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スーダンのダルフールの反乱を鎮圧することで権力への道を切り開いたヘメッティ

ヘメッティが最初に武装したのは西ダルフール地方においてであり、彼の商売用の車列を襲撃してきた集団に家族約60人を殺害されラクダを略奪された後だった。(ロイター)
ヘメッティが最初に武装したのは西ダルフール地方においてであり、彼の商売用の車列を襲撃してきた集団に家族約60人を殺害されラクダを略奪された後だった。(ロイター)
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16 Apr 2023 08:04:27 GMT9
16 Apr 2023 08:04:27 GMT9
  • 同将軍はスーダンの激動の政治の中で10年にわたり重要な役割を果たしてきた

ハルツーム:スーダンのモハメド・ハムダン・ダガロ将軍(通称ヘメッティ)は、身分の低い出自から、広く恐れられたアラブ系民兵組織のトップにまで上り詰めた。この組織がダルフールの反乱を鎮圧したことでヘメッティは影響力を獲得し、最終的に国で二番目に有力な地位を得て最も裕福な人物の一人となった。

15日、「即応支援部隊(RSF)」と国軍の間で戦闘が勃発した。RSFは準軍事組織になる前はダルフールの民兵組織だった。

ヘメッティはスーダンの激動の政治の中で10年にわたり重要な役割を果たしてきた。2019年にはかつての恩人であるオマル・バシール大統領(当時)の打倒を支援し、後には民主化を求める国民のデモを鎮圧した。

元ラクダ商人で正規の教育をほとんど受けていないヘメッティは、国のナンバー2として、崩壊しつつある経済や反体制勢力との和平交渉など、バシール政権後のスーダンにおける最も重要な政策を引き受けてきた。

ヘメッティの権力の大半は、トラックに搭載したRPGや機関銃で武装した威嚇的な若者たち、すなわち彼が率いる準軍事組織RSFに由来している。RSFはダルフール地方における砂漠戦を極めているが正規軍の規律に欠けている。

ヘメッティの元補佐役であるムハマド・サード氏によると、ヘメッティが最初に武装したのは西ダルフール地方においてであり、彼の商売用の車列を襲撃してきた集団に家族約60人を殺害されラクダを略奪された後だった。ダルフールでは2003年以降、主に非アラブ系の反体制派がハルツームの政府に対して蜂起し、紛争が広がっていた。

長身で堂々とした人物であるヘメッティは、アラブ系遊牧部族民からなる親政府民兵組織(現地では「ジャンジャウィード」と呼ばれる)を結成し、後にこの組織をより多様な構成のRSFへと再編成した。

国際刑事裁判所は、2003年に始まり30万人もの死者と270万人の難民を出したダルフールにおけるジェノサイド、および人道に対する罪について、バシール元大統領やその他の高官の逮捕状を出した。ヘメッティは何の罪にも問われなかった。

内部関係者によると、バシール元大統領は30年にわたる支配の中で、敵対者から身を守りたい時にはヘメッティを用心棒として選んだという。

ヘメッティの狡猾さと戦闘技能を高く買ったバシール元大統領は、ダルフール紛争やスーダンの他の場所において国家の敵に対処するうえで彼を頼りにした。

ヘメッティの民兵組織は合法化された。彼は中将の階級を獲得しただけでなく、ダルフールの金鉱を接収しスーダンの最も貴重な資源を売る自由を与えられた。スーダンが相次ぐ経済危機で低迷する中、ヘメッティは裕福になった。

ヘメッティはBBCのインタビューの中で、「私は金鉱を所有する最初の男ではない。それは事実だ。我々は金鉱を持っており、金で仕事をすることを妨げるものは何もない」と語っている。

長年バシール元大統領を支えてきたヘメッティだったが、2019年には、民主化と経済的苦難の終結を求めるデモの圧力に直面していた長年の同盟者の追放に加わった。

ヘメッティは、バシール元大統領失脚後に設立された文民・軍のパートナーシップのもと、スーダンの未来作りに早急に着手した。同国は植民地支配後の歴史の大半を通して、奪取で権力を握った軍事指導者によって支配されてきた。

彼は公の場で「真の民主主義」の必要性について語り、欧米の大使と会談し、反体制勢力と交渉した。

反体制派のある人物(報復を恐れて匿名を希望)は、「ヘメッティはスーダンのナンバーワンになろうと計画していた。彼は果てしない野心を持っている」と語った。

ヘメッティは異論に対して寛容をほとんど示さなかった。目撃者によると、RSFはバシール元大統領追放後の2019年、国防省の外の抗議キャンプを暴力的に弾圧し100人以上を殺害した。ヘメッティは襲撃を命じたことを否定した。

2021年10月、軍が権力を掌握し非常事態を宣言したことで、文民・軍の権力共有協定は終了した。この動きは政治団体から軍事クーデターであると非難された。

ヘメッティはビデオ声明の中で、軍が権力を掌握したのは「国民の革命の軌道を修正」し安定を実現するためだと述べた。

ヘメッティは、合意や選挙があれば軍は権力を引き渡す用意があると言ったが、国民の多くは確信を持てなかった。

しかし、ヘメッティ率いるRSFと軍の間の分断は、民政回復に向けた努力を困難なものにしている。

スーダンの弁護士であるアフメド・T・エル・ガイリ氏は、「私は以前から、彼(ヘメッティ)はスーダンの民政移行だけでなく国家そのものの存続に対する脅威だと思っている」と話す。

ロイター

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