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カブール陥落後のアフガニスタン難民危機に備えるトルコ

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、アフガニスタンの移民にトルコへの移動を避けるよう警告した。(AFP)
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、アフガニスタンの移民にトルコへの移動を避けるよう警告した。(AFP)
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17 Aug 2021 08:08:49 GMT9
17 Aug 2021 08:08:49 GMT9
  • 流入の管理には、イランの支援を伴う国際的なサポートが必要であるとアナリストはいう

メネクセ・トキャイ

アンカラ:トルコは、タリバンが戦争で荒廃したアフガニスタンを急速に奪取し、首都カブールが日曜日に彼らの手に落ちたことを受け、大量のアフガニスタン難民流入に対処するための備えに取り組んでいる。

同日の式典で、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、アフガニスタン移民にトルコへの移動を避けるよう警告すると同時に、アフガニスタンの安定確保に努力を続けることを約束した。

「それを達成するためには、パキスタンとの協力を継続する必要がある。その目的のために、我々が持っているすべての手段を発動する決意がある」と同大統領は語った。

エルドアン大統領は、同国が建設中の警備厳重な壁によって、イラン国境からの流入を阻止すると付け加えた。

しかしトルコでは、すでに深刻な失業率とインフレに直面しており、国民がパンデミックで打撃を受けた経済状況でスケープゴートを探すなか、シリア人とアフガニスタン人を中心とする難民の増加が、さらなる社会的緊張を引き起こす可能性がある。

一方、タリバン創設者ムッラー・オマル氏の息子ムッラー・ムハンマド・ヤアクーブ氏は最近、インデペンデント紙のトルコ支社に「トルコは多くのアフガニスタン人を抱えており、我々が緊密な関係を築くことを望んでいる国である。我々はトルコを敵ではなく、同盟国として認識している」と話した。

アンカラは、NATO軍の最終的な撤退が進むなか、カブール空港に部隊を展開するという提案について、今でもワシントンと協議している。

しかし、アンカラはいくつかの金銭、物流、外交面での前提条件を提示している。

「主な問題は、トルコに難民政策の総合計画がないことです」と、イスタンブールに本拠を置くシンクタンク「エダム」の代表取締役会長で、カーネギー・ヨーロッパの客員研究員を務めるシナン・ウルゲン氏はアラブニュースに語った。

「政府と政府に近い人々から聞こえてくるさまざまな声を考えると、アフガニスタンからの難民流入の可能性について、トルコにどのような準備ができているかは定かではありません。」

ウルゲン氏によれば、トルコ社会は難民問題の転換点に達したようだ。

「シリア難民が2011年から2016年の間に流入した際、トルコ経済は活況を呈していましたが、現在はパンデミックで失業が急増し、経済的危機に瀕しています」とウルゲン氏は語った。

「数日前にアンカラで非常に悲劇的な事件があったように、より多くの難民を抱えることへの反発は、これまでよりはるかに深刻になっています」と同氏は付け加えた。

ウルゲン氏は8月12日に起きた事件のことを言っていた。アンカラでシリア難民によってトルコ人の少年が殺害されたことを受け、トルコ人の群衆がシリア人の店舗、車、家を襲撃したのだ。

技術的なレベルでは、専門家は既存の欠陥に対処し、効果的な国境管理を行う必要性を強調している。

アンカラは最近、イランとの国境に沿って壁の建設を拡大し、295キロに及ぶ国境全体を網羅することを決定した。これまでに149キロメートルが完成しており、監視塔、無線センサー、塹壕を建設してセキュリティーを強化する計画となっている。

「政府に期待される最初の主要な決定は、トルコの国境を物理的に管理し、この物理的な管理が実施されていることをトルコ国民に示すことです」とウルゲン氏は述べている。

「それが行われない限り、最近の挑発行為によって、難民の流入現象について、トルコ内でさらに多くの社会的困難と反発が生み出されることになると私は恐れています」と同氏は付け加えた。

この問題を解決する手段として、トルコは難民政策に関する「社会契約」を用意すべきだとウルゲン氏は話した。

「歴史的に、トルコはその地理的条件のために多くの難民の目的地となっており、近隣する多くの国が不安定の源となっています」と同氏は付け加えた。

「トルコは、難民問題についてどうしたいのかについて、社会契約を用意する必要があります。」

「他の多くの政策分野と同様に、現在の大きく二極化が進んだ政府主導の環境では、この問題について包括的な討議を行うことはできません。」

「必要なのは、トルコの難民政策を支える開かれた議論を行うことです。」

アンカラに本拠を置く亡命・移民研究センターのメティン・コラバティル会長は、イランと国境を接し、アフガン移民の大半が通過するトルコ東部のヴァン県を最近訪れた。

「市内では国境管理が大幅に強化されており、特殊チーム、特別部隊、警察が国境に侵入しようとする移民を警戒しています。移民を取り押さえ、彼らを退去センターに移送する国家機関の担当者も存在します」と、コラバティル会長はアラブニュースに語った。

「国境強化の取り組みは移民の意欲をくじくものとなりましたが、渓谷など国境に沿って横断しやすい場所もあります。」

コラバティル氏は、アフガニスタン難民の流入を管理するには、国際社会の関与が必要であるとともに、イランをはじめ多数の難民を受け入れることができる他の国々との効果的な交渉が必要であると述べた。

「すでにトルコに住んでいる人々に関しては、そのほとんどが住民登録されておらず、国内における妥当な生活基準を確保する権利を享受できていないため、トルコはすぐにでも彼らを登録すべきと考えます」とコラバティル氏は付け加えた。

「彼らはワクチン接種を受けることもできなければ、子供たちを学校に行かせることもできません。」

トルコには約12万人のアフガニスタン人が住民登録されて住んでいる。しかし、記録にない人はそれ以上にいると考えられている。

トルコは、国連の「難民の地位に関する1951年の条約」の批准に地理的な制限を課している。

したがって、ヨーロッパから避難する人々だけが難民の地位を獲得できるが、他の国からの人々へは、合法的な滞在、基本的な権利、サービスが与えられる一時的な保護体制を導入している。

「トルコはこの制限を解除して、すべての移民に一定の基本的権利を与えるべきです。トルコに住む難民の正確な数を知ることは、国際社会が金銭的支援を向けるのにも役立ちます。しかし、これは政府にとってかなりの政治的コストがかかり、野党側の支持も必要です」とコラバティル氏は述べている。

一方、主にシリアとアフガニスタンから西バルカン諸国を越えて不法にEUに入った移民の数は、今年ほぼ2倍になったと、欧州国境沿岸警備機関は発表した。

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