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ガザでインターネットと電話網が崩壊、人道危機悪化のおそれ

2023年11月15日。イスラエル軍によるガザ地区北部への砲撃が続き、破壊された建物。(AFP)
2023年11月15日。イスラエル軍によるガザ地区北部への砲撃が続き、破壊された建物。(AFP)
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17 Nov 2023 02:11:00 GMT9
17 Nov 2023 02:11:00 GMT9

ハーン·ユーニス:16日、ガザ地帯全域でインターネットと電話サービスが燃料不足のために崩壊したと、パレスチナの主要プロバイダーが発表した。イスラエルは、ハマスに対する次の攻撃は住民の大半が避難してきている南部を標的にする可能性があると示唆しており、通信は長期にわたって遮断されるとみられる。

イスラエル軍は北部のシファ病院への突入から2日目、ハマスの痕跡がないか院内を捜索した。彼らは、トンネルの入り口と、敷地内のトラックで発見された武器を公開した。しかし軍は、イスラエルがこの複合施設の地下に隠されていると主張する、ハマスの中央司令部の証拠を公表していない。ハマスおよびガザ最大の同病院のスタッフは、この疑惑を否定している。

軍は、ハマスに誘拐された人質の一人、65歳のイェフディト·ワイスさんの遺体をシファに隣接する建物で発見したと発表した。同じ場所でアサルトライフルとロケット推進手榴弾(RPG)も見つかったという。彼女の死因は明らかにされなかった。

通信網の寸断は、ガザの230万人の住民同士や外部との連絡を大きく遮断しており、イスラエル軍の空爆が続く中、ガザ南部の深刻な人道危機を悪化させている。国連世界食糧計画(WFP)は、イスラエルの封鎖によって食糧供給が途絶えており、エジプトからの救援物資は少なすぎるため、ガザは「ただちに飢餓に陥る可能性がある」と警告した。

現在6週目に突入している戦争は、10月7日にハマスがイスラエル南部を攻撃したことで引き起こされた。武装勢力は民間人を中心に1200人以上を殺害、約240人の男性、女性、子どもを拉致した。16日に遺体が発見されたワイスさんは死亡が確認された3人目の人質である。現在4人が解放され、1人は救出されている。

イスラエルはこの攻撃に対し、ハマス政権の排除と軍事力の粉砕を宣言、数週間にわたる空爆作戦とガザ北部への地上侵攻で対応している。

パレスチナ保険省によれば、現在までに1万1470人以上のパレスチナ人が死亡しており、その3分の2は女性と未成年者だという。さらに2700人が、がれきに埋もれて行方不明になっていると報告されている。保険省は死者数の報告において民間人と戦闘員を区別しておらず、イスラエルは数千人の武装勢力を殺害したとしている。

この戦争は他の地域でも緊張を高めている。イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区では、パレスチナ人武装集団がエルサレムとイスラエル入植地を結ぶ幹線道路の検問所で発砲し、兵士1人が死亡、3人が負傷した。

犯人はアサルトライフル、拳銃、手斧を持っており、エルサレムでの攻撃を準備していたという。ハマスはこの攻撃への関与を確認する声明を出した。

銃は見つかったが、まだトンネルは見つかっていない

ガザ最大の病院であるシファ病院に突入した翌日、イスラエル軍はこの複合施設の捜索を続けた。ガザの保健省によれば、部隊は16日に病院の地下階を捜索し、設備を管理する技術者を拘束したという。

病院には1週間近く電気が来ておらず、職員によれば、36人の未熟児と45人の透析患者を生かすために、必要な機材なしで奮闘しているという。

シファ病院のモハメド·アブ·セルミア院長がアルジャジーラに語ったところによると、同院では16日に透析患者1人が死亡し、他にも650人の負傷患者と5000人の避難民が入院しているという。

イスラエルは、兵士が医療チームに保育器やその他の物資を届けたと発表しているが、シファ病院のスタッフは、保育器は燃料がなければ役に立たないと語っている。ガザ保健省によれば、3人の赤ん坊を含む40人の患者が、11日の非常用発電機の燃料切れにより、襲撃前に死亡したという。

