Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

OPEC+は価格ではなく、市場のファンダメンタルズを考慮する。

Short Url:
03 Jun 2020 06:06:58 GMT9
03 Jun 2020 06:06:58 GMT9

Faisal Faeq

4月12日に行われた、10回目のOPEC加盟国や非加盟国の大臣級の臨時会議では、さらなる会議が6月上旬にビデオ会議で行われることで合意に達した。

その会議の目的は、市場を均衡状態にするのにどのような追加の措置が必要かを決めることになるだろう。

OPEC+にとっては、歴史上最も大きな産油量削減を乗り越えてから、比較的好調な1ヶ月が続いた。この産油量の減少は世界全体の供給量のほぼ10%に値し、短期間での解決策を求めるのではなく、中期間にわたって市場を均衡状態にすることを目的としていた。世界中でロックダウンが解除されることで需要が部分的に回復したことは、OPEC+の目的達成の一助になったが、それは、パンデミックによって失われた、2千万バレルの石油需要と、それに関連した、交通への影響を帳消しにするのに十分かという大きな疑問が残る。

ブレント原油の価格は1バレルあたり16ドルに下落した4月と比べると、極度に狭い価格帯(1バレルあたり30ドルから35ドル)で推移している。

この価格上昇は、著しいものではあるが、それに対応してファンダメンタルズが改善するというわけではない。OPECの産油国が2002年以来最も低いレベルまで原油生産量を減少させたとはいえ。

ロックダウンが需要を奪ったことによって起きた供給過剰が、産油量の減少によって緩和されるにつれて、明確な変化が市場に観測されなければならない。

したがって、OPEC+の産油国は、市場の様子を見ながら、空前の産油量削減を今年の終わりまで続けるか、あと数ヶ月延長するかを考慮しなければならない。

産油量減少によって徐々に供給過剰が緩和されるにつれて、石油市場はより明確な変化を観測しなければならない。

Faisal Faeq

7月から、この削減を緩和するのは、市場感情によっては、選択肢というよりも、避けがたいことになるかもしれない。

2020年3月の商業用の原油の備蓄量について調査した、経済協力開発機構(OECD)の最新のデータによると、ここ5年間の平均よりも、3月の時点で8860万バレルだけ多いという。

パンデミックに由来する原油の供給過剰は、今月はまだ反映されないことを考慮に入れると、OECDの商業用の原油の備蓄量の莫大な増加が、そのデータが発表された際に見込まれる。

OPECの中期的な市場回復の戦略には大きな難題が待ち受けている。ロックダウンが再開されるかもしれないことから、現在続いているアメリカでの抗議活動の影響まで、考慮に入れるべき様々な変数があることだ。考えるべきことは多い。

驚くべきことに、アメリカと中国の間で緊張が高まっているにもかかわらず、原油価格はじわじわと高くなっている。パンデミックがやってくる前の昨年、市場を席巻したこの話も、OPECが下半期の戦略を決める上で考慮に入れなければならない。加えて、世界全体の経済的懸念、製造業のデータ、棚卸資産や産出量削減における合意といった問題がありますし、観測された結果に対して、予定していた産出量の削減を適用するのが簡単な仕事ではないのは明らかです。

それゆえ、OPEC+の継続的な合意形成は、原油市場の均衡のためだけではなく、世界全体の経済の安定のために不可欠です。

  • Faisal Faeqはエネルギーと原油に関する市場取引のアドバイザーです。彼は以前OPECとアラムコで働いていました。Twitter:@faisalfaeq
特に人気
オススメ

return to top