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G20大阪サミットから得た5つの教訓

30 Jun 2019 02:06:00 GMT9
  • 世界貿易、地政学、気候変動。これらがG20大阪サミットの公開セッションで議論された重要な問題でした
  • G20の首脳たちが一堂に会したインテックス大阪は、大阪湾の人工島にあるため、容易に安全を確保できました。

大阪:G20は非常に重要なイベントです。国家の需要と、G20の開催国の国際的な認知度に与える影響の両面で重要なのです。終わったばかりの大阪サミットでは日本がこのことを理解しました。来年G20リヤドサミットが開催されるまでの数カ月間で、サウジアラビアが徐々にこのことに気づくことになるでしょう。
G20は、非常に大きな経済的・政治的権力を持った首脳たちが直接意見を交換する唯一の常設の場ですが、常に同じ場所で開催されるわけではありません。それゆえG20は開催国や開催都市は持ち回りで行われています。G20の準備のため開かれたさまざまな会議は別として、大阪はここ数日間G20一色でした。

日本で開催されたサミットに参加して私が得た5つの教訓は以下の通りです。

1)G20は、国際的な意思決定を行うための真剣な討論の場です。確かに、イベントの多くは広報やイメージに関わるものです。大阪の街やTwitter上では、「集合写真」に関する細々としたことについて、延々と考察していました。しかし、これがG20の本質というわけではありませんでした。世界貿易、地政学、気候変動などの重要な問題こそが大事な議題であり、公開セッションでの焦点であることに間違いありません。非公開ではあるものの忌憚のない意見が交わされる二国間協議ではなおさらのことです。大阪での討論が今後の政治動向に確実に影響を与えることでしょう。

2)しかし、PRも重要です。首脳たちのボディー・ランゲージ、他の出席者に対する反応、首脳たちが示すちょっとした個人的特徴を見ていると、国際関係の変化について多くのことがわかります。おそらく、今回のG20で最も印象的だったのは、辞任するイギリスのテレサ・メイ首相とロシアのウラジミール・プーチン大統領が握手するシーンでしたが、ドナルド・トランプがプーチンと少しの間談笑していたことは、アメリカ本国に大きな波紋を投げかけることでしょう。「集合写真」の駆け引きについては、仲間というものがどれほど難しい存在なのかは皆よくわかっていることですよね。

3)大阪は良い会場でした。首脳たちが一堂に会し、メディアが討論を行った国際展示場(インテックス大阪)は、大阪湾の人工島にあるため、容易に安全を確保できました。建物の外観が美しいわけではありませんが、利用目的に合わせて建てられたと言って良い会場です。日本の公共交通機関は優秀で安価であり、タクシーを利用できないという欠点を補っています。警察やその他の警備員は、英語があまり流暢ではなかったものの、皆あたたかく親切でした。リヤドは、大阪に負けないようしっかり準備する必要があるでしょう。

4)日本のG20開催を支援した報道陣は、私が今まで見てきた中で一番手際が良かったです。こういった大きなイベントの場合、失敗したり、タイミングを逃したり、個々のジャーナリストの要望を忘れたりするのは良くあることです。私の身にはこういったことは全く起こりませんでした。首脳同士が行う二国間での非公開の会談についてのプレス・ブリーフィングの質は、期待通り高いものでした。

5)日本は、間違いなくキャッシュレス社会になりつつあります。緊急時に使うだけであっても、財布にお金を入れずに外国を訪れたことはないと思います。しかし、私は大阪で一度もATMを使いませんでした。クレジットカードやペイメントカードは、あらゆる場所で考え得るあらゆる製品、サービスに対して使えました。実際、大阪にいた3日間で、現金で支払う人は全く見かけませんでした。

最後に、1つささいな不満点を挙げるとすれば、日本のこの時期の天候です。ロンドン出身ですので、寒くて湿度が高いのは構いません。中東に住んでいるので、暑くて湿度が低いのも耐えられます。しかし、暑くて湿度が高いのは耐えられません。大阪ではほぼこういう気候なのです。リヤドにはこういった気候の問題はなさそうです。

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