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ウクライナ侵攻をめぐるロシア制裁の中、 日本が収益の高いロシア向け中古車輸出を禁止

ディーラー店で販売されているトヨタの中古車。2016年7月8日、ロシアのモスクワ。(ロイター/ファイル写真)
ディーラー店で販売されているトヨタの中古車。2016年7月8日、ロシアのモスクワ。(ロイター/ファイル写真)
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02 Oct 2023 10:10:57 GMT9
02 Oct 2023 10:10:57 GMT9
  • ウクライナ侵攻を受け世界の自動車メーカーがロシアから撤退した後、同国において日本の中古車に対する需要が急増した
  • 日本では中古車を維持するより新車を買う方が安いため、自動車所有者は古い車を売らざるを得ず、そのような中古車が輸出される

東京:日本がロシア向け中古車輸出の大半を禁止したことで、ウクライナをめぐる他国の制裁の影で活況を呈していた年間約20億ドル規模の貿易に急ブレーキがかかった。貿易データや市場関係者の話から分かった。

日本政府は8月上旬、サブコンパクトカー以外の自動車のロシアへの輸出を禁止した。これにより、ブローカーや(日本海の輸出拠点である伏木富山港をはじめとする)小規模港湾のネットワークに大きな収益をもたらしていた、トヨタ、ホンダ、日産の中古車販売の裏ルートが断ち切られた。 

この制裁は、ロシアにとって最大の中古車供給源を一掃する一方で、日本の中古車価格を押し下げている。ブローカーは他の地域、特にニュージーランド、東南アジア、アフリカなどの右ハンドル市場へ車を送るべく奔走している。

ロシアによるウクライナ侵攻を受けトヨタを含む世界の自動車メーカーがロシアから撤退した後、同国において日本の中古車に対する需要が急増した。

他国の制裁が強化された昨年、ロシアは日本が輸出する中古車の4分の1以上を平均価格8200ドル近くで購入していた。これは、ロシアが日本の輸出中古車の約15%を購入していた2020年の価格の2倍以上である。

貿易データによると、このロシア向け中古車輸出は、日本が制裁を強める以前は2023年通年で19億ドルを超えそうな勢いだった。

ロシアの分析機関オートスタットが発表した数字によると、今年最初の8ヶ月間にロシアが輸入した中古車30万3000台の半数以上が日本からのものだった。

一方、同期間の(主にロシアと中国のブランドの)新車販売台数は60万6950台であった。

富山県に本社を置く創業2年の自動車輸出会社SV‐ALLIANCEは、7月まで毎月平均約6500台の中古車を伏木富山港からロシアに送り、ウクライナ侵攻中の活況の一翼を担っていた。同港はロシアのウラジオストクから約800km(500マイル)という、貨物船で2日以内の距離にある。

同社の物流コーディネーターを務めるオレシャ・アレクセーエワ氏は、「ビジネスは約70%落ち込んでいる。十分な仕事がないため何人か解雇せざるを得なくなった」と語る。

中古車価格下落の恩恵を受けるリサイクル会社

日本は何十年も前から主要な中古車輸出国である。日本には車検制度があり、それが中古車の維持費を押し上げている。一方で、新車購入時の融資コストは低い。

その結果、日本で新車購入された車をマレーシアやモンゴル、パキスタンやタンザニアに何十万台も輸出する産業が栄えることになった。

日本の経済産業省の菊池孝憲企画調査官(自動車通商政策担当)は、政府は新たな制裁措置が与える「影響がどのようなものになるか注視している」と述べた。

日本は昨年4月にロシアへの高級車の輸出を禁止していた。6月には大型トラックの輸出禁止も追加された。

ディーラーは新たな制裁措置のもとでも、トヨタのヤリスやホンダのフィットのような小型車であればロシアに輸出することができる。

富山県の隣の新潟県の中古車ディーラー、エレメントトレーディングの代表取締役である西脇渉氏は、同社のビジネスにおけるロシアのシェアはピーク時の50%以上から20%以下にまで落ち込んでいると語る。

自動車オークション会社USSの予備的データによると、8月の中古車出品台数は前年同月比で20%以上急増したが、平均車両販売価格は7%下落した。

価格下落を歓迎する声もある。バッテリーリサイクル会社のフォーアールエナジーは日産リーフを含む中古車価格の下落から「大きな」追い風を受けていると、代表取締役の堀江裕氏は話す。

日産と住友商事による合弁会社である同社にとって、価格の下落は供給確保の機会を広げるものだという。

AFP

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