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イスラエル軍、ガザで地上部隊が活動を「拡大」、インターネットは崩壊

イスラエルとパレスチナの組織ハマスの紛争が続く中、イスラエル軍による民家への空爆の跡地を歩く子ども。2023年10月27日、ガザ地区南部のハーン・ユーニスにて。(ロイター通信)
イスラエルとパレスチナの組織ハマスの紛争が続く中、イスラエル軍による民家への空爆の跡地を歩く子ども。2023年10月27日、ガザ地区南部のハーン・ユーニスにて。(ロイター通信)
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28 Oct 2023 03:10:14 GMT9
28 Oct 2023 03:10:14 GMT9

DEIR AL-BALAH、ガザ地区: 27日の夜、ガザ地区ではインターネットと電話のサービスが砲撃の激化により崩壊し、230万人の人々が外の世界からも他の人々からもほぼ遮断された。イスラエル軍は包囲地域での地上作戦を「拡大」していると発表した。

軍の発表は、ガザへの全面侵攻が近づいていることを示唆している。3週間前にイスラエル南部でハマスが血生臭い侵攻を行った後、イスラエル軍は支配者であるハマスを粉砕すると宣言している。

インターネット、携帯電話、固定電話のサービスが停止した27日の日没後、空爆による頻繁な爆発がガザ市の上空を照らした。赤新月社によると、運営室と医療チームとの連絡がすべて途絶えたという。赤新月社は、救急車を呼べなくなる恐れがあると述べた。他の援助団体は、現地のスタッフと連絡が取れないという。

パレスチナの通信会社Paltelは、砲撃により「すべての通信とインターネットサービスが完全に中断している」と発表した。

イスラエル軍の報道官であるダニエル・ハガリ少将は、地上軍がガザで「活動を拡大している」と述べ、「戦争の目的を達成するために(…)非常に強力に行動している」と述べた。

イスラエルは、武装組織ハマスに対する地上攻撃を前に、ガザとの境界沿いに数十万の兵力を集結させている。

同日早く、ヨアフ・ガラント国防相は、少数の外国人記者団に対し、イスラエルはガザへの長く困難な地上攻撃を間もなく開始する予定だと語った。同国防相は、ハマスの長大なトンネル網を破壊するには「長い時間がかかる」とし、イスラエルが 「包囲された抗戦軍が立てこもる孤立地域」を破壊するための小競り合いの段階が長く続くことを予測していると付け加えた。

同国防相の発言は、3週間にわたる執拗な砲撃の後、戦争が過酷で長い新たな局面を迎える可能性を指摘している。イスラエルは、ガザにおけるハマスの支配、およびイスラエルへの脅威となり得る能力を粉砕するのが目的だと述べている。しかし、ハマスの敗北と侵略の最終段階がどのように評価されるかは依然として不明である。イスラエルは、230万人のパレスチナ人が住むこの小さな領土を支配するつもりはないと言っているが、誰が統治することになるのかについては明らかにしておらず、ガラント国防相は長期的な反乱が起こる可能性を示唆している。

この地域の緊張が高まっている兆候としては、アメリカ軍機がシリア東部の標的を攻撃したことが挙げられる。アメリカ軍に対する一連の攻撃を受けて、アメリカ国防総省は、これらの標的はイランのイスラム革命防衛隊と関連があると述べた。さらに、エジプトのシナイ半島の町は2つの不明な物体による攻撃を受けた。

現地当局者らによると、ガザのパレスチナ人死者の合計数は7,300人に膨れあがった。ガザの封鎖は、食料、燃料、水、医薬品の供給を減少させることを意味し、国連は、何十万人もの人々を助ける援助活動が、燃料が枯渇しかけている中で「崩壊」しつつあると警告した。

ガザの保健省は26日、殺害された人々の名前とID番号の詳細なリストを発表した。これには3,000人以上の未成年者と1,500人以上の女性が含まれる。

イスラエル政府によると、10月7日のハマスの攻撃でイスラエルでは1,400人以上が殺害され、少なくとも229人の人質がガザに連れ去られた。パレスチナの武装勢力はイスラエルに向けて数千発のロケット弾を発射しており、そのうちの1発が27日にテルアビブの住宅ビルを直撃し、4人が負傷した。

全体の死者数は、過去4回のイスラエル・ハマス戦争の犠牲者数を合わせた約4,000人をはるかに上回っている。地上侵攻ではイスラエル軍とハマスが住宅密集地で戦闘を繰り広げるため、双方の死傷者がさらに増えることが予想される。

イスラエルが戦争開始時に燃料の供給をすべて遮断し、唯一の発電所を閉鎖せざるを得なくなったことを受けて、ガザの病院は、保育器やその他の救命機器に電力を供給する非常用発電機を動かすための燃料を探し求めている。

