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サウジ、米国がフーシ派をテロ組織から除外したことを「納得していない」

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13 Dec 2021 11:12:57 GMT9
13 Dec 2021 11:12:57 GMT9
  • アブダラ・アル・ムアリミ氏は「フランクリー・スピーキング」のインタビューで、国連は「解決が難しい」イエメンの紛争を助長しているイランからの武器の流入を止めるために行動すべきだと語った

フランク・ケイン

ドバイ:サウジアラビアは、イエメンのフーシ派を国際テロ組織のリストから除外する理由としてジョー・バイデン米大統領政権が提示する議論について「納得していない」と、サウジアラビア国連大使がアラブニュースに語った。

サウジアラビアの国連常任代表、アブダラ・アル・ムアリミ氏は、昨年、バイデン大統領がこのイランの支援する武装組織をリストから削除したことを受け、ニューヨークで米国外交官に対し、この問題について問いかけたと話す。

「この決定に至った理由は純粋に便宜的なものだと説明された。イエメンで人道支援組織と協力しているアメリカ人スタッフがおり、その組織には一緒に働いているイエメン人もいる。彼ら曰く、フーシ派がテロ組織として指定されたら、イエメン当局は彼らに対処することができなくなり、それによってアメリカ人関係者の命と安全が危険にさらされるためだという」

「筋が通った理論であるという納得はできていない」と、彼は付け加えた。

2011年からサウジアラビアの国連代表部の責任者を務めているアル・ムアリミ氏は、有力な政策立案者へのインタビュー動画シリーズ「フランクリー・スピーキング」で、フーシ派はテロリストかどうかという現在、議論を呼んでいる話題についてコメントした。

アル・ムアリミ氏はまた、イエメン紛争が根本的に「解決が困難である」事実や、イランが敵意を助長し続けてきたこと、サウジアラビアがイスラエルとの関係を正常化する可能性、過去10年間のサウジアラビアの人権関連の状況の進歩についても言及した。

アル・ムアリミ氏は、テロリスト指定の問題について、米国および他国の外交官と引き続き協議を続けていくことを約束した。トランプ前大統領は任期終了間際にフーシ派をリストに加えたが、バイデン新大統領は就任直後、イランの支援を受ける同組織がサウジアラビア・アブハの民間空港を攻撃した同日にフーシ派をリストから外した。

「私たちは事実をありのままに伝えるために、もっと努力する必要がある。これまでもそれを目指してはきたが、さらに努力を重ねなくてはならない。それに、国連や安全保障理事会の中にも、理由は様々だが、フーシ派をテロ組織として指定することに消極的な者がいる」

「私たちはこのような消極的な姿勢を克服する必要があり、テロリスト指定によって人道的支援や物資・サービスの受け渡しや供給が妨げられることはないと証明できるようにしなくてはならない」と、アリ・ムアリミ氏は言う。

アリ・ムアリミ氏は、イランからイエメンに送り込まれる武器や弾薬の流れを止める何らかの措置を国連に求め、「国連がもっと努力すべきことは、イエメンへの供給ルートに対する引き締めを強化することだ。特に、武器や弾薬の密輸に使われてきた海路に対して」と、語った。

安全保障理事会の常任理事国である中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカの5ヶ国は、イランからの兵器の流入を差し止める手段を国連に提供する必要があると彼は主張した。

アル・ムアリミ氏は、また、イラン政府は中東の各地で行われている様々な会談において、アラブ諸国の外交官と「ゲームをしている」と非難した。「イラク政府の後援のもとにバグダッドで協議が行われてきたが、大きな成果は得られていない。これらの協議で、イランは長期的に考える態度をとっている。私たちは、話し合いのための話し合いや、写真撮影のための会談には興味はない」

国連大使を務めてきた10年間の最大の課題の一つは、パレスチナの未来だった。この問題は一部のアラブ諸国がイスラエルとの関係を正常化しようとする動きによって注目を浴びた。アル・ムアリミ氏は、サウジアラビアがイスラエルとの関係正常化の動きをなかったことにしようとしているのではないかという憶測を払拭した。

