Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 日本
  • 身近なものを通じてパンデミックの生活を伝える日本の博物館

身近なものを通じてパンデミックの生活を伝える日本の博物館

浦幌町立博物館の学芸員、持田誠氏が提供した写真。2020年8月14日、北海道にある同博物館で、保育園の調理師・前出彰子さんが展示されたマスクを見ている。同博物館では、コロナウイルスの大流行で生活がどのような影響を受けたかを正確に記録しようと、チラシやテイクアウトのメニュー、マスクなどの日常の品を収集している。(AP)
浦幌町立博物館の学芸員、持田誠氏が提供した写真。2020年8月14日、北海道にある同博物館で、保育園の調理師・前出彰子さんが展示されたマスクを見ている。同博物館では、コロナウイルスの大流行で生活がどのような影響を受けたかを正確に記録しようと、チラシやテイクアウトのメニュー、マスクなどの日常の品を収集している。(AP)
Short Url:
20 Aug 2020 09:08:09 GMT9
20 Aug 2020 09:08:09 GMT9

東京:テイクアウトのメニュー。葬儀に参列する際の案内。夏祭りの中止を告げる神社のチラシ。

北海道の浦幌町立博物館には、マクドナルドも映画館もない人口わずか4,500人の町で、パンデミック中の生活のどこにでもある日常の品々が展示されている。

同館の学芸員である持田誠さんにより、同博物館には、COVID-19の時代の生活はどのようなものだったか(社会的距離の確保や、感染拡大への恐怖心の高まりによって生活がどのように一変したか)を後世に伝える資料であるコロナ流行期の断片が収集されている。

持田氏は「物が人とどのような関わりを持つのかに興味を惹かれています」と言う。

一見ゴミのように見えるものを集めていることに驚く人もいるという。持田氏は自宅でもなかなか物を捨てられないでいるそうだ。 

氏は「物は歴史を正確に記録するための優れた方法を与えてくれる」と述べた。

資料には、子どもたちがオンライン教育に移行するために、どのように指導されたかを示した文書や、ハンカチからマスクを作る方法を図入りで説明したものがある。 

住民に資料の提供を呼びかけた後、数百の資料がこれまでに集まった。

前回の大流行、いわゆるスペイン風邪(1918〜1919年に流行し、世界中で5,000万人以上が死亡した)の後、手紙や日記には日常生活の様子が書かれていた。 

しかし最近では、そういったアナログなコミュニケーションはほとんど消えてしまった。手紙や日記のデジタル版である電子メールやソーシャルメディアの投稿は、サイバースペースの海の中にほとんど消えてしまう、と持田氏は言う。

そこで持田氏には、コロナ禍の日常的な資料を収集・選別することが任されている。

来年2月には、現在、浦幌町立図書館内にある町立博物館で実施中の小さな展示に続く大規模な展示を計画している。どのようにマスクが短期間で進化したかを扱う。 

当初、日本のお店ではマスクはなかなか手に入らなかった。手作りのマスクは、古いシャツやストッキングを使った原始的なものだった。

その後、飲食ができるよう生地にゆとりを持たせたマスクや、完全なプラスチック製のものなど、革新的なものが登場した。マスクは最終的にファッションの表現手段となり、派手な刺繍が施されたものもあった。

COVID-19の感染者数は日本でも増加しているが、アメリカ、ブラジル、ヨーロッパの一部のような最も被害の大きかった国のレベルには達していない。 

浦幌町ではまだ1人の感染者も出ていない。最初のうちは、地域社会は流行を軽視していた。その後、特に町外の人間や、東京とその近隣都市で働いている成人した子どもが帰郷する可能性がある家庭に恐怖が忍び寄り始めた。

そうすると人々はこの状況に適応し始めた。この小さな町では、レストランが対面式の食事をやめてから、地元の名物「スパカツ」(ミートソーススパゲティの上に通常は豚肉のカツレツをのせたもの)を含めて、テイクアウトが主流になった。これはパンデミック前は、選択肢ですらなかった。 

浦幌出身で保育園の調理師をしている前出彰子さんは、数十年後の人々がパンデミックの中での生活を思い出そうとしている姿を思い浮かべることができると感じている。 

博物館を訪れた後、前出さんは「人々は『ああ、こんな感じだったな』と思うかもしれません」

「物を見ることにより、人々が何を考えているか知ることができます」と言った。

AP

特に人気
オススメ

return to top