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北朝鮮:金総書記立ち会いのもと巡航ミサイル発射実験を実施

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた同国の指導者金正恩(中央)の姿。朝鮮人民軍戦術核運用部隊が実施した長距離戦略巡航ミサイル発射実験が完了した際の反応をとらえている。2022年10月13日、場所は非公開。(ファイル写真/AFP)
北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた同国の指導者金正恩(中央)の姿。朝鮮人民軍戦術核運用部隊が実施した長距離戦略巡航ミサイル発射実験が完了した際の反応をとらえている。2022年10月13日、場所は非公開。(ファイル写真/AFP)
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13 Oct 2022 04:10:58 GMT9
13 Oct 2022 04:10:58 GMT9

長距離巡航ミサイルの発射実験に立ち会った北朝鮮の指導者金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、軍の核攻撃能力の拡大と「実戦」への即応態勢を示すことに成功したと述べた。国営メディアが木曜日に伝えた。

北朝鮮による今年のミサイル発射は年間発射数として過去最高となっていたが、水曜日の発射実験によりその記録が更新された。北朝鮮は発射実験の活発さを強調し、自国の指導部が脅威に晒されていると判断すれば米韓に対して核兵器を先制的に使用すると脅している。

アナリストによると、地域における米国の同盟国や米国本土に現実的な脅威を与えることのできる本格的な核兵器の開発を目指している金総書記は、ロシアのウクライナ侵攻に世界の注意が逸れている状況を兵器開発を加速させるための機会として利用している。

韓国当局者によると、北朝鮮は今後数週間あるいは数ヶ月のうちに核実験を実施し、自国が力を持った立場からの交渉で経済上・安全保障上の譲歩を引き出すことができる核大国であるという考えを米国に受け入れさせることを目指した圧力キャンペーンをエスカレートさせる可能性がある。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、水曜日の実験で発射された2発のミサイルは3時間近くにわたって黄海上空を楕円形と8の字形の軌道に沿って飛行し、2000キロメートル(1240マイル)先の目標に命中できることを示した。この発射実験によって、「戦術的」戦場核兵器運用部隊に既に配備されている兵器システムの精度と実戦能力が実証されたとしている。

金総書記は実験終了後、核戦闘部隊の即応態勢を称賛し、「機動性が高く正確かつ強力」な様々な兵器システムを使用して「実戦において一撃で敵を制圧する」備えが万全にできていると述べたという。

金総書記は、今回の発射実験は「敵に対する明確な警告を新たに」送るものだとしたうえで、「いついかなる時でも重大な軍事危機や戦争危機を決然と阻止し、完全な主導権を握る」ために核武装部隊の作戦範囲をさらに拡大すると宣言した。

国営メディアが伝えたミサイル飛行の詳細や特徴は、北朝鮮が昨年9月から実施している長距離巡航ミサイルシステム発射実験を受けて1月に報告した内容に類似している。

国営メディアが伝えた水曜日の実験時の写真には、オレンジ色の炎の尾を残して発射台から打ち上がるミサイルが写っている。高速道路のトンネルとみられるアーチ型の建造物の内部に設置された観覧台で笑顔を見せながら手を叩いている金総書記の姿も確認できる。北朝鮮はこのような建造物を使って発射前の兵器を隠そうとしている可能性があると専門家は指摘する。

韓国の合同参謀本部は発射実験を分析中だと発表した。日本の松野博一内閣官房長官は、北朝鮮が発表した射程が事実であるとすれば、このミサイルは日本に潜在的な脅威をおよぼすものであると述べた

北朝鮮は10月9日までの2週間、米韓を標的とした核攻撃訓練と称して12発の弾道ミサイルを発射したが、今回の実験は知られる限りではそれ以降初のミサイル発射だった。12発のミサイルには、日本上空を通過した新型の中距離弾道ミサイル(太平洋における米軍の主要拠点であるグアムも射程内である可能性が示された)や、内陸の貯水池内の未特定のプラットフォームから発射された短距離ミサイルが含まれていた。

北朝鮮は、これらの訓練は「危険な」合同海軍演習を行った米韓に対する警告を意図したものだとしている。米軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」を展開してここ数週間で複数回実施された演習には、北朝鮮の脅威の高まりを前にして同盟の軍事力を誇示する狙いがあった。

北朝鮮の指導部が脅威に晒されていると判断すれば広範なシナリオにおいて(戦時でなくても)核兵器の先制使用を認める新たな法令を、どんな法案も通す同国の国会が先月可決して以来、金総書記による核攻撃能力の拡大に対する懸念が高まっている。それ以来、韓国軍は北朝鮮に対し、核兵器を使用すれば米韓の「圧倒的な」対応を引き起こして「自滅」するだろうと警告している。

米国本土を標的とする大陸間弾道ミサイルが国際的に大きな注目を集める一方、北朝鮮は地域のミサイル防衛を圧倒することを目的として短距離ミサイルの軍備も拡大している。北朝鮮はそれらのミサイルの一部を「戦術的」と呼んでいるが、専門家によるとこれは、小型戦場核で武装して、紛争の際には軍事力で上回る米韓の通常戦力(在韓米軍は約2万8500人)を鈍らせるためにそれらを先回りして使用するという脅しを伝えているのだという。

日本でも懸念が高まっている。浜田靖一防衛相は木曜日、議員たちに対し、北朝鮮は日本を射程に収める弾道ミサイルに核兵器を搭載するために必要な小型化・弾頭化を既に実現しているとみられると述べた。

北朝鮮による挑発的な発射実験と脅しを受け、韓国の保守派は、1990年代に韓国から撤去された米軍の戦術核の再配備か、自国の核兵器能力獲得に向けて動くことを求めている。

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、米国に戦術核再配備あるいはNATO式の「核共有」を要請することを検討するかと質問された際には具体的な回答を避けた。

尹大統領は木曜日、記者団に対し、「(米国の)拡大抑止に関しては米韓の政府・民間から様々な意見が表明されている。それらの意見を注意深く傾聴し、様々な可能性をじっくり吟味している」と述べた。自国の抑止力保有を目指す計画は政府にはないことを繰り返し強調しているという。

韓国国防省の文弘植(ムン・ホンシク)報道官は木曜日、韓国軍は米軍の核兵器の再配備を求める可能性については議論していないと述べた。

北朝鮮は今年、ロシアのウクライナ侵攻をめぐって深まった国連安全保障理事会の分裂を利用し、20回以上の実験で40発以上の弾道ミサイル・巡航ミサイルを発射している。安保理常任理事国であるロシアと中国は、ミサイル実験を活発化させている北朝鮮に対する制裁を強化するという米国主導の提案を拒否している。専門家は、北朝鮮による次の核実験(2006年の1回目から数えて7回目となる)が行われた場合、安保理が新たな制裁を科すことができない前代未聞の事態となる可能性が高いと見る。

米国と北朝鮮の間の核交渉は、米国主導の厳しい制裁の解除と非核化措置の交換をめぐる不一致のために2019年初頭から行き詰まっている。

AP

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