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戦車とツイッター:スーダンの将軍たちの多面的な戦争

2023年4月23日、戦闘で疲弊したスーダンの首都ハルツームを脱出してポートスーダンに向かう人々を乗せた車列を撮影したAFPTVの映像からとった画像。(AFP)
2023年4月23日、戦闘で疲弊したスーダンの首都ハルツームを脱出してポートスーダンに向かう人々を乗せた車列を撮影したAFPTVの映像からとった画像。(AFP)
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24 Apr 2023 06:04:18 GMT9
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  • 軍トップのアル・ブルハン氏とそのライバルであるダガロ氏は「メディアに偽情報を溢れさせている」

カイロ:スーダンでトップの地位を占める将軍たちの権力闘争が流血の事態に発展したとき、いくさ慣れした司令官たちは戦闘機や戦車、それにソーシャルメディアと、あらゆる武器を駆使している。

軍トップのアブドゥルファッターフ・アル・ブルハン氏とその副官でライバルに転じたモハメド・ハムダン・ダガロ氏は、「メディアに偽情報を溢れさせている」と、スーダンの情報工作を調査するビームレポートのラグダン・オルスッド氏は述べた。

国営テレビ局の本社周辺を含めて市街戦が激化し、自宅に閉じ込められた500万人に上るスーダンの首都の住人にとって、ツイッターやフェイスブックがすぐに重要な情報源になった。

それ以来、敵対する両勢力は、「恐怖状態」を深めることを目指して、オンラインメディアを通じたキャンペーンで「歪曲された事実」を発信していると、ボストンにあるノースイースタン大学の情報工作研究者モハメド・スリマン氏は述べた。

ダルフール地域で長年にわたり過激な暴力を主導した民兵組織ジャンジャウィードが元になって形成された数万人規模の部隊である、準軍事組織の即応支援部隊(RSF)が、正規軍と戦闘を繰り広げている。

現時点ではどちらの側も優位に立てていないようだが、スリマン氏によると、言葉の戦争では準軍事組織RSFが軍の「古い戦術をしのいでいる」。

支配権をめぐる争いの過程で、両サイドともソーシャルメディアを活用してメッセージを発信してきた。

アル・ブルハン氏とダガロ氏は、2021年のクーデターで政権を奪取した際に同盟関係にあったが、その後、仲違いして苛烈な権力闘争を繰り広げ、4月15日に至ってむきだしの戦闘に突入した。

「ヘメッティ」の名でよく知られるダガロ氏は、元ラクダ商の民兵司令官で、多くの残虐行為を行った部隊の指導者として非難されている。

最近は、自らを政治家として描き出そうとしている。

戦闘が始まってから2日目にダガロ氏が、RSFは「無辜の人々を対象に残忍な軍事行動を行っている過激なイスラム主義者」と戦っていると、洗練された英語で主張する投稿を始め、一部のソーシャルメディアのユーザーは面食らった。

この地域の専門家によると、これらのメッセージは、RSFが「インターネット空間でのイメージとメッセージングに関して専門家のサービスや支援の恩恵に浴している」証拠だと多くの人がみなしている。

アトランティック・カウンシルのデジタル・フォレンジック・リサーチ・ラボの専門家は、RSFの長期的な情報工作キャンペーンが2022年12月以降増加していると記録している。

同ラボは、RSFの投稿の人気を「人為的に増幅」させている2つのネットワークを追跡した。うち1つは「乗っ取られた可能性のある900以上のツイッターアカウント」である。

戦闘が始まる前に、それらのネットワークは「ヘメティ氏を、民主化に向けた動きを支持する改革派の将軍であり、強力な準軍事組織の有能な指導者であり、スーダンの将来の有望な指導者であると描き出した、と同ラボのテッサ・ナイト氏は記している。戦闘が始まると、その論調は、ダガロ氏を「スーダンを守り、反逆者を掃討するために戦う英雄」とブランディングする内容に移行した。

オルスッド氏によると、アル・ブルハン氏と軍も情報戦での勝利を目指しているが、より「伝統的」なプロパガンダを採用している。

イエメンやリビアでの紛争や少なくとも1件のビデオゲームなどの、古い映像を使用して軍を賞賛する、事実誤認を招く投稿がにわかに増えたことを、ファクトチェックする人たちは記録している。

フェイク映像には、ダガロ氏の自宅で札束が押収される状況を撮影したとするものもある。

情報の混乱を増幅するように、20日にツイッターはアル・ブルハン氏の公式アカウントなどから、無料の青いチェックマークを剥奪した。

お金を出せばチェックマークが手に入るようになったことで、RSFを偽装した少なくとも1つのアカウントが青いチェックマークを購入し、ダガロ氏が死亡したとの偽情報を流した。RSFのアカウントも青いチェックマークを購入したが、ダガロ氏のアカウントは、政府関係者であることを示すグレーのチェックマークが付けられたままだ。

ソーシャルメディアの戦争は、RSFにとってなんら目新しいものではない。

ビームレポートは、軍が独裁者オマル・バシール氏を追放した後の2019年5月にフェイスブックで開始された、「RSFのイメージを洗練されたものにする組織的なキャンペーン」を追跡している。

2019年から2021年にかけて、フェイスブック社は、「協調的な不正行為」を働いたとして、RSFに結び付けられる1千個以上のフェイスブックとインスタグラムのアカウントを閉鎖した。これには、アル・ブルハン氏とダガロ氏がクーデターを主導するわずか1カ月前に行われた数百件も含まれる。

民兵の司令官から政治家へのリブランディングを目指すダガロ氏は、以前にも外部の支援を得ており、2019年5月には、米国やロシアなどの指導者との関係を築くためにカナダのロビイング会社と600万ドルの契約を交わしている。

翌2019年6月には、ハルツームの民主化デモを鎮圧する際にRSFの部隊が発砲して128人が死亡したとして、非難されている。

AFP

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