以前、近くの通りで戦闘があったとき、ハマスの戦闘員がシファの中から発砲したという報告はなかった。また、16日にイスラエル軍が侵入したときも戦闘はなかった。

イスラエルは、ハマスが病院の中や地下に主要司令部を設置していたという主張の証明をしなければならないという圧力に直面している。これまでのところ、彼らは主に武器の隠し場所をいくつか公開している。

16日、軍は病院の中庭にある、トンネルの入り口だとする穴の動画を公開した。また、中庭のピックアップトラックで発見されたという数丁のアサルトライフルとRPG、手榴弾、弾薬クリップ、ユーティリティベストが毛布の上に並べられている様子が映し出された。APはイスラエルの主張を独自に検証することはできなかった。

ここ数週間、イスラエルはこの病院をハマスの主要本部がある場所として行動していた。彼らは特定の建物を司令部として、あるいは地下の複合施設として指定した衛星地図を公表した。また、武器や燃料用ドラム缶で満たされた通路や部屋の地下ネットワークを描いたコンピューター·アニメーションを公開した。米国は、イスラエルの主張を裏付ける情報があると述べた。

これらの主張は、ハマスがガザ地域全体でパレスチナ人を人間の盾として使用しているというイスラエルのより広範な非難の一部である。イスラエル当局は、これが数週間にわたる爆撃により、大規模な民間人の犠牲者数の理由であると主張している。

攻撃は南部へ

北部ではいまだ戦闘が続いているが、軍部は北部の支配をほぼ固めたとしている。ヨアヴ·ガラント国防相は15日、地上作戦は最終的に「北部と南部の両方を含むものであり、ハマスがどこにいても攻撃する」と述べた。時期は明言しなかった。

イスラエル軍は16日、南部の町ハーン·ユーニス東部のパレスチナ人に避難を呼びかけるビラを投下した。同様のビラは、地上侵攻の数週間前からガザ北部に投下されていた。

南部では16日も空爆が続いた。ディール·アル·バラの町では、一夜にして複数の建物を破壊した爆弾により死亡した、28人の人々の葬儀が行われた。

ガザの人口の大半はガザ南部に押し寄せており、その中には地上攻勢に巻き込まれないために北部に避難するようイスラエルから勧告を受けた数十万人も含まれている。家を追われた約150万人が、国連の避難所や他の家族と一緒に住んでいる。

もし攻撃が南部に移った場合、エジプトが自国領土内への集団移動を拒否しているため、彼らがどこへ移動すべきか不明だ。イスラエル軍は、地中海沿岸の数平方キロメートルの町マワシにある「安全地帯」に移動するよう呼びかけている。

16日、18の国連機関と国際慈善団体の代表は、敵対行為が続いている間に民間人を一地域に集中させるのは危険すぎるとし、安全地帯の創設に反対した。彼らは停戦と、ガザ住民のための人道援助および燃料の自由な搬入を求めた。

イスラエルは開戦以来、ガザを封鎖し、エジプトからのわずかな援助しか認めていない。また、ハマスに利用される可能性があるとして、燃料の搬入も禁止している。しかし今週になって、国連のトラックが援助物資を運ぶために使うための少量の搬入を許可した。

WFPによると、10月21日以降、エジプトからガザに運び込まれた救援トラック1129台のうち食料を積んだ447台のトラックが搬入した分量では、ガザ住民の1日に必要なカロリーの7%にも満たないという。燃料不足でほとんどのパン屋が閉鎖されたため、パンは「ほとんどないか、全く存在しない」状態であり、食料のサプライチェーンは崩壊しているという。

WFPのシンディ·マケイン事務局長は、「冬が間近に迫り、安全が確保できない過密な避難所や清潔な水の不足により、市民は飢餓の可能性に直面している」と述べた。

燃料不足はインターネットと電話回線もダウンさせており、イスラエルが燃料を供給しない限り再開は不可能だと、パレスチナの主要通信プロバイダーであるパルネットは述べた。ガザ当局が修復できた以前の3回のシャットダウンに続き、今回は長期的な通信遮断の可能性が出てきた。

先の停電はパレスチナ人にトラウマを与えた。彼らは救急車を呼んだり、家族の生存を確認したりすることもできなかった。援助関係者によれば、停電は人道支援活動や病院に大混乱をもたらすという。一部のパレスチナ人は、イスラエルやエジプトのネットワークにつながる衛星電話やSIMカードを使って何とか通信を維持している。

AP

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