東京：29日、トヨタ自動車とグループ企業の2社は、サプライヤーのデンソー株を少なくとも8%売却すると発表した。40億ドル相当の今回の売却を受け、世界最大の売上を誇る自動車メーカーのトヨタが大量に存在する株式の持ち合いをさらに見直すのではないかと、投資家らの間では期待が高まった。

28日にロイター通信が初めて報じた今回の株式売却は、LSEGのデータによると日本としては今年2番目の規模、世界の自動車産業としてもこの10年強で最大の規模になるという。

自動車部品メーカーとして世界第2位の規模を誇り、トヨタグループの柱の一角であるデンソーは、今回の売却の影響を抑えるため公開市場で一部自社株の買い戻しを行うという。

投資家にとって今回の売却は、日本で最も影響力のあるトヨタが関連企業との株式の持ち合い見直しを加速させるのではないかという期待を高めることとなった。投資家、とりわけ海外投資家らは、株式の持ち合いが企業ガバナンスを妨げ、利益を損なっていると述べる。

各企業は長年に渡って徐々に持ち株の見直しを行ってきたが、今年3月に東京証券取引所が企業に対しより効率よく資本を活用するよう呼びかけたことを受け、この流れは強まった。

「これでトヨタのバランスシートの中に閉じ込められていた資本の一部が解放されることになります。重要なのは、彼らが自由になった資本を今後どのように活用していくか、ということです」マッコーリーのモビリティリサーチ部長を務めるジェームズ・ホン氏はそう話す。

デンソーは、トヨタ自動車とグループ企業の豊田自動織機およびアイシンの2社が投資家に同社株を売却すると発表した。デンソーによると、今回売却される株式は合計で同社株のおよそ8%にあたる約2億5,600万株、売却総額は29日終値で5,891億円（40億ドル）程度になるという。

これにはオーバーアロットメントのオプションは含まれない。オーバーアロットメントでの追加の売却により、売却される株式の比率は9%を超える。

これとは別に、デンソーは今回の株式売却による市場の影響を相殺するため、公開市場で約1億2,500万株の買い戻しを行うと発表した。ロイター通信が今回のニュースを初めて報じた前日に4.9%値を下げたデンソー株の29日の終値は0.9%増となった。 

ロイター