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米国、紅海攻撃への対応としてフーシ派をテロ組織に再指定

2024年1月14日、イエメンのサヌア近くのフーシ派軍事施設で、米国と英国の攻撃に反対する集会を開くフーシ派戦闘員と部族民。(AP通信)
2024年1月14日、イエメンのサヌア近くのフーシ派軍事施設で、米国と英国の攻撃に反対する集会を開くフーシ派戦闘員と部族民。(AP通信)
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18 Jan 2024 08:01:39 GMT9
18 Jan 2024 08:01:39 GMT9
  • フーシ派の活動は、世界の通商を混乱させ、インフレの恐れをかき立て、イスラエル・ハマス戦争の余波が中東を動揺させる可能性があるとの懸念を深刻なものにしている

ワシントン:米国政府は水曜日、国際海運に対する攻撃の阻止に向けた同政府の最新の試みとして、イエメンに本拠を置く反政府勢力フーシ派をテロ組織に再指定した。

関係者は、フーシ派に厳しい制裁が科される「特別指定国際テロ組織」(SDGT)への指定は、このイランと同盟を結ぶ組織が、重要な紅海の航路で船舶の攻撃やシージャックを行うために利用している、資金や武器の遮断を目的としていると語った。

ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は声明で、「今回の指定はフーシ派へのテロ資金の流れを妨げ、さらに金融市場へのアクセスを制限し、自らの行動に対する結果責任を負わせるための重要な手段だ」と述べた。

そして、「フーシ派が紅海とアデン湾での攻撃をやめれば、米国は直ちにこの指定を見直すだろう」と付け加えた。

ジョー・バイデン大統領政権はまた、食料輸入と人道援助に依存するイエメン国民への影響回避を目的とした「例外」を設けるとともに、30日後の指定発効まで、援助機関を含む各団体への支援を実施すると約束した。

フーシ派の活動は、世界の通商を混乱させ、インフレの恐れをかき立て、イスラエル・ハマス戦争の余波が中東を動揺させる可能性があるとの懸念を深刻なものにしている。

先週、バイデン大統領はフーシ派を「テロ」組織と呼んだ。米英の戦闘機、艦艇、潜水艦は、イエメンの最も人口の多い地域を支配するフーシ派を標的として、空からの攻撃を数十回行っている。

米国の関係者2人がロイター通信に語ったところによると、米軍は火曜日、最も直近となる攻撃を行い、フーシ派の対艦弾道ミサイル4発を狙った。

水曜日、フーシ派のムハンマド・アブドゥルサラム報道官はロイター通信に対し、米国による指定は作戦には影響しないと語った。フーシ派は、パレスチナ人を支援し、イスラエルの船舶やイスラエルに向かう船舶を標的にしていると主張している。

船舶への攻撃は、フーシ派ほかパレスチナ武装勢力ハマス、レバノンに本拠を置くヒズボラ、イラクのシーア派武装勢力といった、米国の敵対国イランと関係を持ついわゆる「抵抗の枢軸」による、ガザ紛争への広範な対抗の一環で行われている。

「我々は可能な限りイランの悪影響に対抗し、その影響力を鈍らせていく。そしてもちろん、イランから離れるという選択肢はいまフーシ派の手中にある」と、発表に先立って記者団に説明を行った3人の米政権関係者の1人が匿名を条件に語った。

サウジアラビア主導の軍事連合は2015年にイエメンに介入し、米国の同盟国であるサウジアラビアとイランの代理紛争との見方が一般的なこの戦争で、フーシ派と戦うイエメン政府軍を支援した。

政治的争い

ドナルド・トランプ前大統領の政権は任期終了の前日、フーシ派を2つのリストに追加してテロ組織に指定した。国連、援助団体、一部の米国議員は、制裁によりイエメンへの食料、燃料、その他物資の流れが遮断されるのではないかとの懸念を表明した。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、制裁によりイエメンへの重要な人道物資の流れが滞るという懸念を理由に、2021年の就任から数日後にこれら指定を取り消した。

水曜日、フーシ派はSDGT組織として再指定されたが、「外国テロ組織」(FTO)としては再指定されなかった。FTOに指定されると、その組織への物的支援の提供がより厳格に禁止され、自動的に渡航禁止が課される。米国の関係者らは、今回の措置は人道物資を制裁から免除することが容易になると述べた。

下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長は声明で、「バイデン政権が情勢を冷静に判断し、イランの支援を受けるフーシ派をFTOに再指定するタイミングは過ぎていた」と述べた。

「萎縮効果」

米国財務省は、農産物、医薬品、医療機器、電気通信、個人送金に関連する取引など、フーシ派が関与する特定の取引を認めるライセンスを発行した。イエメンにおける港湾や空港の運営ならびに精製石油製品に関連してフーシ派が関わる取引も許可された。

国連は、イエメンの人道危機について、「深刻」なもので人口の3分の2にあたる2,100万人以上が援助を必要としていると説明する。そして、人口の80%以上が食料や安全な飲料水の入手、適切な医療サービスの利用に苦労しているという。

国際救済委員会のアナスタシア・モラン米国支援担当アソシエートディレクターは、たとえ例外があったとしても、今回の指定は、イエメン人口の75パーセントがフーシ派支配地域で暮らす同国民への食料供給に、「深刻な萎縮効果」をもたらす可能性が高いと警告した。

「人道的な理由による免除だけでは、制裁による影響を軽減するには不十分な場合が多い」と彼女は語った。

国連はイエメンへの援助を継続すると述べる一方で、免除の対象を明確にするとともに、商業活動の継続を促すよう米国政府に求めた。

「我々は、今回の指定の結果、付きまとう風評リスクや免除の正確な範囲が不明確であることを理由に、民間部門がイエメン関連の事業継続に消極的になる可能性を引き続き懸念している」と国連人道問題調整事務所の金子絵里報道官は語った。

ロイター通信

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