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日本、2050年までのゼロ・エミッションを目標に政策転換へ

菅義偉首相は、2050年までにカーボン・ニュートラルな日本社会を実現する目標を掲げようとしている(AFP)
菅義偉首相は、2050年までにカーボン・ニュートラルな日本社会を実現する目標を掲げようとしている(AFP)
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23 Oct 2020 06:10:25 GMT9
23 Oct 2020 06:10:25 GMT9

菅義偉首相が、2050年までにカーボン・ニュートラルな社会を実現するという目標に向けて動き出した。この政策転換は、気候変動への取り組みを強化する欧州連合やその他の60ヵ国以上の国々と歩調を合わせようとするものだ。

この新たな目標は、菅首相が先月の首相就任に続き今月26日に国会で行う所信表明演説で公表される。今週初めに日経新聞が報じた。

日本はこれまで、二酸化炭素の排出について、2050年までに80%削減し、今世紀後半に正味ゼロを実現すると表明していた。

この動きが確認されれば、世界第3位の経済大国である日本は、「2050年」の目標を掲げるアジアの国としては韓国に続き2番目となる。この目標は、世界の平均気温がセ氏1.5以上上昇することを阻止するために必要な最低限の条件と見なされている。

日本の二酸化炭素排出量は世界で5番目に多い。科学者たちは、温室効果ガスである二酸化炭素は既に、世界における主要な熱波やより巨大で強力な温帯性低気圧、度重なる干ばつを引き起こしていると指摘している。

数多くの企業部門からの圧力の下、再生可能エネルギーの利用を増やす動きも出ている。一方で日本政府は、旧式でより二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電所の廃止を推し進めようとしている。

しかし、投資家たちは、あからさまな方針転換は、日本が進める石炭火力発電所の新設計画と相いれないと指摘する。

「日本のような石炭に頼る経済大国が正味ゼロの排出を打ち出すのであれば、同時に緊急性と信頼性のある石炭の段階的廃止計画を、説得力のある形で示さなければならない」。ノルウェーのストアブランド・アセット・マネジメントのジャン・エリック・ソージェスタッド氏は、ロイターの取材に対しこのように述べた。

約900億ドルの資産を管理し、日本企業に投資を行っているストアブランドは、日本の石炭政策に対して批判的な立場をとってきた。

「日本の太陽光および風力発電の潜在力は高い。菅首相には、その潜在力を加速させて、近代的な非石炭のエネルギーシステムを構築する機会がある」と、同氏は続けた。

環境省によると、カーボン・ニュートラルを目指す自治体の数は、1年と少し前には4市町村だったのが、163市町村にまで増えており、排出削減の圧力はこうした自治の現場からも強まってきている。

それでもなお、旧式の発電所、自動車メーカー、鉄鋼メーカーや、製造事業のために必要な蒸気を作る石炭ボイラーを使用する企業から得られる巨大な既得権が、そのような削減努力を阻んでいる。これらすべての関係企業は、大きなロビーイング力を有しているのだ。

そうした企業に燃料を供給する日本の商社のある幹部は、より小型で旧式の石炭火力発電所を操業する企業は既に、発電所廃止計画の適用除外を訴えて、政府に対して強力に陳情活動を展開している、と述べた。

しかし、日本で最も影響力を持つ経済団体である経団連は現在、「2050年」の削減目標を掲げている。10月6日に開かれた首相の経済諮問委員会の会合の議事録によると、経団連の中西宏明会長はその会合において、その目標実現を強く訴えた。

8月に発表された報告書では、日本経済の10%未満のシェアしかないエネルギー集約型セクターに経団連がいかに支配され、結果として石炭を優遇し、気候変動への取り組みを妨げる国策をもたらしているかを示した。

ロイター

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