Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • トルコ・シリア地震 厳しい天候下で刻々と過ぎる時間

トルコ・シリア地震 厳しい天候下で刻々と過ぎる時間

生存者の捜索が続く中、損壊した建物から救出されるIlhami Akbulut氏(51歳)=2023年2月9日、トルコ・ハタイ。(ロイター)
生存者の捜索が続く中、損壊した建物から救出されるIlhami Akbulut氏(51歳)=2023年2月9日、トルコ・ハタイ。(ロイター)
Short Url:
10 Feb 2023 09:02:25 GMT9
10 Feb 2023 09:02:25 GMT9
  • 木曜日、最初の国連援助隊がトルコ国境を越えてシリア北西部に到着した
  • 救助隊は、家族などの安否を心待ちにしている地元市民に対し、瓦礫の下敷きになった生存者の探索活動の妨げにならないよう、静粛を呼びかけている

メネクセ・トキャイ

トルコ:ほんの2か月前、トルコ南部の都市ハタイで合唱団員兼音楽教師を務めていたCansu Cilingir氏は、「枯葉」を歌っていた。元々オペラ歌手だったCilingir氏は、甘美な声で心揺さぶるパフォーマンスを披露していた。間もなく悲劇が彼女のキャリアに早々と終止符を打つことになるとは知らずに。

マグニチュード7.8のトルコ地震で、彼女は3日間瓦礫の下で近所の住民らと共に助けを待ち、1台のクレーン車によって救出された後に、水曜日の正午ごろ、息を引き取った。

「私たちは…素敵な友人Cansuを失いました。彼女の美しい声、誠実さ、笑顔をいつまでも忘れないでしょう」と、Cilingir氏が長らく歌手として在籍していたマグマ合唱団の指揮者、Masis Aram Gozbek氏は話した。

最新データによれば、トルコでは14,014人以上、隣国のシリアでは3,162人の死者が出ており、その数は増加の一途をたどっている。月曜日の双子の地震後、10万人以上もの救助隊員らが現在トルコ国内10県で活動している。

最初の国連援助隊が、木曜日にトルコから国境を越えてシリア北西部に入った。

災害の地理的範囲を踏まえ、地元住民らは、瓦礫の除去、速やかな捜索と救助活動のために、クレーン車、掘削機、起重機オペレーターが緊急に必要であることを訴えている。

現地からは、災害管理機関AFADのチームが建物内で活動しようにも、生存者の声が聞き取れず、支障をきたしているという報告も入っている。

救助隊は、家族などの安否を心待ちにしている地元市民に対し、瓦礫の下敷きになった生存者の探索活動の妨げにならないよう、静粛を呼びかけている。

ハタイで低所得で暮らしていたTaha Duymaz氏は自宅で撮影した食べ物動画で有名になり、Instagramでフォロワー120万人を獲得したが、今、彼の姉または妹が、彼と他の親族の救助を切実に訴えている。彼女は、救助隊が瓦礫の中から生存者の声を聞き取れず、救助活動が停止していると話した。

Duymaz氏は、一度目の地震の数時間前にTikTokに動画を投稿していた。彼の姉または妹は、彼がもしかすると気絶しており、そのため瓦礫の下から助けを呼ぶことができずにいるのではないかと考えている。

AFADは、キリスやサンリュルファなどいくつかの都市で救助・捜索活動を完了した。

地震発生から4日後に瓦礫の中から人々が救出されるなど、奇跡的な救出劇もあった。しかし、その多くは若者や子ども、赤ん坊だった(成人はほぼ皆無)。彼らは瓦礫の下の狭い空間でかろうじて安全を確保することができたのだ。

捜索・救助活動に対する国際的な支援は著しく、フランスとスペインは直ちに現地に野戦病院の設置に着手した。

トルコ政府は、地震の被害を受けた地域の外にテントや仮設宿泊施設を設置し、被災地からの避難を希望する者にはスポーツセンター、避難所などが割り当てられた。

また、政府や市民の取り組みにより、移動式のキッチンやベーカリーも設置された。また、霊安室としてはカフラマンマラシュのスポーツセンターが活用されているが、複数の被災者がアラブ・ニュースに語ったところによると、現状では被災者の家族らは遺体を墓地に移すために手押し車を使っており、遺体を覆い隠すものや墓地に移送するための車両がただちに必要であるとのことだ。また、多くの人々が、通りに遺体の強烈な臭いが漂っていると話した。

