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イスラエル軍、ナブルスで20歳のパレスチナ人男性を殺害

イスラエル支配下のヨルダン川西岸地区に位置するナブルスのアル・アイン難民キャンプで行われた葬儀で、イスラエル軍の攻撃によって殺害されたカリル・アル・アニス氏の遺体を運ぶ葬列者たち。2023年6月15日(ロイター)
イスラエル支配下のヨルダン川西岸地区に位置するナブルスのアル・アイン難民キャンプで行われた葬儀で、イスラエル軍の攻撃によって殺害されたカリル・アル・アニス氏の遺体を運ぶ葬列者たち。2023年6月15日(ロイター)
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16 Jun 2023 03:06:38 GMT9
16 Jun 2023 03:06:38 GMT9
  • パレスチナ赤新月社の報告によると、この他、紛争中にイスラエル軍の銃弾およびガスによって子ども4人を含む337人が負傷した。
  • またイスラエル軍は、実弾および閃光手榴弾を用いてパレスチナの救急車を直接攻撃し、車両は窓が割れるなどの被害を受けた

モハメッド・ナジブ

ラマッラー: 15日未明、イスラエル軍によるナブルスの軍事侵攻により、20歳のパレスチナ男性カリル・アル・アニス氏が頭に銃弾を受け射殺された。

イスラエル軍がパレスチナ人拘束者オサマ・アル・タウィール氏宅を爆破したことで武力衝突が発生した。

 パレスチナ赤新月社の報告によると、この他、紛争中にイスラエル軍の銃弾およびガスによって子ども4人を含む337人が負傷し、うち2人は重傷となった。

またイスラエル軍は、実弾および閃光手榴弾を用いてパレスチナの救急車を直接攻撃し、車両は窓が割れるなどの被害を受けた。救急隊員にけがはなかった。

アル・アニス氏の死によって、今年初めからイスラエル軍およびイスラエル人入植者によって殺害されたパレスチナ人の数は167人となった。この死者数には昨年5月に殺害されたガザ地区住民の36人を含む。

パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は、イスラエルはヨルダン川西岸地区を再占領し、国際法・国際人道法に違反しているとして非難した。

占領下のパレスチナ領域ではアル・アクサモスクを含む複数の箇所でイスラエル軍による頻繁な侵入を受けており、射殺攻撃、不当逮捕、入植地拡大のための土地の接収などが行われている、と同氏は述べた。

パレスチナ大統領府のナビル・アブ・ルデイネ報道官は、イスラエルによる攻撃が激化していくにつれ、パレスチナは暴力と混沌から抜け出せなくなっていくだろう、と述べた。

同氏は15日のナブルス襲撃、アル・アニス氏の殺害およびアル・タウィール氏宅の爆破を非難し、イスラエルの行う集団懲罰政策は、それが家の取り壊しであれ市民の殺害であれジェニンやナブルスの攻撃であれ、国際法に違反する戦争犯罪だ、と続けて述べた。

イスラエルはこれらの犯罪について処罰を受けるべきで、更なる犯罪を阻止するための厳しい措置をとる必要がある、と同氏は加えた。

ジェニン知事のアクラム・ラジューブ少将は、イスラエル人はヨルダン川西岸地区の住民から土地、資源に至るまでの完全な再掌握を目指している、と述べた。

同氏はアラブニュースの取材に対し、イスラエル軍によってほとんど毎日行われるジェニンへの攻撃は、そこにイスラエル市民に対する安全保障上の脅威が存在しない以上正当化され得ない、と語った。

パレスチナ治安部隊の元報道官であるアドナン・アル・ダミリ元少将はアラブニュースの取材に対し、イスラエルはヨルダン川西岸地区を70万人のイスラエル兵士および地区全体に居住するイスラエル人入植者に対する安全保障上の脅威と考えている、と述べた。

「最近のヨルダン川西岸地区におけるこれまでにない武力衝突を通じてイスラエルが目論んでいるのは、マフムード・アッバース大統領に対し、イスラエルの指導者らと交渉し、パレスチナ人が政治的権利の代わりにサービスを得ることで合意するよう圧力をかけることだ」と同氏は述べた。

アル・ダミリ氏はまた、2002年以来イスラエルはヨルダン川西岸地区を支配下に置いており、オスロ合意が保障するものも今やイスラエル民政局がパレスチナ人に提供するサービスしかない、と述べた。政治条項は全て取り消された、と同氏は述べた。

同氏はまた、ヨルダン川西岸地区でイスラエルが行っている政策は「パレスチナ治安部隊がレジスタンス勢力を逮捕しない、できないことを理由に入植を推進し、パレスチナ都市への軍事侵攻を拡大することで、既成事実を作ることに基づいている」と述べた。

イスラエルは「パレスチナ治安部隊がイスラエルのために自国民と戦うことを望んでいるだけで、これは受け入れがたい」とアル・ダミリ氏は述べた。「もしイスラエル軍がパレスチナ人の殺害をやめれば、軍と呼ばれることもなくなり、機能を停止するだろう」

ヨルダン川西岸地区は、ガザ地区、レバノンおよびイランと比較して、イスラエルが勝っていると主張できる唯一の戦線だ、と同氏は述べた。

パレスチナ人らは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の連立政権は二人の右派大臣、イタマル・ベングビール氏およびベザレル・スモトリッチ氏の人質になっている、と主張する。

「ネタニヤフ首相はベン・グビール氏とスモトリッチ氏に仕える形となっており、その逆ではない。現状、パレスチナ当局がこの右翼的なイスラエル政府の危険に立ち向かうための手段は、外交しかない」とアル・ダミリ氏はアラブニュースに語った。

一方、パレスチナの大手保険会社は、パレスチナ人の所有する車両がイスラエル入植者およびイスラエル軍によって受けた物的損害を補償する他に例を見ない画期的な保険を発表した。年間保険料は140ドルだ。

この動きは、ヨルダン川西岸地区の都市間を結ぶ道路を走行中のパレスチナ車両がイスラエル入植者およびイスラエル軍によって攻撃を受ける被害が最近急激に増加していることを受けたものだ。

イスラエル人入植者とイスラエル軍はヨルダン川西岸地区の大通りを走行中のパレスチナ車両数十台の窓を割り、ナブルス近郊のハワラでも車が燃やされる事件が複数起きた。

ナショナル インシュアランス社のゼネラルマネージャーであるバシャール・フセイン氏は、この保険は「入植者および軍による攻撃について補償するものだ」と述べた。

このサービスの目的は利益ではなく、攻撃による被害を修復しパレスチナの人々に寄り添うことだ、と同氏は述べた。

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