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トルコ、EUの支援により、シリア難民を対象とした4500万ドル規模の病院を開設

ハタイ県国境地区のドルティオールにある250床の医療施設の建設は、トルコの保健省とEUの共同プロジェクトで進められている。(提供)
ハタイ県国境地区のドルティオールにある250床の医療施設の建設は、トルコの保健省とEUの共同プロジェクトで進められている。(提供)
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17 Dec 2021 10:12:28 GMT9
17 Dec 2021 10:12:28 GMT9
  • ハタイ県に250床の医療施設を2022年初頭に開設予定
  • 地域社会と難民の双方にとって、健康の拠点となることが期待される

メネクセ・トキャイ

アンカラ:来年初頭、増え続けるシリア難民のコミュニティのニーズに応えるため、EUの支援を受け開発された新しい病院がトルコ南部に開設される予定だ。

この250床の病院は、トルコ保健省とEUの共同プロジェクトで、ハタイ県のシリア国境地帯、ドルティオールに建設される。施設の建設費用は約4,000万ユーロ(4,500万ドル)で、同省とフランス開発庁が計画を管理している。

アンカラに拠点を置くシンクタンク経済政策研究財団(TEPAV)の移民政策アナリストであるオマー・カドコイ氏はアラブニュースに対し「これは非常に重要な動きです」と述べた。

「トルコ国内にはいくつかの移民医療センターがありますが、提供できる医療サービスは限られています。病院を建設することで、ハタイ県の医療インフラ全体の負担を軽減し、ホストコミュニティのメンバーやシリア人へのサービスの水準を維持することができます」

当局は、この施設が1日あたり約6,000人の患者に対応し、地域社会と難民、特に紛争地域から来た人々の両方にとっての健康の拠点となることを期待している。

カドコイ氏は、この病院がシリア北西部の深刻な医療能力不足の解消に役立つと述べている。

「北西部の医療システムは、400万人のシリア人の医療ニーズに応えるために奮闘していますが、その一方で、シリア軍とその同盟国の攻撃を受け、常に崩壊の危機にさらされています。その上、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、すでに手薄になっているこの地域の医療システムをさらに悪化させ続けています」

ハタイ県には43万人以上のシリア人登録者がおり、同県の総人口の26.4%を占めている。これは、イスタンブール(53万人以上)、ガズィアンテプ(約45万人)に次いで、国内で3番目に大きなコミュニティとなる。トルコ全体では約400万人のシリア人が在住している。

アンカラにある移民・難民研究センター(IGAM)のメティン・コラバティア氏は、国境沿いの地方で難民が増加しているため、地元住民と難民の両方が医療サービスを受けることが困難になっていると述べている。

「そのため、国際社会が対象地域で必要な医療インフラの構築や改修を支援することは、恵まれないグループだけでなく、すべての人の健康問題を管理する上で非常に重要なのです」と同氏はアラブニュースに語った。

またコラバティア氏は、医療施設での翻訳サービスの必要性も強調している。

「病院の周辺では、医療サービスを受けようと必死になっている難民を対象とした、利益重視の市場が形成されています。トルコ語が堪能でない彼らは、翻訳サービスを提供する団体に多額のお金を支払わなければならない状態です」

しかし、誰もがその費用を払えるわけではないと同氏は語る。

「そのため、無料の翻訳施設をこれらの新しい医療プロジェクトに不可欠なものとする必要があります」

EUはこれまでにトルコに対し7億8,000万ユーロの医療資金を提供しており、これにより430台の救急車や177カ所以上の難民用医療センターの建設費用が賄われている。

トルコ政府は、スィハット(SIHHAT)プロジェクトとして知られる長期的なEU資金援助計画の下、29の州でシリア難民の医療アクセスの改善を図ってきた。

また、何百人ものシリア人医師や医療従事者が、WHOのスキームに基づきトルコでトレーニングを受けている。

ドルティオールの新病院の建設は、トルコが11月にEUとの間で、国内難民を対象にした医療インフラ改善を目的とした7,930万ユーロの協定の批准後に行われた。

この協定には、複数の保健センター、公立病院の理学療法室やリハビリテーション室の建設や改修、医療機器や消耗品の調達などが含まれる。

カドコイ氏は次のように述べている。「EUとトルコがこのような協力関係を継続することは非常に重要です。弱い立場にある人々の生活を守ることは世界共通の義務であり、この病院の建設は、その責任の共有に制限はないことを示すものです」

「トルコとロシアの合意により、シリア北西部は今のところは大規模な軍事攻撃とその血なまぐさい結果から守られています。しかし、状況はいまだ不安定です。軍事的なエスカレーションが起これば、何千人もの人々が安全な場所を求めて国境を越え、医療を必要とするようになるでしょう。この病院の建設は、将来的にそのような状況が発生した場合に、最悪の結果を回避するための予防措置でもあります」

シリアとの国境に位置するトルコ南部のキリス県でも、EUと共同で病院の建設が進められている。

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