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東へと進むことは西洋無視を意味するものではない

24 Feb 2019 09:02:32 GMT9

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が先日無事に終えたパキスタン、インド、中国歴訪では、そのすべてが有用なものであるとは限らないが、必然的に多くの分析を生み出した。このアジア3か国歴訪が、サウジアラビア政府が長年同盟関係にある西洋の国々、すなわち米国とヨーロッパに背を向けるものであると考えることは誤りであり、愚かなことだ。

確かに、イエメン内戦と昨年のジャマル・カショギ氏の殺害という恐ろしい事件により関係は揺らいでいる。しかし、アデル・アル・ジュベイル外相はマナーマ対話において、米国との関係は依然として「鉄のように強固」であると述べた。

これについては二つの説明がある。一つ目の説明は、シャルム・エル・シェイクで開催されようとしている初のアラブ・ヨーロッパサミットにサウジアラビアがハイレベルで参加することだ。サルマン国王が直接代表団を率いることは、ユーロ圏との関係が重要であることを示唆するものと言える。もう一つの説明は、駐米大使にリーマ・ビント・バンダル王女を任命したことだ。前任は彼女のいとこにあたるハリド・ビン・サルマンで、今回副国防相に任命された。

ムハンマド皇太子のアジア3か国歴訪が、サウジアラビア政府が長年同盟関係にある西洋の国々、すなわち米国とヨーロッパに背を向けるものであると考えることは誤りであり、愚かなことだ。

ハリド王子は戦闘機の元操縦士で、国防大臣でもある皇太子の兄弟だ。米軍との広範囲にわたる関係を持つため、内閣の運営をサポートする候補として常に理想の存在であり続けている。サウジアラビア大使館の彼の後継者に、再び目立つ王族が選ばれたことは、サウジアラビア政府が引き続き米国との関係強化を目指していることを断言しているに他ならない。

もちろんリーマ王女は米国政府にとってまったく知らない人ではない。リーマ王女は、長年駐米大使を務めたバンダル・ビン・スルターン王子の娘である。スルターン王子は「バンダル・ブッシュ」というあだ名がつくほどの伝説的な外交官である。

父親が娘にアドバイスをするよう期待されることもあろうが、リーマ王女は米国との関係を一歩前進させる力を十分に持っている。彼女は米国で生まれ、学び、大学を卒業している。彼女の個人的な連絡先リストには、連邦議会議員から、米国のトップビジネスオーナー、そしてハリウッドの大物俳優までさまざまな名前が並ぶ。

サウジアラビアでは、政府の官僚主義やかつての女性に対する制約に抵抗し、スポーツ、ビジネス、市民社会の分野における女性の権利を拡大した。ムハンマド皇太子のアドバイザーを務めたが、ここ数年、彼女に対する皇太子の信頼は非常に大きいものであった。リーマ王女は優れた主催者であり、優れた演説家であり、苦しい状況下でも国際的なイベントやテレビインタビューでは同国をしっかりと代表してきた。

彼女が直面する課題は容易なものではないが、これまでの課題はこの家族が解決してきた。2001年9月11日の事件の後に米国との関係を修復したのはバンダル王子であった。イエメンとカショギ事件、そして米国政府自体の内部組織によって作り出されたでこぼこ道を運転していけるかは、リーマ王女次第である。彼女以上に有能な運転手は他にいまい。

  • ファイサル・J・アバスはアラブニュースの編集長です。

Twitter: @FaisalJAbbas

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