Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

メッカの「ザムザムの水」の提供は、長い歴史と現代の技術が融合する

イスラム教の信仰によれば、ザムザムは神から奇跡的に生み出された水源である。数千年前、イブラヒムの幼子イスマーイールが喉の渇きから水を求めて泣いていたとき、地面を蹴って井戸を発見したのが始まりとされている。(AFP/ファイル・写真)
イスラム教の信仰によれば、ザムザムは神から奇跡的に生み出された水源である。数千年前、イブラヒムの幼子イスマーイールが喉の渇きから水を求めて泣いていたとき、地面を蹴って井戸を発見したのが始まりとされている。(AFP/ファイル・写真)
Short Url:
08 Jul 2022 12:07:19 GMT9
08 Jul 2022 12:07:19 GMT9
  • 聖地グランドモスクの井戸から湧き出る水でハッジの巡礼者を迎える
  • 2010年、1億8660万ドルのプロジェクトがスタート、ボトルへの自動充填と水の浄化が可能に

タレク・アル・タカフィ

メッカ:今年のハッジ(大巡礼)巡礼者がメッカに向かう中、「ザムザムの水」の提供者は、グランドモスク内、カアバ神殿の東21メートルに位置する井戸から湧き出る水で彼らを迎えている。

ザムザムの歴史は古く、アル・カリル・イブラヒムとその息子イスマーイールの時代から数千年前にさかのぼる。

ザムザムの水を提供する者である「ザマジマ」とそのサービスには、長い歴史と卓越した実績がある。

ザマジマ社のマネージング・ディレクターで取締役会のメンバーであるハッサン・アブ・アル・ファラジ氏は、アラブニュースにこう語っている。「神の預言者イブラヒムがメッカに行き、妻のハジャルと息子のイスマーイールを聖なるモスク近くの未開の谷に残すようにという神の命令を受けたとき、彼は家族に別れを告げて去り、妻のハジャルが繰り返し呼びかけたにもかかわらず、引き返そうとしなかった」

「彼はこう答えた。『神の命令でしたことだ』と。水がなくなり、子供が泣き出すと、母親はその泣き声を見るに忍びなく、泣き声を聞くまいと彼を遠ざけた。彼女はアル・サファの方に向かい、山に登り、アル・マルワの方に行って同じく山に登った。彼女はサファからマルワまで7回歩き、マルワでの7回目の探索の時、ある声を聞いた。声は『あなたの心に善意があれば、助けよう』と言った」

「そこで、ガブリエルと言われる男が井戸のある場所を足で叩くと、地面から水が出た。ハジャルは水を保存するために砂を囲んで積み上げ、砂を積み上げながら『ザムザム、ザムザム』と口にした。これはシリア語で「集める」という意味である。それが名前の由来となった」

「ヒジュラ暦1403年(西暦1983年)、現在ザマジマ社として知られている統一ザマジマ事務所が設立された。王国外から来る巡礼者に水を提供する仕事を引き受け、メッカの入り口にある案内所とメッカ滞在中の住居でザムザムの水を提供するようになった」

「また、メッカの出口にあるタフウェジセンターでは、出発時にザムザムの水が巡礼者に配られる。つまり巡礼者は、最初にメッカに入った瞬間と最後にメッカを出た瞬間にザムザムの水を提供されることになる」

2010年には、ボトルへの自動充填と水の浄化を行う推定費用7億SR(1億8660万ドル)のプロジェクトが開始された。

2020年7月29日撮影。毎年行われるイスラム教のハッジ巡礼の始まりに、メッカのグランドモスクの複合施設で水を受け取る巡礼者。(AFP/ファイル・写真)

エアコンプレッサー用の建物、未処理の水が入った容器を保管する倉庫、生産ライン用の建物、加工後のボトルを保管する倉庫など、同プロジェクトは複数の建物・施設で構成され、1日の保管能力は20万本にも及ぶ。

工場の総面積は1万3000平方メートルを超える。また、建物には10メガワットのバックアップ発電機があり、井戸からの水の汲み上げから充填の最終段階まで、プロジェクトのすべての段階を制御・監視するシステムで動作している。

ザムザムウォーター・ボトリングセンターの自動充填ラインの生産能力は、1時間あたり1500〜2000本で、1日の生産量は33000〜44000本となる。

「今年のハッジシーズン中、ザマジマ社は、巡礼者がメッカに到着した瞬間から出発するまで、王国の『ビジョン2030』と、賢明なる政府が巡礼者に与えた十分な配慮と安全な儀式を行うためのいくつかの主軸を通じて、ザムザムの水を提供することを含む運営計画を準備した」とアル・ファラジ氏はアラブニュースに語った。

「中でも顕著なのは、巡礼者の宿泊施設の冷蔵庫に置かれていたザムザムの水20リットル入りのボトル配布を中止し、より巡礼者が利用しやすいように容量330mlのボトルに置き換えたことだ」

「計画の最初のプログラムでは、ジェッダとメディナからメッカの入り口にあるガイダンスセンターで、巡礼者にザムザムの水を配布する場所の準備に関する取り組みを行った。各巡礼者は、冷却室や特設会場から保冷ボトル2本を直接受け取ることができる。また、巡礼者が最初に飲むのがザムザムの水となるように、ガイダンスセンターに到着した巡礼者にザムザムの水を配るための監督者や従業員も募集した」

2つ目のプログラムでは、330mlのボトルを毎日3本、巡礼者の宿泊施設に配布し、その配達を容易にすることに取り組んだ。ここでは、受け取りを確認するためのデジタルチャネルを利用している。また、巡礼者が宿泊施設に到着してから出発するまで、毎日ザムザムの水が宿泊施設に到着するようフォローする内部および現場のコントロールセンターも設置された。

特に人気
オススメ

return to top