病院の外で、犠牲者の遺体を載せたキャスター付きベッドを引く警備員と、その横に立つ2人の人=2023年2月9日、トルコ・キリハン(ロイター)

以前、壊滅的な被害をもたらしたマグニチュード7.6のマルマラ地震で捜索・救助活動に携わった専門家のAyse Yildiz氏は、救助活動のために昨日南東部のマラティヤ県に派遣された。

国際難民法を専門とする学者である彼女は、崩壊した建物の下敷きとなった生存者の創作活動に夜通し当たった。わずかな睡眠をとった際には、現地にボランティア全員が入れるような大きなテントがなかったため、床の上で寝た。

Yildiz氏は、眠れない夜を過ごした後に再び厳しい救助活動に従事したが、同時に、残された時間が限られていることを認識している。

「私たちは瓦礫の下から遺体しか掘り出せていません。この寒さの中で生存者はいないのです。ハタイはマラティアほど寒くはありませんでしたが、ここでは雨や雪が瓦礫の下に閉じ込められた人々の命を脅かし、低体温症による死を招いています」と、彼女はアラブ・ニュースに話した。

また、「世界各国から集結し被災者の救助に尽力している救援隊に感謝しています。これまでにマルタとイタリアからの救助隊を目にしました」と述べた。

マラティアの一部地域では、救援活動の関係者から、救助隊員が休憩したり交代で寝たりすることができる設備やテントが不足しているとの声が上がっている。

「救助活動は今のところ、もっぱら人力頼みです。私は瓦礫の山に入ったが、瓦礫を取り除こうにも細かく砕けていたため、何一つ除去できませんでした。私は小さな我が子をイズミルに残してきたので、ここで子どもの命を助けたいと強く思っていました。無理なようです。しばらくしたら、衛生面や病気の面で深刻な問題が出てくるでしょう」とYildiz氏は話した。

同じく震災の被害にあった南東部のアディヤマンでは、一部生存者が救出後に内出血で死亡するケースがあった。

「私の生徒のNazim Can Hartlapは、宿泊先のホテルの瓦礫から震災初日に救出されましたが、その後、内出血で倒れ、帰らぬ人となりました。彼はエスキシェヒル・アナドル大学に来た当時、経済的な問題を抱えており、私たちは彼に滞在する場所を提供しました。彼は、情報通で教養のあるガイドになろうと懸命に勉強していました」と、Meral Unver氏はアラブ・ニュースに語った。

同じ崩壊したホテルでは、他にも北キプロス出身の学校バレーボール選手3人の遺体が救助隊員によって発見された。

3月にはブリュッセルにてEU主催の下、トルコ・シリア地震被災者の支援に向けた国際社会からの出資を議論する会議が開催される予定だ。

また、EU市民保護メカニズムの活動の一環として、過去最大規模の1,485人の救助隊員と100頭の捜索犬がトゥルキエで動員された。EU加盟国21か国とアルバニア、モンテネグロ、セルビアが救助・医療チームの派遣を申し出た。

木曜日には、ヤネス・レナルチッチ欧州委員会委員がEUの対応に関する危機管理コーディネーターとして、ガジアンテプに到着した。EUはこれに加えて、トルコに仮設住宅ユニット、テント、ベッドを送った。

時を同じくして、救助活動のスピードに対する批判が高まる中、トルコでは水曜日、Twitterへのアクセスが規制され、多数のユーザーがVPN経由でのアクセスを余儀なくされていると訴えている。救助活動中、Twitterは強力なコミュニケーションツールとして機能した。瓦礫の下敷きになった人々がTwitterでのつぶやきを通して、家族や当局に自分の居場所を伝えることができたのだ。

電力は、被災地の街頭で復旧したが、地下の主要な配電線はまだ修復が続けられている。

「初日は悪天候のため、私たちは…ドローンや航空機で現地を視察することができませんでした。現在、私たちは救助活動を空中からサポートしています」と、フアット・オクタイ副大統領は水曜日に記者会見で述べた。

歌手のTarkanや俳優のKivanc Tatlitug氏を含む数名の著名人が、人道支援活動に多額の寄付を行った。

世界保健機関(WHO)は、最終的な死者数は2万人を超える可能性があり、1999年の地震以来、トルコ史上最多数となると推定している。

特に人気
オススメ

return to top