Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 新たな砂嵐が中東各地を襲い、苦難が続く

新たな砂嵐が中東各地を襲い、苦難が続く

砂嵐の中を走るウェデイングカー。2022年5月23日、イラクのモスル。(ロイター)
砂嵐の中を走るウェデイングカー。2022年5月23日、イラクのモスル。(ロイター)
Short Url:
24 May 2022 05:05:23 GMT9
24 May 2022 05:05:23 GMT9
  • 今年になって砂嵐が前例がないほど立て続けに発生しており、今回もその例だ。住民は困惑し、専門家は警戒を強めている
  • 地球考古学者のジャーファー・ジョゼリ氏「地域全体にわたる問題だが、国によって脆弱性や弱点の程度が異なる」

バグダッド:月曜日、イラク、シリア、イランなど中東各地を砂嵐が覆い、人々が病院に運ばれ、一部の場所では航空便に支障をきたした。

今年になって砂嵐が前例がないほど立て続けに発生しており、今回もその例だ。住民は困惑し、専門家や当局者は警戒を強め砂嵐は気候変動と政府の規制の不備のせいだとしている。

月曜日、リヤドからテヘランまで、明るいオレンジ色の空と厚い砂のベールがまた新たな砂嵐の到来を告げていた。砂嵐は典型的には春の終わりから夏にかけて発生し、季節風によって拍車がかかる。しかし、今年は3月以降イラクでは毎週のように発生している。

イラク当局はこの2ヶ月で10回目となる砂嵐に備えてその日を国民の休日にすると宣言し、政府職員と住民に対して自宅待機を要請した。声明によれば、保健省は砂嵐が直撃する地域の施設に酸素缶を備蓄しているという。

砂嵐により数千人が病院に運ばれ、イラクで少なくとも1人、シリア東部で3人が死亡した。

「地域全体にわたる問題だが、国によって脆弱性や弱点の程度が異なる」 と、バグダッドのアルカディシア大学の地球考古学者であるジャーファー・ジョゼリ氏は語る。

シリアでは、イラクと国境を接する東部のデリゾール県で砂嵐が発生し医療部門が警戒態勢に入ったと、シリア国営テレビは報じている。今月は既に同様の砂嵐が同地域を襲っており、少なくとも3人が死亡、数百人が呼吸困難を訴え入院した。

デリゾールの保健省事務所長であるバッシャール・シュアイビ博士が国営テレビに対し語ったところによると、病院は準備を整えており救急車が待機しているという。850個の酸素ボンベを追加し、喘息患者への対応に必要な医薬品を準備したとのことだ。

今月は、イラク、イラン、クウェート、サウジアラビアの各地も激しい砂嵐に襲われている。

クウェート国際空港では月曜日、砂嵐のため今月2回目の全便欠航となった。動画には、ほとんど人がおらず視界が悪い通りが映っていた。

サウジアラビアの気象協会の報告によると、今週は首都リヤドの道路では視界がゼロになるという。当局は徐行運転を呼びかけている。今月、市内の救急科には正常に呼吸ができないと訴える1285人の患者が溢れた。

イランは先週、国を襲った砂嵐のため首都テヘランの学校や政府機関を閉鎖した。砂嵐は南西部の砂漠地帯フーゼスタンで最も激しく、800人以上が呼吸困難を訴え治療を受けた。イラン西部発の数十便の航空便がキャンセルまたは遅延となった。

砂嵐と深刻な大気汚染に対する非難が高まっており、ある著名な環境専門家が地元メディアに対して語ったところによると、気候変動、干ばつ、政府による水資源の不適切な管理が砂嵐増加の原因だという。イランは農業用に湿地を干拓したが、それはこの地域で砂嵐を発生させることが知られている一般的な方法だ。

イラン水技術者協会長であるアリレザ・シャリアット氏が半国営のイラン労働通信に対し先月語ったところによると、大規模な砂嵐はイランがこれまで経験したことがないような「毎年春に恒例の現象」となることが予期されるという。

イラクでは、記録的な降雨不足により進んだ砂漠化のせいで砂嵐の激しさが増していると、地球考古学者のジョゼリ氏は語る。砂漠地帯が多い低地の国では影響がほぼ倍になるという。

「17年にわたる水の不適切な管理と都市化により、イラクは緑地の3分の2以上を失った」とジョゼリ氏は語る。「地域の砂嵐に対してイラクの人々が近隣諸国以上に不満を訴えるのはそのためだ」

特に人気
オススメ

return to top