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サウジアラビアとアラブ首長国連邦を絶えず仲違いさせようとするカタ ール

カタールの首都ドーハの高層ビル群を背景に停泊する船舶。(ファイル/AFP)
カタールの首都ドーハの高層ビル群を背景に停泊する船舶。(ファイル/AFP)

アラブ首長国連邦(UAE)政府が反イランの姿勢を翻し、サウジアラビア・バーレーン・アメリカ同盟から脱退したというのは本当だろうか。これには2つの答えしかない。つまり、イエスかノーかだ。

もし答えがイエスで、UAE政府が本当にイラン政府との和解の道を選んだのならば、これはUAEの主権国家としての判断ということになる。UAEは自国の国益に適う動きをしているのだろうし、同国にとってはこれが最良という判断なのかもしれない。しかしもし、答えがノーであって話自体が虚偽であるならば、反イラン同盟の絆は緩んでいないことになる。

UAE政府の話によると、今回のイランとの協議は以前から計画していたものであり、他の湾岸諸国もこの協議が行われることは十分に承知していた。決して隠すような性質のものではないという。この主張は、湾岸諸国のある情報筋が「アラブニュース」紙の姉妹紙である「アシャルク・アル・アウサット」紙に明かした内容からも裏付けが取れる。それによると、イラン側がこのニュースを針小棒大に喧伝しようとしており、またカタールが偽情報を流してメディアを反UAEに誘導しているという。

現在、反イラン同盟にはサウジアラビア、UAE、バーレーンが参加しているが、これらの国々はどれも自らの意志でそこに入っている。しかしカタールは、最近になってアメリカ政府に圧力を掛けられた結果そこに加入した。イランと交流したり接近したりしないようアメリカに釘を刺されたのだ。

こうした次第なので、もし仮にUAE政府が方向転換して必要な問題解決のためにイラン政府と協議しようとしていたとしても、懸念するには及ばない。ある国の姿勢や態度というものは、長い目で見て判断するべきものだからだ。

過去20年間、サウジアラビアとUAEの関係は冷静で客観的なものだったし、行き違いがあったとしてもすべて解決できた。これはクウェート、オマーン、そしてエジプトとの間でもそうだった。しかしカタール相手となると話が違ってくる。1995年以降のカタール外交は、サウジアラビア、バーレーン、クウェート、ヨルダン、エジプトその他、アラブ・湾岸諸国との間で引き起こした軋轢の記録で満ちている。

カタールは中東の反逆児を自認している。多くの場合、その行動は地域に良くない結果をもたらしてきた。サウジアラビア、UAE、エジプト、バーレーンの4か国が2017年6月にカタールと国交を断絶した時、その理由として挙げたのは政治的立場の違いではなかった。カタールが合意事項を履行せず、またサウジアラビアを標的にする反体制派組織(カタール国内に居住を許されたイスラム過激派を含む)に資金提供をするという、一線を越える行動をとったことが原因だった。

さらに言えば、カタール政府は欧米やトルコ国内の過激派組織に資金提供もしており、サウジアラビア政府を転覆する目的の下に多くの活動を積み重ねてきている。不和の原因はもはや非友好的なテレビ番組や討論会、言説ではなくなった。過去に多かったこうした種類の仲違いであれば、通常は解決することが可能だったのだが。

他国との間で亀裂が生じ始めてから、カタールは自国に向けられた反対同盟を解散させようと取り組んできた。まず標的にしたのはエジプトで、エジプト人にサウジアラビアに対する疑念を生じさせようと画策した。サウジアラビア政府とエジプト政府の関係を壊すように仕組んだ音声録音まで拡散させた。そうしたことを何度も繰り返したが、その都度失敗した。

カタールのメディアはそれからアブダビに目を転じ、芝居がかった、誇張したニュースを流したり、完全に捏造した記事を書いたりして、UAEとサウジアラビアを不仲にさせることを試みた。カタール政府はまた、UAEのイエメン駐留の意図にも疑念の目が向けられるよう画策し、イエメン人を唆してUAE政府に対する批判的コメントを投稿させ、しかもそれがサウジアラビアの差し金で行われたように見せかけようとした。カタールはまたUAEがイエメン駐留の軍事力を増強していると主張していたが、すぐに話の向きを180度変え、逆のことを言い出した。つまり、UAEはサウジアラビアを見捨てて撤退し、サウジアラビアが単独で事態に対処するよう仕向ける予定だというのだ。

カタールの捏造ストーリーの矛盾点がひとつひとつ暴かれるにつれ、秘められた策略が見えるようになってきた。反対同盟を弱体化させ、解散させることがその目的だったのだ。しかしその一方で、こうした策略によって、逆にイエメンやその他の問題で4か国の絆が強固であることが再確認されることにもなった。例えばUAEは依然として軍をイエメンに駐留させ、反イラン同盟でも積極的な役割を果たし、「新スーダン」を支持し、トルコの敵対的な拡張主義にも反対している。

カタールの非友好的政策は、サウジアラビアが時に寛大な態度を見せ、時に譲歩したにもかかわらず、1990年代中頃から一貫して続いている。1990年代から2000年代にかけて、アルカイダにサウジアラビア国内で攻撃を仕掛けさせた。2008年にはリビアの指導者ムアンマル・カダフィと共謀して、サウジアラビア国内で同様の襲撃を計画しているイエメン勢力を支援した。その後、カタール政府高官がカダフィに、サウジアラビアの国家を分裂させる計画について話している録音が流出した。こうした陰謀が、サウジアラビア政府とカタール政府の関係がまだ良好であった頃から行われていたという事実は、否定できない。

ともあれ、国家間の諍いには自ずと限界というものがあり、一線を越える国には厳しく対処するしかない。カタール政府は今やイエメン国内のフーシ派を支援しているが、フーシ派はリヤド、ジェッダ、メッカに攻撃を仕掛けている。また欧米諸国に渡り反サウジアラビアの陰謀を画策したり、サウジアラビアの指導者層に対する暴力を扇動したりしている。これがサウジアラビアがカタールと対立し、国交断絶にいたった理由だ。

不和を引き起こそうと無益な努力を繰り返すカタールだが、同国こそが、UAE、バーレーン、エジプト、サウジアラビアの4か国に格別の協力関係を築かせている。今ではこの4か国間のさまざまな分野にまで協力関係は拡大しており、ひとつの成功事例となっている。

必ず失敗する運命にあるカタールの企みだが、今や世論という名の法廷に引きずり出されることになった。

アブドゥラーマン・アルラシェッドは実績のあるコラムニストです。「アル・アラビーヤ」ニュースチャンネルのジェネラルマネージャーや「アシャルク・アル・アウサット」紙の編集長を歴任しました。

Twitter: @aalrashed

https://www.arabnews.com/node/1534486

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