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東日本大震災10年、鎮魂の祈り深く=亡き夫に「ありがとう」―各地で朝の黙とう

東京電力福島第1原発から北に約6キロの福島県浪江町請戸地区。 (AFP)
東京電力福島第1原発から北に約6キロの福島県浪江町請戸地区。 (AFP)
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11 Mar 2021 02:03:29 GMT9
11 Mar 2021 02:03:29 GMT9

2万2000人以上の犠牲者を出した東日本大震災は11日、発生から10年を迎えた。津波で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島各県の海岸付近では、早朝から手を合わせ、冥福を祈る人の姿が見られた。

岩手県山田町で写真店を経営する昆尚人さん(46)は、登校を引率する町立山田小学校の児童と、集合場所で黙とうをささげた。「子どもたちが将来、残りたい町にできるよう考えながら走ってきた10年だった」と振り返り、「復興を頑張る大人の姿を見せたい」と力を込めた。

「残された家族を見守ってね」。約180人の住民が亡くなった仙台市若林区の荒浜地区では、佐竹かほるさん(77)が慰霊の塔の石版に刻まれた夫、安勝さん=当時(67)=の名前をなで、心の中で語り掛けた。近所の住民を避難所まで送った後、かほるさんを捜して自宅に戻り、津波に流されたという。「無我夢中の10年だった。今は主人に『ありがとう』と伝えたい」と話した。

市内の中学校教諭の男性(51)は19歳で犠牲となった教え子を思い、手を合わせた。10年はあっという間だったといい、「何年で気持ちの整理がつくというわけではない。生かされた者として、今の子どもたちに教訓を伝えていきたい」と目を潤ませた。

震災遺構の工事が進む宮城県石巻市立大川小学校では、児童74人、教職員10人が津波の犠牲となった。同県東松島市で母を亡くした会社員東剛さん(57)は「忘れないことが大事だ。子どもたちには、安らかに穏やかにいてほしい」と話した。慰霊のため石川県能美市から夫婦で来たという無職東のぶ子さん(72)は「将来ある子どもたちがかわいそうで」と声を詰まらせた。

東京電力福島第1原発から北に約6キロの福島県浪江町請戸地区。震災当時、原発構内で働いていた南相馬市の会社員鈴木一八さん(63)は、津波で亡くなった両親の墓前に花を手向けた。「心の復興はまだ進んでいない。親の老後の面倒を見ながら暮らせれば、幸せだったろうな」とつぶやいた。

JIJI Press

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