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アンカラ、難民のための手続き拠点の設立計画を拒否

イランとトルコの国境に位置するトルコの都市ヴァンの強制送還センターにいる移民の家族。同国はすでに400万人以上のシリア難民を受け入れている。(AP通信)
イランとトルコの国境に位置するトルコの都市ヴァンの強制送還センターにいる移民の家族。同国はすでに400万人以上のシリア難民を受け入れている。(AP通信)
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24 Aug 2021 05:08:27 GMT9
24 Aug 2021 05:08:27 GMT9
  • 「トルコは難民問題において、国際的なグループやNATO、EUと協力すべき」とアナリストがアラブニュースに語る

メネクセ・トキャイ

アンカラ:アフガニスタンからの亡命者のために、第三国であるトルコにオフショアの亡命手続きセンターを設置するという英国のメディアの報道に対して、トルコ政府は怒りをあらわにした。

この報道は、タリバンによるアフガニスタン占領後、トルコが難民受け入れの責任を明確に否定していることについて、新たな議論を引き起こした。

トルコ外務省は、8月22日に文書による声明を発表し、「トルコにアフガニスタン人亡命者のための亡命手続きセンターを設立する計画があるという英国の報道は、真実を反映していない」と述べた。

「今日まで、どの国からも正式な要請は伝えられておらず、仮にそのような要請があったとしても、いずれにしても受け入れることはないだろう」と付け加えた。

トルコはまた、カブールにおけるEUの大使館の現地スタッフが国外に避難した後の受け入れも拒否している。アンカラは、ブリュッセルが難民の収容について十分な責任を負っていないと主張。

トルコはすでに400万人以上のシリア難民を受け入れており、アフガニスタン人は同国で2番目に大きな難民コミュニティとなっている。

米国の撤退プロセスが始まる前の2020年末の公式発表によると、トルコには11万6千人のアフガン亡命者と980人のアフガン難民が居住している。

論争のきっかけとなったのは、ベン・ウォレス英国防大臣が「Mail On Sunday」紙に書いた記事である。「脱出に成功した難民のために、アフガニスタンに隣接する国に一連の『手続き拠点』が設置されるだろう。英国に来る権利を証明できれば、彼らは英国に渡ることになる」と述べている。

トルコは、アフガニスタンからの移民に対する国境警備を強化するため、イランとの東側国境にハイテクの壁を設置した。

シグデム・ナス

この記事では、受け入れ先としてトルコの名前は挙げられていないが、ガーディアン紙は、「手続きセンターが設置される可能性のある国の例として、英国当局から国名が説明されていた」とも主張している。トルコとパキスタンが候補に挙がっていたと考えられる。

また、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は日曜日、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長に対し、アフガン難民に関する欧州各国の責任をトルコが負うことはできないと述べている。

英国は最近、2万人のアフガン難民を受け入れることに合意したが、初年度は5,000人である。

トルコ経済開発財団の事務局長であるシグデム・ナス氏は、「比較的短期間に移民や難民の数が急増したこと、全体的な移民統合戦略の欠如、経済的・社会的問題により、国民のかなりの部分が難民に対する門戸開放政策に疑問を抱いていることなどから、社会の受け入れ体制の面で大きな問題がある」とアラブニュースに語った。

ナス氏によると、このような状況は意思決定者の妨げとなり、人道的な門戸開放のアプローチを採用することは政治的にコスト高になるという。

彼女は「トルコは、国際機関、NATO加盟国、EUと協力して、トルコに到着した難民の当面の要望を整理し、先進国への再定住を促進すべきでしょう」と述べている。

「トルコは、アフガン移民の新たな流入に対する国境警備を強化するために、イランとの東側国境にハイテク壁を設置して新たな補強を行いました」

「さらに、アフガン難民がイランを経由するルートで到着していることから、周辺国との調整や共同規制も不可欠です」とナス氏は述べ、安全保障や難民問題をめぐる東地中海協定の設立を提案した。

この新たな難民流入が、統合に焦点を当てたプロジェクトを含む、アンカラとブリュッセル間の新たな難民協定策定の引き金になるかどうかは、まだわからない。トルコ当局は、これ以上の難民を受け入れることはできないと繰り返し主張しており、すでにトルコにいる難民を維持するための政治的コストも上昇している。ナス氏によると、アフガニスタンからの大量の難民を受け入れるためには、追加資金は十分ではないという。なぜなら、逃亡する人々にとってトルコは一時的な避難場所ではないからである。

「シリア難民のケースで観察されたように、少なくとも80%の人々は受け入れ先の国に滞在し続けています。ヨーロッパの国々は、より多くの難民を受け入れることに前向きではありません。つまり、トルコに来ることができた難民は、さらに西に向うことは難しく、結果としてトルコに永続的に滞在することになるのです」

「失業率が高く、経済状況が厳しい中で、より多くの難民が存在することは、どの政府にとっても政治的なコストが高くなります」と彼女は述べている。

エルドアン大統領は月曜日、アフガニスタンに関する集中的な国際外交は、「地域の安定を確保し、移民の圧力からトルコを守るために」行われていると述べた。

しかし、サセックス大学アジアセンターの研究員であるザルマイ・二シェット氏は、英国メディアの主張はより広い文脈で理解されるべきだと述べている。

「英国は、他の国と同様に、過去20年間に渡りアフガニスタンで共に働いていた多数の市民を避難させることに取り組んでいる」と彼はアラブニュースに語った。

その後、タリバン政権による迫害の危険性がある市民社会、メディア、政府で働く人々を対象とした「脆弱な人々」もそのカテゴリー(避難対象)に加えた。

「対象となる人々を迅速に避難させるためには、難民の恒久的な居住地としてではなく、手続き処理の目的のために『第三の』国の援助が必要になるかもしれません」と付け加えた。

二シェット氏は、同様のケースとして、カタールの施設を使い、カタールに再定住する人々の手続きを行っていたアメリカを挙げた。今度はイギリスが、イギリスに再定住する人々の手続きのために、トルコの支援を必要とするかもしれないと強調した。

二シェット氏はこう付け加える。「また、トルコは2016年にEUと協定を結び、アフガニスタンからの難民を含むEU諸国への難民流入を止めることにしましたが、トルコは何千人もの人々を、彼らの将来に対する道義的責任を果たすこともなく、アフガニスタンに送還し始めたのです」

「この政策は持続不可能なものでした。トルコは、EUや国連機関、地域の国々の支援と協力を得て、地域的な解決策を見つける必要があります」と彼は述べた。

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