ガラント国防相によれば、イスラエルはガザに入ってきた燃料はハマスがすべて没収すると考えている。同国防相は、ハマスが発電機を使って居住エリアから続く数百キロに及ぶトンネルに空気を送り込んでいると述べ、病院のすぐそばに掘られたトンネル坑道の空撮映像を記者団に見せた。

「空気を送るためには石油が必要だ。石油のためにハマスはイスラエルを必要としているのだ」と同国防相は述べた。

27日遅く、イスラエル軍は、ガザ最大の病院であるアル・シファ病院とその周辺にあるハマスの施設だとする写真を公開した。イスラエルは以前にもこのような主張をしているが、写真の入手経路については明言していない。

ハマスのトンネルやその他のインフラ施設についてはほとんど知られておらず、同軍とガラント国防相の主張は検証できなかった。

ハマスのメディア責任者であるサラマ・モウサ氏は、ガザ市のアル・シファ病院で、イスラエルの主張を「嘘」と呼び、「この施設への攻撃の前兆だ」と述べた。

「私は警鐘を鳴らす。医療施設とそこにいる人々の上空には差し迫った危険が漂っている」とモウサ氏は述べた。国連によれば、病院は何千人もの患者や負傷者で溢れかえり、家を離れた約4万人のガザの住民が避難のために病院の敷地内や周辺に押し寄せている。

ガザでは約140万人が自宅を離れ、その半数近くが国連の避難所に押し寄せている。イスラエルが南部への避難を命じ、残っている人々はハマスの「共犯者」とみなされる可能性があると述べているにもかかわらず、数十万人がガザ北部に留まっている。

過去1週間にわたり、イスラエルは、援助物資を積んだトラック80台以上がエジプトからラファ国境を超えて入国することを許可しており、それには食料、医薬品、その他の物資を積んだ27日朝のトラック10台が含まれている。人道的崩壊が深刻化するなか、これらの輸送団はガザのニーズのほんの一部にしか対応できていない。

ガザの数十万の人々に基本的なサービスを提供している国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、病院の救命機器、パン屋、海水淡水化プラントへの燃料の配給を余儀なくされており、あと数日分しかもたないと述べた。国連職員は、燃料がハマスの手に渡らないようにすると述べている。

国連パレスチナ難民救済事業機関のフィリップ・ラッザリーニ長官は記者団に対し、「この包囲は、食糧、水、燃料という基本的な物資が200万人以上への集団的懲罰に使われていることを意味する。その中の多くは子どもと女性である」と述べた。同長官は、ガザで働く国連職員らが「最後に残された公共サービスは崩壊し、我々の援助活動は崩れ去りつつあると、現在人々が飢えていることを初めて報告してきた」と語った。

27日未明、イスラエル軍は、戦闘機とドローンに支援された地上部隊がガザ内を急襲し、過去24時間の間に数十の武装勢力の標的を攻撃したと発表した。また同軍は、2014年のガザ戦争で市街戦の舞台となったガザ市郊外のシジャイヤ地区で、戦闘機と砲撃が標的を爆撃したと述べた。

イスラエル軍によると、兵士たちは死傷者なしで地区内から脱出したという。同軍は26日にガザ北部への先の急襲を報告している。

約3週間にわたる砲撃によるガザの被害は、戦争前とここ数日で撮影された数カ所の衛星写真で明らかになった。写真では、住宅の列全体がすっぽりと消え、塵と瓦礫と化している。

イスラエル軍は、武装組織のみを標的にしていると述べ、ハマスが戦闘員を守るために市民に紛れ込ませていると非難している。

イスラエルは1967年の中東戦争でガザを押さえ、2005年の一方的撤退まで占領した。2006年の議会選挙でハマスが台頭し、翌年に国際的に承認されたパレスチナ自治政府から全権を掌握して以来、イスラエルはこの地域を厳重に封鎖している。

この紛争により、地域全体でより広範な戦争が勃発する恐れがある。

アメリカは、イランとその同盟国の参戦を抑止するため、2つの空母打撃群をこの地域に派遣している。イランの支援を受けたレバノンのヒズボラは、国境沿いでイスラエルと銃撃戦を繰り返している。

エジプト軍は、イスラエルと国境を接する紅海沿岸の街タバで、ドローンが建物に激突し、6人が軽傷を負ったと発表した。また、「奇妙な物体」が近隣の街ヌウェイバの発電所のそばに着陸したと国営Al-Qaheraニュースが報じた。映像には、瓦礫と近くの山の斜面から立ち上る煙が映っていた。

先週、紅海北部のアメリカ海軍駆逐艦は、イランに支援されたフーシ派民兵がイエメン北部からイスラエルに向けて発射した巡航ミサイル3発とドローン数機を撃墜した。

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