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サウジアラビアは米国にとって単なるパートナーではなく戦略的同盟国

26 Aug 2019 08:08:18 GMT9
[caption id="attachment_230" align="alignnone" width="518"] 2017年5月20日、ドナルド・トランプ米大統領(中央)がリヤドの王立
裁判所にてサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウード国王
(右)からアブドゥルアズィーズ・アル・サウード章を受け取った。(File/Mandel
Ngan/AFP)[/caption]

今日のArab Newsでは大義に向けた米-サウジ間の協力関係を完璧に示す、ペンタゴンからの情報に基づいたニュースを取り上げる。レイ・ハナニア米特派員が、米国の専門家らが空襲における民間人犠牲者発生の防止に向け、どのようにサウジアラビア人パイロットを訓練しているかを伝える。ペンタゴンの情報筋はプログラムに対するサウジアラビアの熱意、そしてこれまでに達成された正確性の向上を称賛している。

ワシントンDC訪問時、筆者はイランとテロ対策に取り組む何人かの国務省および防衛省職員に会った。話し合いの中で、現場の実情を知る米国の政策決定者らは、米国に対するサウジアラビアの支持に感謝しているだけでなく、イエメンのフーシ派から王国を守るために必要な対策についても同情的な姿勢であることが十分に伺えた。「イランが背後に付く武装組織との対戦相手に対しては完全な同情と理解を持たずにはいられない」と、ある米国政府関係者は話した。

当然ながら、誰も民間人が傷つくのは見たくないが、「きれいな武力紛争」などない。戦争とは常に醜いものだ。

イエメンで過ちが犯されている。それは悲しいことだ。罪のない命が失われるのは1つでも多すぎる。だが、サウジ率いる連合軍とイランが支持するフーシ派の間には決定的な違いがある。前者は、例え勝利が遅れ、懐疑的な意見が高まり、そして運動が長引くことになっても、民間人犠牲者は何としてでも回避する。一方後者は、民間用空港やリヤドの人口集中地域などに、民間人を敢えて狙い、ミサイルを打ったことを自慢する。

もちろんワシントンの全員がこれを理解している、または理解したいと思っているわけではない。もう一つの悲しい事実は、イエメンにおける紛争と昨年起こったジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏殺人事件を受け、サウジ政府を批判し、歴史あるサウジ-米関係の価値を疑問視することが容易になったということだ。

これは特に米国が2020年の大統領選挙に向けて加熱するにつれ、明白となってきている。ドナルド・トランプのロシアとの共謀疑惑に関する捜査が崩れた今、政権が持つサウジとの強力な関係が大統領叩きに利用されるようになった。これは民主党の大統領候補者指名に向けた第一回目のディベートで確実にそうであった。他の面では完全に能力のある候補者がサウジを政治ゲームに利用するという手段に頼ったのは残念なことだ。

しかし、イエメン紛争を批判できない、またはすべきではないと言いたいのではない。その点では他のどのような戦争とも違わない。だが、サウジは紛争をできるだけ早く終わらせるという決意を明確に示し、政治的決着に向け努力を重ね、さらには重い軍事・人道的費用を背負っている。サウジ政府が悪者扱いされるのは、根本的に不公平である。

カショギ氏については、批評家らは賢明に司法手続きの結果を待つだろうが、一部の米政治家は一部の人間が行った犯罪についてサウジ人口全体を罰したいと考え、サウジが防衛に必要な武器の輸出を拒み、フーシによる空港や民間人への襲撃を可能にしているのだ。

だが、米国における議論はさらに広がっている。一部ではサウジ-米関係の必要性そのものを疑問視する声もあり、そのような「議論」に対しては事実で対抗することが重要だ。

第一に、民主党が本質的に反サウジだというのは迷信だ。最近のことしか記憶していない人々は、サウジへの武器輸出を禁じる法案を阻止したとしてトランプ政権を批判する。

彼らは、民主党であるオバマ大統領がサウジアラビアを特定の対象とした、非常に見当違いな法案であったテロ支援者制裁法に対し、拒否権を行使した。故アブドラ国王に敬意を表してお辞儀をしたことが広く知られるオバマ氏は、サウジが担う地域での重要な役割を知り、高く評価していた。

次に、一部の民主党候補者が広げている議論について、懸念すべき点がある。サウジは単に米国が持つ戦略的パートナーの一つというだけではなく、時間や状況によって結ばれたのではない、歴史的かつ重要な同盟国なのだ。

サウジが突然、イスラム教の2大聖地を抱える国でなくなったり、石油の産出が止まったりすることはない。テロに対する戦いに本気で勝ちたいと考える国はサウジの宗教的支援が必要であり、またサウジが持つ政治的重要性はジャレッド・クシュナーのパレスチナ構想などの計画には必要不可欠だ。

リーマ・ビント・バンダル王女が女性として初めて、新たに駐米大使に任命され、サウジはこのような事実を議会、政治家、ジャーナリストらに説明する、文字通り「上り坂」の戦いを抱える。筆者がワシントンを訪問した際、サウジの味方や批判者と会うという彼女の決意を見た。

全員を味方にするのは難しいが、事実を示し、コミュニケーションのチャネルを開いておくことは非常に重要だ。これは、王国内で本物の変化(直近の例では女性に対する男性後見人のあらゆる形態を撤廃)が起こっているからだけではなく、民主党候補者らが国際関係や歴史的同盟関係に感情的で不合理なアプローチを続ければ、サウジだけでなく米国自身の利益も損なうことになるからだ。

• ファイサル・アッバスはArab Newsの編集長. Twitter: @FaisalJAbbas

https://www.arabnews.com/node/1545101 

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