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サウジアラビアの非営利団体が、動物と環境への意識を促進するために奮闘

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08 Feb 2022 10:02:52 GMT9
08 Feb 2022 10:02:52 GMT9
  • ラフマ動物福祉協会は、野良動物の保護、里親探し、野生動物の密売対策を行っている
  • リヤドを拠点とするラフマは、これまでに2,300頭以上の動物を保護し、数百頭の動物を里親の元へ送り届けてきた

カリーン・マレック

ドバイ:世界中の多くの人々にとって、パンデミックによるロックダウンは孤立感をもたらし、時には意気消沈させる経験となっている。家族はアパートや一軒家に閉じ込められ、子供たちは寝室のパソコン画面を通して授業を受けることを余儀なくされ、両親は自宅の空いたスペースを探し、リモートワークをこなしている。

このような暗い状況において、多くの人々が捨てられた動物をペットとして迎え入れ、温かい関係を築き、運動不足を解消し、そして人生に必要な楽しみを享受したことは、喜ばしい結果の一つと言えるだろう。

サウジアラビアでは、ペットを飼うことは比較的新しい概念である。しかし若い世代は、一般的な誤解を正し、長年の伝統的な考え方を変えるために大きく前進している。

2020年5月にリヤドで発足した非営利団体「ラフマ動物福祉協会(Rahmah Animal Welfare Association)」の里親・保護委員会のマネージャーを務める29歳のショクラン・アリジハーニ氏も、その一人である。彼女がこの団体に関わることになったきっかけは、動物への情熱、そして変化を促す手助けをしたいという思いからである。

「動物福祉や環境に関心のある人たちが集まり、動物や環境に対する意識を高めるために『ラフマ』の設立を決めたことが、この組織の始まりです」と彼女はアラブニュースに語る。「私も家族も動物が大好きで、動物への情熱は昔から持っていました」

その情熱に突き動かされたアリジハーニ氏は、自分でペットを引き取り、飼うようになっていた。そんな時、彼女はラフマの役員の一人と出会い、設立間もないこの組織と、その活動計画について説明を受けた。そして2020年5月、彼女は「変化をもたらす」という希望を胸に、創設メンバーとしてラフマに参加した。

「私の仕事は、動物の保護、里親への譲渡、シェルターの日常業務のプロセスが、計画通りに進むようにすることです」

2020年5月にリヤドで発足した非営利団体「ラフマ動物福祉協会」の里親・保護委員会のマネージャーを務める29歳のショクラン・アリジハーニ氏。(提供)

同協会は、一般市民から受けた、負傷した動物や野良犬・野良猫に関する通報に対応し、救助隊を派遣して動物を引き取る。緊急の健康問題があればその処置を行う。その後、通常動物たちはワクチン接種、不妊・去勢手術を受け、里親のもとへ送り出される。

救助された動物の写真とそのストーリーは、同団体のウェブサイト「rahmah-ksa.com」やTwitter、Instagramのアカウントに掲載され、里親募集に役立てられている。

アリジハーニ氏は同協会に参加してすぐに、6匹の猫と2匹のヒヒを保護し、自分の家に連れてきたという。特にヒヒの保護は大変だったが、やりがいのある仕事だったと語る。

「ヒヒを家庭で飼育するのは全く一般的ではありません。しかし彼らには特別なケアと注意が必要で、24時間体制でシェルターに入れておくのは少し大変なんです」

「1匹は生後3ヶ月、もう1匹は生後10ヶ月ですが、猿には母親のようなケアが必要なのです」

ヒヒは、サウジアラビアの西部地域にあるサラワット山脈に生息している。その多くは南西部のタイフからアシールにかけて生息する。昨年は、数十年ぶりに同国中央部に位置するリヤド近郊のいくつかの地区でも目撃された。

ラフマが保護したヒヒは南西部で発見された。王国の動物たちに共通する問題と同じく、彼らは野生から連れ去られていた。アリジハーニ氏は、子供のように自由に振る舞う彼らと一緒に暮らすのは最初は大変だったと言うが、それは楽しい経験だと付け加えた。

「彼らは家具は壊すのに、猫には優しいんですよ」と彼女は話した。

サウジアラビアでは、ペットを飼うことは比較的新しい概念である。しかし若い世代は、一般的な誤解を正し、長年の伝統的な考え方を変えるために大きく前進している。(提供)