「サウジアラビアの公式かつ最新の立場は、2002年に提示したサウジアラビア平和イニシアチブの内容をイスラエルが実施し次第、関係を正常化する用意があるというものだ。それには、1967年に占領したすべてのアラブ諸国の地域から撤退すること、東エルサレムを首都とする独立したパレスチナ国家を樹立すること、パレスチナ人に自決権を与えることが必要となる」と、アル・ムアリミ氏は語った。

「それが実現すれば、サウジアラビアだけでなくイスラム世界全体、つまりイスラム協力機構の全57ヶ国が追随し、イスラエルの国家を承認するとともに、関係性を構築しようとするだろう」と、アル・ムアリミ氏は付け足した。

「何が正しくて何が間違っているか、時間が経ったからといって変わるわけではない。イスラエルによるパレスチナ自治区の占領は、どれだけ長く続いていたとしても間違っている。ヨルダン川西岸地区とガザ地区においての入植地や包囲、パレスチナの人々の尊厳と権利を否定する振る舞いは、間違っており、それは変わらない」とアル・ムアリミ氏は主張した。

サウジアラビアは2020年までの10年間で、国連人権理事会の5年の任期を2度務めており、大使は、人権を守るための活動を進めてきた同国の実績を高く評価した。

「サウジアラビア国内では、すべての人権、法の支配、国際条約や協定への参加へのコミットメントを進めてきた。国外では、人権団体の目指す崇高な目標の達成に向けて、他国との協力、連携に尽力してきた。つまり、サウジアラビアは人権理事会の献身的なメンバーであることを証明してきたのだ」と、アル・ムアリミ氏は語る。

女性の運転免許取得が可能になったこと、後見人制度の変更、宗教における寛容性の向上など、近年、サウジアラビアで実施されてきた大きな改革は、国外では正当に評価されていないとアル・ムアリミ氏は言う。

「国際社会の大部分は、これだけの変化では不十分だとか、より推し進める必要があると考えているのだと思う。もしくは、私たちがすでにここまできていることを信じていないのかもしれない。だからこそ、私たちはビザ制度や観光を開放し、他国の公式派遣団の出入りを許可することで、より多くの欧米の人々に訪れてもらおうとしている」

だが、海外メディアの一部は、今後もサウジアラビアについて否定的なイメージを持たせるような報道をし続けるだろうとアル・ムアリミ氏は警告する。「否定的な報道を求める人が一部存在するのは、それが彼らのアジェンダや願望、目的に合致するからだろう。しかし、大体においては、国際社会や海外メディアは、ひとたび肯定的なイメージを持てば、それをそのまま報道することが可能だ」と、彼は語った。

また、国連のグローバルアジェンダの上位になっている2つの課題、「気候変動」と「パンデミックへの対応」については、サウジアラビアはリーダーの役割を務めているとアル・ムアリミ氏は述べた。

「サウジアラビアは、特にG20の議長を務めていた頃から、途上国への資金提供やワクチンの配給においてリーダー的役割を果たしてきた。これまで国としても5億ドル以上の資金を提供しており、今後も世界各地の発展途上国に対し、現金や物品で数億ドルの資金を提供していくつもりだ」

アル・ムアリミ氏は、地球温暖化への取り組みにおいてサウジ・グリーン・イニシアティブが近年果たしてきたリーダーの役割を強調する一方、世界がパリ協定の目標を達成する可能性があるとすれば、中国、インド、米国などの空気汚染大国がCO2排出量を抑制することに本当に全力を尽くした場合のみだと述べた。

「サウジアラビアは初めて、CO2排出量に関するとても野心的な目標を掲げたところだ。世界にとって、炭素エネルギーに依存していながら地球環境を守るために積極的に尽力する国があるという良い例になれるよう願っている」

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