• ラーニア王妃は、アンマンで開かれた会合でのブリンケン米国務長官による停戦反対の発言に対して、CNNとのインタビューで反駁した
• ラーニア王妃は、ガザ地区における「悲惨な人道的状況」を非難した

アラブニュース

カイロ：ヨルダンのラーニア王妃は、11月5日、ガザ地区での停戦の共同呼びかけを求め、停戦に反対する人々は「何千人もの民間人の死を是認し、正当化している」と述べた

CNNのベッキー・アンダーソン記者による踏み込んだインタビューにおいて、ラーニア王妃は、アンマンで開かれた会合でのブリンケン米国務長官による停戦反対の発言に反駁した。

アラブ諸国首脳との10月4日の会談後、ブリンケン米国務長官は、ガザ地区の戦闘の停止はハマスのさらなる攻撃の可能性を高めてしまうだけだと発言した。

ラーニア王妃は、「停戦に向けた共同呼びかけを行わなければなりません。停戦反対派の中には、停戦がハマスへの支援になってしまうと主張する人々がいることは私も知っています。しかし、そのように主張する人々は、本質的に死を軽視しており、もっとはっきりと言えば、何千人もの民間人の死を是認し正当化しているのです。それは道徳的に非難されるべきことであり、短絡的で、まったく合理的ではありません」

「仮に（イスラエルが）ハマスをすべて排除できたとしても、この紛争の根本原因は、イスラエルによる不法な占領や日常的な人権侵害であり、不法入植であり、国連決議と国際法の無視なのです。根本原因への対処無しでは、戦闘員たちを殺害することは可能だとしても、根本的な解決には至りません」

ラーニア王妃は、ガザ地区における「悲惨な人道的状況」を非難し、「私たちの世界の良心が目覚めるまでに、後、何人が生命を失わなければならないのでしょうか？それとも、パレスチナ人のために世界の良心が目覚めることは今後も永遠に無いのでしょうか？」

この戦争ではその開始以来、ガザ地区では1万人近くが死亡し、その半数近くが子供だとラーニア王妃は指摘した。

「死亡者数は単なる数字ではありません。死亡した子供たちそれぞれに、その子供が自らのすべてだったという家族がいるのです」と、ラーニア王妃は語った。

「ガザ地区には、W.C.N.S.F.という略語があります。『生き残った家族のいない負傷した子供（Wounded Child with No Surviving Family）』を意味します」と、ラーニア王妃は付け加えた。「決して存在してはならない子供たちを意味する略語ですが、ガザ地区には存在するのです」

民間人が人間の盾として用いられているというイスラエルの主張について質問されたラーニア王妃は、人間の盾の使用は国際法上「違法」であり、多方、イスラエルは民間人の死を回避する責任を負っていると強調した。

「発砲や空爆の前に民間人の生命へのリスクを検討することは、国家の責任です。そして、そのリスクが軍事的目標に対して不釣り合いに大きければ、それは違法と看做されます」と、ラーニア王妃は語った。

イスラエルの退避勧告の多くは、オンラインまたはテレビで発表される。しかし、ラーニア王妃は、ガザ地区の電力が数週間にわたって遮断されている事実を考え合わせると、そうした勧告が同地区の民間人のためのものだとは考えられないと述べた。

「イスラエルの退避勧告の真の対象はガザ地区の民間人たちではありません。それは、ガザ地区の民間人以外の世界の人々へ向けたイスラエルのアピールなのです。イスラエルの退避勧告は、自国の行為を正当化しようとするイスラエルの企てです」と、ラーニア王妃は語った。

「自宅から退避するか死亡のリスクを取るか選ぶことを110万人が求められたとしたら、それは民間人の保護ではありません。それは、強制移住です」と、ラーニア王妃は述べた。

「国連機関やその他の公的機関は、ガザ地区には安全な場所は無いと述べています。そして、イスラエルが退避先として人々に告げた地区、いわゆる安全地帯ですら攻撃を受けているのです」

ラーニア王妃は、米国においてユダヤ教徒とイスラム教徒の両方に対しての偏見が高まっている現況に関連した質問に対して、反ユダヤ主義とイスラム恐怖症の両方を「断固として、心から」非難すると答えた。そして、イスラム恐怖症は「同じ病気の反対側の端」であり、イスラム教徒こそが真っ先に反ユダヤ主義を非難すべきなのだとラーニア王妃は付け加えた。

「私たちには、平和共存してきた長い歴史があります。つまり、この戦争は宗教の問題ではありません。政治の問題なのです」と、ラーニア王妃は述べた。