ラフマが設立された動機は、ある重要な使命によるものだと彼女は説明する。

「ラフマの目的、そして設立された主な理由は、動物を保護することです。私たちはここでの仕事を通じて、さまざまな方法で、これを実現することができます」とアリジハーニ氏は言う。「私たちは動物を保護し、世話をし、必要な医療処置を施し、里親を探します。そして一番重要な目標が、動物に対する意識を高めることです」

その努力は報われている。ラフマはこれまでに2,300頭以上の動物を保護し、約300頭の動物を里親の元へ送り届けてきた。このシェルターのチームは、動物や環境に対する共存、平和、思いやりの概念を積極的に推進している。

しかし、王国には現在アニマルシェルターが5つしかなく、さらなる支援が必要である。ラフマはリヤドの学校を訪問し、若者に動物の世話をする方法を教えたり、保護活動に貢献できる方法を提案したりして、意識向上に努めている。

「すべては意識の問題です。それはまだ人々に十分に浸透していないので、私たちはそれに取り組む必要があります」とアリジハーニ氏は語る。「サウジアラビアには動物への情熱を持っている人はたくさんいますが、彼らは他に仕事があります。その為、非営利団体の仕事としてこの活動に専念することで、より早く人々の意識を高めることができるのです」

ラフマは今後、他の都市でも活動を展開する予定である。また、近いうちに移動診療所を設立し、飼い主の家や路上にいる動物に医療サービスを提供するとともに、保護活動も行いたいと考えている。

アリジハーニ氏は、動物には幸せで健康的な生活を送る権利があるという点において、動物は人間と同等であると考えている、と言う。

「家族が協力的であることはとても幸運です」と彼女は語る。「私は朝から仕事をして、その後シェルターに何時間も通う生活で、多くの時間を外で過ごします。でも家族は、私の動物たちの世話をしてくれるのです」

救助された動物の写真とそのストーリーは、同団体のウェブサイト「rahmah-ksa.com」やTwitter、Instagramのアカウントに掲載され、里親募集に役立てられている。(提供)

また彼女は、2016年に『ペイフォワード(Pay It Forward)』活動をサウジアラビアに持ち込み、人々が地域社会に良い影響を与えることを奨励した友人である、バスマ・アルトウェジリ氏からも援助と手助けを受けている。「Pay It Forward」は80カ国以上で活動しており、日常のシンプルな親切心を奨励することで、寄付に対する認識を変えようとしている。

非営利セクターの熱心なサポーターであり、動物を愛するアルトウェジリ氏は、ラフマをサポートしたいと強く感じ、1カ月以上前にマーケティングとパートナーシップセクションを担当した。

「私の動物への愛情は、母から受け継いだものです」とアルトウェジリ氏はアラブニュースに語る。「私たちが幼い頃、野良犬や野良猫を何匹か引き取って飼っていました。もっと多くの動物を助けたかったのですがそれは無理で、子供心に自分の無力さを感じたのを覚えています。当時、私たちはできる限りのことはしましたが、動物を保護するような団体があるとは考えもせず、ただ見守ることしかできなかったのです」

サウジアラビアでは、ペットを飼うことは比較的新しい概念である。しかし若い世代は、一般的な誤解を正し、長年の伝統的な考え方を変えるために大きく前進している。(提供)

彼女が成長するにつれ、また非営利団体での経験を通して、彼女は動物福祉の分野におけるギャップに気付き始めた。特にサウジアラビアでは、猫やエキゾチックアニマルがかなりの数生息しており、それらの動物は違法に売買されることが多いのだ。

「これは倫理的な問題です」とアルトウェジリ氏は言う。「だから、私も何かできないか、と考えたのです」

そして彼女は、リヤドでアニマルシェルターとの協働を始めた。その後、王国内の動物を助けるための他の機会も模索した。彼女が見つけた保護活動のほとんどは、一人で運営しているものであった。そんな時、ラフマと出会った。

「私は多くの非営利団体でボランティア活動をした経験がありますが、その中でもラフマはとてもプロフェッショナルで、絶対的な愛情をもって動物の世話をしています」と彼女は言う。

「もっと多くの人にその活動を知ってもらう必要があると思いました。ラフマのこれまでの成功は素晴らしいものですが、まだまだ多くの動物に里親が必要です。私たちには後押しが必要です。動物福祉に関心を持っている人は多くはありません。動物福祉は二の次だと思われていますが、彼らは無条件の愛を与えてくれる無力な生き物であり、私たちの助けを必要としているのです」

 

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