Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • シリアは化学兵器を17回使用した可能性が高い

シリアは化学兵器を17回使用した可能性が高い

2017年4月20日、オランダ・ハーグにあるOPCW(化学兵器禁止機関)本部で、検査用バイアル瓶を管理する検査技師。(資料/AFP通信)
2017年4月20日、オランダ・ハーグにあるOPCW(化学兵器禁止機関)本部で、検査用バイアル瓶を管理する検査技師。(資料/AFP通信)
Short Url:
04 Jun 2021 06:06:11 GMT9
04 Jun 2021 06:06:11 GMT9
  • 化学兵器禁止機関(OPCW)は、シリアとの次回協議で新たな問題を取り上げる
  • この国際的な化学兵器監視組織の責任者は、調査チームの到着を5月28日に延期するとシリア政府に伝えたという

国連:化学兵器禁止機関の事務局長は、国連安全保障理事会に対し、同機関の専門家がシリアに対する77件の申し立てを調査し、17件で化学兵器が使用された可能性が高い、もしくは間違いなく使用されたと結論づけたことを明らかにした。

フェルナンド・アリアス氏は、化学兵器の製造や使用を禁止する化学兵器禁止条約にシリアが加盟してから8年が経過したにもかかわらず、シリアの兵器、備蓄品、前駆物質に関する当初の申告や、現在進行中の計画について多くの疑問が残っていることを「心配を生じさせる現実」と表現した。

アリアス氏は木曜日、化学兵器禁止機関はシリアとの次回協議で新たな問題を取り上げるとし、新たな問題とは「2020年9月に大型貯蔵容器で採取されたサンプルから発見された新しい化学兵器物質の存在」だと明らかにした。

アリアス氏によると、5月18日から6月1日までの期間、この問題を調査するためにOPCWのチームを派遣するつもりであることをシリア政府に伝える書簡を送り、ビザの発給を求めたが、返事はなかったという。アリアス氏は、調査チームの到着を5月28日に延期するとシリア政府に伝えたと述べた。

5月26日までにシリアからの返答がなかったため、アリアス氏は「追って通知があるまでミッションを延期することにした」と述べた。

化学兵器による破壊的な攻撃が行われ、西側諸国がこれをシリア政府の仕業と結論づけた後、シリアは2013年9月に緊密な同盟国のロシアに迫られて化学兵器禁止条約の加盟国となった。2014年8月までに、バッシャール・アサド大統領の政府は化学兵器の破壊が完了したと宣言した。しかし、シリアがOPCWに対して行った当初の申告は、依然として論争の的となっている。

2020年4月、OPCWの調査官は、2017年に発生した化学兵器による3件の攻撃をシリア政府の仕業と結論づけた。OPCWの執行理事会はこれを受けて、シリアに詳細な情報を開示するよう要求した。

シリア政府は詳細な情報を開示しなかったため、フランスは11月に46か国を代表して、OPCWにおけるシリアの「権利と特権」を停止する措置案を提出した。4月21日、OPCWは前例のない採決を行い、未解決の問題がすべて解決するまでシリアの権利を停止した。

ロシアは、OPCWとその調査官を厳しく批判し、事実関係や技術的な誤りがあり、西側諸国からの圧力の下で行動していると非難した。

ロシアのヴァシリー・ネベンジャ国連大使は木曜日にも批判を続け、「シリア政府に反対する偏った情報源からの情報」を使用していることに加え、間接的に証拠を収集し、「偽りの証人」に頼っているとしてOPCWを非難した。

ネベンジャ氏は、執行理事会の目的は、一部の理事が言ったように、アリアス氏に「厄介な」質問をして「尋問」することではなく、「OPCWで進行している悲惨な状況を改善するために共同で作業すること」だと述べた。

ネベンジャ氏は、「OPCWの権威がこれ以上損なわれることを防ぐために、そして、OPCWが化学兵器禁止条約を忠実に遵守している主権国家の議決権を奪うことを決議した4月のような悲惨な状況を繰り返さないためにも、OPCWのリーダーと率直に話し合う必要がある」と述べ、「我々は、西側諸国が始めた、OPCWの活動のさらなる政治化に懸念を抱いている」と続けた。

ロシア大使は、化学兵器による攻撃の責任を究明する責務を負うOPCWの調査チームにシリアが協力していないことについて、アリアス氏が驚きを示したことに驚いたと述べた。

「シリアが調査チームの正当性を認めなかったことは驚くべきことではなく、我々もそうだった。調査チームは不法に設立されたものだ。シリアが調査チームに協力することは期待できない」とネベンジャ氏は述べた。

英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は、「この件に関する事実は確かだ」と反論した。

ウッドワード氏は、「シリアが当初申告した化学兵器には、20の未解決の問題があり、これは深く憂慮すべきことだ。国連とOPCWは、化学兵器による8件の攻撃をシリアの政権によるものとしている。同政権が化学兵器の能力と化学兵器を使用する意思を持っていることは明らかだ」と述べた。

ウッドワード氏は、国連安全保障理事会はシリアがOPCWに全面的に協力し、「シリアの化学兵器プログラムを完全かつ検証可能な形で破壊する」ことを主張し続けるだろうと述べた。

米国のリチャード・ミルズ国連代理大使は、「シリアとそのごく少数の支持者が唱えるいかなる偽情報も、OPCWにより提示された証拠の信憑性を否定したり、損なったりすることはできない」と述べた。

「ロシアの支援を受けるアサド政権は、化学兵器プログラムの完全な開示と検証可能な形での破壊を求める国際社会の声を無視し続けている」とミルズ氏は述べた。

「シリアの人々に対して行われた残虐行為に対する説明責任を果たさない限り、シリアの恒久的な平和は手の届かないままだろう。米国は、紛争の政治的解決に向けてシリアを動かすための極めて重要な要素として、正義と説明責任を改めて求める」

AP通信

特に人気
オススメ

return to top