• 「HTSはシリア軍駐屯地に砲弾とロケット弾を発射し兵士8人を殺害した」と、英国に拠点を置くシリア人権監視団は発表した。
• イドリブ地域には約300万人が居住している。約半分は避難民。

ベイルート：シリア北西部で1日、過激派組織「タハリール・アルシャーム機構（HTS）」が攻撃を行い、シリア兵8人を殺害した。戦争監視団が報告した。

「HTSはシリア軍駐屯地に砲弾とロケット弾を発射し兵士8人を殺害した。その場所はイドリブ県カフルルーマの近くだった」と、英国に拠点を置くシリア人権監視団は発表した。

HTSを率いているのは、シリアの旧アルカイダ系組織のメンバーだった者たちだ。

シリア国営メディアはこの攻撃をすぐには報じなかった。

北西部イドリブ県の約半分と、近隣のハマ県、アレッポ県、ラタキア県に隣接する地域は、HTSや他の反政府勢力に支配されている。

イドリブ地域には約300万人が居住している。約半分は避難民だ。

シリア人権監視団のラミ・アブドルラフマン代表はAFPにこう話した。「2022年終盤以降、HTSは、イドリブにいる政府軍に対する作戦を強化している……その背景にあるのはトルコとシリアの関係改善だ」

同氏によると、政府軍と過激派の交戦や衝突により、今年になってから63人が死亡しており、うち45人は親政府勢力だという。18人いた過激派の1人はフランス人だった。

トルコがシリアの宿敵になったのは、シリア内戦が始まったときにトルコが、反政府勢力による打倒アサドの動きを支援し始めたときだった。

しかし12月下旬、トルコ、シリア両国の国防相はモスクワで、2011年以来となる画期的な交渉を行った。

この和解の提示に、シリアの反体制派の指導者や、トルコが間接的に支配しているシリアの領土に主に居住している支持者は警戒している。

バッシャール・アサド大統領は先月、ロシアの仲介によるトルコとの和解は、トルコがシリアの領土の「占領を終わらせること」を目標にすべきだと述べた。

トルコはシリア北部に軍事基地を置き、アサド政権と戦っている地域組織や、トルコが「テロ」組織とみなしているシリアのクルド人勢力に対抗している地域組織を支援している。

トルコは強硬派のHTSを公に支持したことはないが、HTSの部隊と連携しているとみられている。

テロ組織だとして国連から制裁を受けているHTSは、2016年にアルカイダとの関係を正式に断ち、イメージを大きく変えるためにシリアのいくつかの小規模な反政府勢力を組み入れた。

HTSは、シリアの反政府勢力の中では最も強く、最もよく組織されている、と多くの人に思われており、シリアの反体制派の中心としてふるまっている。

ロシアとイランの支援を受け、シリア政府はシリア内戦の初期に失った土地の大半を取り戻した。シリア内戦は、アサド政権が民主化デモを残忍に弾圧した2011年に始まった。

シリア内戦では、2011年の開戦以降、約50万人が死亡しており、シリアの戦前の人口の約半分が避難している。

衝突は定期的に起きているが、ロシアとトルコが2020年に結んだ停戦は、北西部ではほぼ維持されている。

AFP