• 米国とイランの影響力に対抗する立場を表明してきたサドル師は、国会を辞職する理由を詳しく述べていない。手書きのメモには、祖国のための「犠牲」と書かれていた。

バグダッド：イランに支援されたライバルとの紛争につながるか、政権をめぐる争いで妥協を余儀なくされるか、モクタダ・アル・サドル師は、イラクのための闘いで大きな政治的賭けに出た。

党が議会で最大の議席を獲得してから8ヶ月経っても政権を樹立できないことにいらだった指導者は、日曜日に議員を辞職させ、イラクの政治を未知の領域へと舵を切った。

この動きは、20年前にアメリカ主導の侵攻でサダム・フセインが倒されて以来、勢力を伸ばしてきたシーア派社会での影響力をめぐる闘争が深まっていることを示している。

サドル師の動きは、サダム政権後の秩序に対する重大な挑戦であり、イランから支持されるライバルたちに大きなジレンマをもたらしている。

理論的には、サドル派は暫定政権を継続するムスタファ・アル・カディミ首相を退陣させ、自らの選択でこれに代わる政権を樹立することができる。

しかし、現実には、このような動きは不安を引き起こし、以前から武装していたサドル師の膨大な支持基盤との紛争につながる可能性が高いと分析されている。

イランにとって、イラクの政治危機の最近の展開は歓迎されるものでなく、シーア派内の亀裂が浮き彫りとなり、その影響力を弱める危険性をはらむものだ。

サドル師は、米国とイランの影響力に反対する立場をとっているが、国会を辞職した理由を詳しく述べていない。手書きのメモには、祖国のための「犠牲」だと書かれていた。

イランが支援するサドル師反対派は、彼の動員力を十分認識した上で、慎重に動いているようだ。彼らは月曜日に会議を開いたが、新たな決定事項を発表しなかった。

イラン系シーア派政治家のアーメッド・キナニ氏は、「サドル師の意外な決断に不意を突かれており、われわれが先に進んで政府を樹立した場合には、悪いシナリオが待っていると考えている」と述べた。

「サドル派抜きで政権を樹立することは大きなリスクとなるため、次のステップを決定する前に、最近の重要な展開を注意深く読み解くことが必要だ。我々は待ち伏せされることを望んでいない」と述べた。

サドル師は次の行動を表明していない。彼は、米軍との戦闘、内閣辞職、政府への抗議など、過激な行動をとってきた実績がある。昨年、彼は選挙をボイコットすると宣言したが、その後、方針を転換した。

「今、われわれは政界の外にいる。サドル派なしで新しい政権がどのように立ち上がるか見てみましょう」と、彼の事務所の関係者は語った。

イラク政治思想センターのイーサン・アル・シャマリ所長は、サドル派のライバルが単独で政権を樹立するとは考えていない。「そのような政権は死産となるだろう。サドル師の信奉者たちは、イランの支援を受けた勢力にモクタダが破れ、政治的に孤立するのを見ることを受け入れないからだ」と述べた。

聖職者王朝の承継者であるサドル師は、侵攻後に頭角を現し、米軍に戦いを挑み、後にイラク当局と衝突した忠誠心の強い戦士たちの勢力を確立した。

近年、サドル師はイランの支援を受けるライバルとは一線を画そうとしており、イラクの民族主義者であることを強調している。

また、彼は多くの信奉者を国の地位に就かせる一方で、イラクに石油資源が豊富であるにもかかわらず、政府が腐敗し、サービスを提供できていないことに国民の怒りを向けさせた。

10月の選挙以来、イラクは政治的に行き詰まり、サドル師は329議席中73議席を獲得し、イランの支援を受けた（民兵を有する）派閥は低調な結果に終わった。

サドル師の反対派は不正投票を主張し、クルド人とスンニ派アラブ人の連合とともに新政権を樹立しようとする彼の努力を妨害してきた。

議会は、3分の2の定足数を確保できなかったため、3度、新大統領を選出することができなかった。イラクの権力共有システムの下で、大統領はクルド人が就任することとされている。