためのサウジの多方面の取り組みを目の当たりにし感銘を受けてきた。それら全てに導かれた私は、2008年にスペインのマドリードでその種の会議としては初めて開催された「世界対話会議」の壇上から、「イスラム教とユダヤ教は共通の信仰と共通の運命を共有している」と宣言した。この大胆な発言は当時の多くの人にとって大げさに聞こえたが、それ以降、サルマン国王陛下率いるサウジの政界や宗教界の指導者たちはユダヤ教世界のパートナーたちと緊密に協力して、イスラム・ユダヤ関係を変革し、共存を力強い現実に変えてきた。

私は個人的に、寛容を推進するためのサウジの多方面の取り組みを目の当たりにし感銘を受けてきた。

ラビ・マーク・シュナイアー

マドリードでの歴史的な会議の後、サウジアラビアはこの夢を現実に変えるための持続的努力を開始するべく、キング・アブドゥラー・ビン・アブドルアジーズ宗教間・文化間対話国際センターを設立した。欧州を拠点とする同センターはサウジ国内や世界各国で、宗教的多元主義の推進、ヘイトスピーチへの対抗、全ての宗教の聖地の保護のためのイベントを多数行っている。

メッカを拠点とするムスリム世界連盟は、宗教間の協力やアウトリーチ活動を促進するうえで、特に世界のユダヤ教徒との関係において極めて大きな役割を果たしてきた。同連盟は2019年、私が会長を務める「民族理解のための財団」のパートナーとなり、30ヶ国以上でモスクとシナゴーグをペアにする世界的取り組みを始めた。

2020年1月には、元サウジ法相でムスリム世界連盟事務総長のムハンマド・ビン・アブドゥルカリーム・アル・イーサ博士がアウシュヴィッツ強制収容所を解放75周年に訪問し、同収容所でナチスに殺害された何百万人ものユダヤ人に対する連帯を表明した。2022年には、同連盟の後援によりリヤドで「宗教信者の共通の価値観に関するフォーラム」が開催され、世界各国からイスラム教、ユダヤ教、キリスト教、ヒンズー教、仏教の指導者が集まった。

サウジは、イノベーション、持続可能性、文化交流、宗教間協力において世界の十字路に位置している

ラビ・マーク・シュナイアー

サウジアラビアは2019年、穏健で寛容なイスラム教の推進に対するコミットメントを明示するべく、聖地メッカで会議を開催した。この会議では、世界最高のイスラム学者たちが「メッカ憲章」を採択した。同憲章は世界中のイスラム教徒に対し、世界の宗教間の多元主義、理解、相互尊重など、イスラム教の真の意義を物語る原則に関する指針を提示するものだ。同憲章は感動的なことに、「信仰、文化、性質における人々の間の違いは神の意志と知恵の一部である」と断言している。

サウジのイスラム問題・布教・指導省が今年の夏に開催したフォローアップ会議には、85ヶ国から一流のイスラム学者、ムフティー、宗教指導者・思想家など150人が集まり、イスラム教の中核的な価値観としての慈悲、穏健、正義を推進した。この会議のコミュニケはそれと同時に、イスラムの教えを曲解し、世界の社会間の対立を煽り、混乱と不安を広めている過激派組織による悪影響を非難した。この変化したアプローチを表明するように、サウジの学校教科書は宗教間・国家間の平和と相互理解を推進するものに改訂されつつある。

宗教間・文化間対話の分野におけるこれらの変革的取り組みゆえに、リヤドが2030年万博の開催地として選出されることは自然な成り行きであり、皇太子殿下による画期的なビジョン2030における大胆な計画を具体的に明示するものとなるだろう。リヤド万博が実現すれば、イノベーション、持続可能性、文化交流、宗教間協力において世界の十字路に位置するサウジを祝福するものとなるはずだ。

  • ラビ・マーク・シュナイアーは、「民族理解のための財団」の会長を務めている。著作に『Sons of Abraham: A Candid Conversation about the Issues That Divide and Unite Jews and Muslims(アブラハムの息子たち:ユダヤ教徒とイスラム教徒を分断または一つにする諸問題についての率直な会話)』がある。
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