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国連の決議案、シリアへの支援に2つの検問所を求める    

トルコとの国境のシリア側にある大規模な難民キャンプ、シリアのイドリブ地方のAtmaの町の近く。2020年4月19日。(File/AP)
トルコとの国境のシリア側にある大規模な難民キャンプ、シリアのイドリブ地方のAtmaの町の近く。2020年4月19日。(File/AP)
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27 Jun 2021 04:06:05 GMT9
27 Jun 2021 04:06:05 GMT9
  • ロシアはシリアの国全体への支配力を強化するため、援助物資は各交戦地帯に送るべている。
  • 現在、援助物資は唯一、バブ・アル・ハワ国境検問所を通ってトルコからシリアの反体制派が支配する北西部へ送ることができる。

国際連合:25日に回付された国連安全保障理事会の決議案は、トルコ及びイラクとの国境を通じてシリアへの人道援助をすることを認可する予定だが、シリアと親密な同盟国、ロシアが採択の鍵を握っている。

ロシアは、もしすべての国境検問所が閉鎖されれば、100万人以上のシリア人に人道上、悲惨な結果が出ると警告している国連、米国、その他の国々から強い圧力を受けてきた。ロシアはシリアの国全体への支配力を強化するために、シリア国内の各交戦地帯へ支援物資を届けるべきだと述べている。

安全保障理事会は、シリアの紛争開始の3年後の2014年に物資提供が始まった時、4つの国境検問所を承認した。しかし、2020年1月にロシアは理事会で拒否権をちらつかせて、支援物資の提供を2つの国境検問所に限定させ、2020年7月には、同じやり方でさらにもう1つを除外させた。従って、現在、支援はバブ・アル・ハワ検問所のみを通ってトルコからシリアの反体制派の支配する北西部に提供されており、その期限は7月10日で切れる。

ノルウェーとアイルランドが回付し、AP通信が入手した決議案は、バブ・アル・ハワ検問所を維持し、2020年1月に閉鎖されたイラクとの国境にあるアル・ヤルビヤ検問所を復活し、主としてクルド人が支配する北東部に支援を送ることになっている。また、ロシアが主張していた6カ月の期限を終了し、1年の期限を復活させる。

安保理の専門家が提案された決議案を来週早々に討議すると予想される。

1ページの決議案は、「シリアでの破滅的な人道面の状況は、地域の平和と安全保障を脅かし続けている」と述べている。

辞任したばかりのマーク・ロウコック元国連人道問題担当次官は先月、安保理に対し、各交戦地帯への支援物資提供が、越境支援に取って代わることは不可能だと述べ、バブ・アル・ハワでの越境作戦を「生命線」と呼んだ。

もし再承認されなければ、毎月の140万人への食糧提供、何百万もの治療薬、何万人もの子供、母親への滋養物、何万人もの生徒への学用品が停止してしまう、と彼は警告した。

最近バブ・アル・ハワ検問所を訪れたリンダ・トマス・グリーンフィールド国連大使は、決議案が米国が復活を求めていた3つの検問所に「及ばず」、落胆を表した。彼女は2020年7月に閉鎖された、トルコから北西部に入る2つ目のバブ・アル・サラムの検問所も復活すべきだと述べた。

それ以降、越境支援団は反体制派が支配する北西部のイドリブに一団も到達していないと、彼女は述べた。また、アル・ヤルビヤが閉鎖されてから、「シリア北東部でのニーズは38%高まっている」と彼女は述べた。

「何百万人ものシリア人が困窮しており、緊急に対策を講じなければ、さらに何百万もの人々が食料、きれいな水、医薬品、コロナウイルス・ワクチンを受け取ることができなくなる」と、トマス・グリーンフィールド氏は述べた。「状況は壊滅的で、対策をとらなければ悪化するだけだ」

国際救済委員会のデイヴィッド・ライト・ミリバンド委員長兼CEO(最高経営責任者)は、北西部への援助の続行や、北東部への物資提供の再開への努力を歓迎し、同時に、決議案でバブ・アル・サラムを通じた支援の回復が求められていないことに懸念を示した。トルコ国境のこの検問所を、80万人の避難民が暮らす北部のアレッポへの「直接の出入り口」と、彼は呼んだ。

「以前、暴力や不安定さにより、バブ・アル・ハワは閉鎖に追い込まれ、何百万人ものシリア人に支援物資を適時届けることが危うくなった」と、彼は述べ、緊急の問題として、安保理に「検問所の数や物資の入手を最大限にするよう」呼びかけた。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は北西部最強の武装組織、ハイアト・タハリール・アル・シャームが越境人道支援団を阻み、「トルコ政府は黙認している」と非難した。

ラブロフ氏はシリアへの人道支援の主要な提供者である西側の援助国は、バブ・アル・ハワの期限が延長されなければシリアへの人道的資金調達を中断すると脅して「ゆすっている」と非難した。

「そういったやり方には抵抗することが重要だと、私たちは考える」と、彼は国連のアントニオ・グテーレス事務総長に伝え、AP通信が22日に入手した最近の口頭陳述で述べた。

ロシアのワシーリー・ネベンジア国連大使は23日に、援助物資はシリアの各交戦地帯に届けることができ、届けられるべきだと主張し、国連や西側は過去1年間にそういった支援を推進するために何もしてこなかったと非難した。

西側諸国が「言葉と行動の両面でこの目標に熱意を注いでいると証明しなければ」、1つ残っている、北西部のイドリブへ通じるトルコ国境のバブ・アル・ハワの検問所の期限を更新するかどうかを話し合うのは無駄だと彼は警告した。

「D・デイ(作戦決行日)まではまだ間がある。それが無駄にならないよう願っている」と、ネベンジア氏は述べた。

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