• ガザ住民「電気も水もインターネットもない。自分が人間らしさを失っているような気がする」

パレスチナ自治区、ガザ地区：イスラエルがハマスの支配するガザ地区を空爆し、本格的な地上侵攻に備えて、16日も部隊を集結させ続けているなかで、100万人以上の人々が混乱と絶望の中、ガザの自宅から避難した。

10月7日、ハマス戦闘員が厳重に張り巡らされた防御壁を突破し、ほぼ民間人が占める1400人以上を射殺、刺殺、焼き殺したことを受け、イスラエルは同イスラム主義グループに宣戦布告した。

前例のない規模の攻撃を受けたイスラエルは、ガザ地区への容赦ない空爆作戦を展開し、近隣地区を破壊した結果、民間人を中心に少なくとも2670人が死亡した。

イスラエルによるガザ地区南部への移動勧告を受けて、人々はガザ地区北部の自宅から逃げ出し、路上や国連運営の学校など、避難可能な場所に身を寄せている。

バッグやスーツケース、三輪バイク、ボロボロの車、バン、さらにはロバの荷車に荷物を詰め込んで運ぶパレスチナ人の姿は、この数日で一般的な光景となった。

「電気も水もインターネットもない。自分が人間らしさを失っているような気がする」と、ガザ地区北部のガザ市から南部のラファに逃れ、他人の家に滞在しているモナ・アブデル・ハミドさん（55）は語った。

ジョー・バイデン米大統領は、CBSのニュース番組『60ミニッツ』のインタビューで、ガザに侵攻して「過激派を排除」することは必要だが、イスラエルがガザを占領する動きは「大きな間違い」だと述べた。

イスラエルは、「重要な地上作戦」を伴う陸・空・海からの攻撃に備え、240万人が住む、長期封鎖されたガザ地区の外側に部隊を集結させている。

イスラエル国防軍（IDF）のジョナサン・コンリクス報道官は、「我々は、ガザ市における軍事作戦の開始、あるいは強化の段階にある」と述べた。

「民間人がそこに滞在し続けるのは危険だ」と彼は付け加えた。

ハマスの後ろ盾であるイランと、同じくイランに支援されているレバノンのヒズボラは、ガザへ侵攻した場合には反撃があると警告している。

イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相は、イスラエルが兵士をガザに送り込めば、「事態の収拾、そして紛争の拡大防止を誰も保証できない」と述べた。

イスラエルとレバノン国境沿いの銃撃戦は先週から激化しており、イスラエルはこの地域を民間人立ち入り禁止にした。

15日には、レバノン南部の国連平和維持軍本部にロケット弾が直撃し、イスラエルではヒズボラの攻撃で1人が死亡したとイスラエル軍は発表した。

この1週間で、レバノンで10人以上、イスラエルで少なくとも2人が死亡している。

レバノンで殺害された中には、ロイターの映像記者、イッサム・アブダラー氏も含まれている。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、中東諸国を緊急訪問した後、16日にイスラエルに戻る予定であり、この不安定な地域でのさらなる危機を回避するための緊急の試みを行っている。

しかし、ハマス過激派が幼い子供たちを含む多数の人質をとり、イスラエルが大規模な攻撃を持って報復しようとするなかで、アラブ連盟およびアフリカ連合は、侵攻が「前例のない大量虐殺」につながる可能性があると警告している。

国連総長のアントニオ・グテーレス氏は、この地域全体が「深淵の瀬戸際にある」と警告した。

イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は、自国は「北部地域での戦争に興味はない。我々は状況をエスカレートさせたくない」と述べた。

イスラエルを明確に支持している米国は、抑止力として2隻の空母を地中海東部に派遣している。

米国は、イランがハマスの攻撃を賞賛しながらも自らは関与していないと主張したことを受けて、イランが「直接関与」するようになるのではと懸念している。

しかし、バイデン氏は『60ミニッツ』のインタビューで、米軍が戦争に参加する可能性があるかと尋ねられた際、「その必要はないと思う」と答えた。

「イスラエル自体が、世界でも有数の戦闘力を持っている。我々は、イスラエルが必要なものはすべて提供するつもりだ」と彼は語った。

米国はまた、緊張を緩和するために、この地域での影響力を行使するよう中国に訴えている。

王毅外相は15日、イスラエルの対応は「自衛の範囲を超えている」と述べ、「ガザの人々への集団的懲罰をやめる」よう要求した。

イスラエル軍は南部の砂漠地帯に数千の兵力と重火器を集結させ、ガザ北部への「政治的」侵攻の許可を待っていると述べた。

同軍は、ガザ地区北部に住む110万人のパレスチナ人に対し、同地区の南部に向かうよう勧告している。

しかし、イスラエル軍の空爆は、ハーン・ユーニスやラファを含む南部で続いている。ある住民は、医師の家が標的にされたと語った。

「その家族全員が死んだ」とカミス・アブ・ヒラルさんは語った。

国連は15日、イスラエルの空爆作戦で47家族、約500人が殺害されたと発表した。

国連や赤十字を含む外国政府や援助機関は、イスラエルの避難勧告を繰り返し批判している。

パレスチナ難民を支援する国連機関は15日に、紛争が始まって1週間ですでに100万人のパレスチナ人が避難し、その数はさらに増える可能性があると発表した。

国連パレスチナ地域人道調整官のリン・ヘイスティングス氏は、イスラエルがガザへの人道支援の条件として、ハマスの攻撃で誘拐された多数の人質の解放を挙げていることを非難した。

「どちらも条件付きであってはならない」と彼女は国連が投稿した動画で主張した。

「彼らはハマスを壊滅させたいと言っているが、彼らの現在の動きは、ガザの壊滅に向かっている」

ガザでは、死者や負傷者の増加で病院が手いっぱいになっている。パレスチナ当局者は15日に、約9600人が負傷したと発表した。

イスラエルのエネルギー相イスラエル・カッツ氏は15日、ガザ南部への給水が再開されたと発表した。

しかし今なお続く停電は、海水の淡水化プラントから食品の冷蔵、そして病院の保育器まで、生命維持システムをまひさせる恐れがある。

トイレ、シャワー、洗濯といった最低限の生活を送ることさえほぼ不可能だと地元の人々は言う。

イスラエルが管理する境界線は閉鎖され、エジプトも南部のラファ検問所を閉鎖したため、ガザの人々は事実上この地域から出ることはできない。

救援物資の受け入れが許可されるまで、エジプトは外国パスポートを持つガザ住民の通行を禁止しているという報道があるなか、ブリンケン氏は、ガザ地区への援助のためにこの検問所が「開かれる」ことを確信していると述べた。

彼は、パレスチナ人をガザ地区から追放するという考えを断固として否定した。

イスラエルの感情は、集団的な悲しみ、怒り、そしてハマスへの強い懲罰欲求の間で揺れ動いている。

ネタニヤフ首相はハマスをダーイシュになぞらえた。米国を含む西側諸国政府は、ハマスにテロ集団としての制裁をかけている。

ハマスが襲撃中にガザ地区に連行した155人の人質の安否が深く懸念されている。

姉、そしてその9カ月と4歳の子どもをハマスに拉致されたヤラト・ザイラさんは、「私たちは彼らを生きて家に連れ戻さなければならない」と涙ながらに語った。

AFP