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アフリカの地域機構は、スーダンの平和に向けた実現可能なロードマップを提供することができるか

ハルツームでの戦闘は緩和の兆しを見せておらず、スーダンの中小企業経営者は経営の維持に苦労している。(AFP通信)
ハルツームでの戦闘は緩和の兆しを見せておらず、スーダンの中小企業経営者は経営の維持に苦労している。(AFP通信)
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18 Jun 2023 01:06:10 GMT9
18 Jun 2023 01:06:10 GMT9
  • 東アフリカ諸国のIGAD4国は、ブルハン氏とヘメッディ氏との対面会談を設けることをコミットした
  • アフリカ主導の機関の有効性とスーダンでの成功の可能性についてはアナリストの間で意見が分かれている

ロバート・ボシアガ

南スーダン、ジュバ:スーダンの紛争は荒廃の跡を残し、何千人もの命が失われ、国の安定は危機に瀕している。様々な国際組織の関係者が調停を試み平和的な解決策を模索してきたが、あまり成功していない。

これらの課題を踏まえ、アフリカの地域機関が、平和を促進する見込みがある対話者として浮上している。しかし、これらの機関の適合性と成功の可能性についてはアナリストの間で意見が分かれている。

昨年11月初旬にアフリカ連合が成功したエチオピア戦争における調停は、スーダンの危機を解決する上でのアフリカ主導の取り組みにおける説得力のある先例を提供したと専門家は示唆している。

多くの人が解決策を求めて目を向けている別の機関は、ジブチに本部を置く8か国から成る貿易団体「政府間開発機構(IGAD)」で、スーダンも加盟している。

6月12日にIGADはジブチで第14回首脳会議を開催し、スーダン主権評議会の副議長マリク・アガー氏が議長を務めた。

その最終コミュニケで、IGADのメンバーはスーダンの平和に向けたロードマップを概説し、ジブチ、エチオピア、ケニア、南スーダンの4国が一連の行動指針を表明した。

ケニアが議長を務めるIGAD4国は、ロードマップが採択されてから10日以内に、スーダン国軍(SAF)を率いるアブドゥルファッターフ・ブルハン氏と、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の指導者モハメド・ハムダン・ダガロ(別名ヘメッディ)氏との対面会談を当地域の首都のどれかで設けることをコミットした。

IGAD4国はまた、ロードマップ採択から2週間以内に人道的回廊を確立し、3週間以内に紛争の政治的解決に向けた包括的な政治プロセスを開始することをSAFとRSFの指導者らに確約させる任務を負っている。

しかし、IGAD4国がこのような厳しい期限に間に合う可能性は低い。13日にAFP通信社と話したスーダン当局者によると、ブルハン氏はヘメッディ氏との会談の可能性を否定した。

スーダン政府当局者は、メディアへの公式発言権を持っていなかったが、次のように述べた。「現在の状況では、ブルハン氏はヘメッディ氏と同じテーブルに着くことはないだろう」

また、ケニア政府がRSFとの連携を主張していることを理由に、スーダンはケニアがIGAD4国の議長を務めることを拒否したと伝えられている。スーダン当局者は南スーダンのサルバ・キール・マヤルディ大統領を議長に指名したと伝えられている。

スーダン代表団はまた、最終コミュニケの特定の段落についても意見の相違を表明した。

サウジアラビアと米国が仲介して停戦交渉を行ったジェッダの協議は、紛争当事者からの真剣さが感じられず中断したが、IGADの会合はその直後に開催された。

5月19日のヘメッディ氏解任後に議長職を引き受けたスーダンのアガー氏は会合中、IGADロードマップの後援の下での真剣な和平プロセスの緊急性を強調した。

同氏は、国連とスーダンの和平プロセスに関与するすべての主要な利害関係者とともに、アフリカ連合の関与が不可欠であると述べ、これらのパートナーから必要な技術的・政治的支援の提供を求めた。

アガー氏は、事態の複雑化を避けるため、既存のすべての調停イニシアチブの統合を求めた。現段階では政治プロセスや権力協定に焦点を当てるべきではない、と同氏は付け加えた。

南スーダン外務大臣代理のデン・ダウ・デン・マレク氏は、スーダンの紛争を終結させる上でIGADが果たし得る重要な役割を強調した。

「このロードマップの主な焦点は、紛争当事者間の戦闘の即時停止を優先し停戦を確立することだ」とマレク氏はアラブニュースに語った。

しかし、アフリカの機関がこの役割を果たせると皆が確信しているわけではない。アフリカ大陸の無数の課題に対処する際、それらの機関は反応が遅く非効率であるとの非難を頻繁に受けているためだ。

アラブニュースによると、アフリカの腐敗と人権侵害を追跡する組織「ザ・セントリー」の政治担当副部長ブライアン・アデバ氏は、アフリカの機関が「重大な停戦違反と妨害の渦中にあって意味のある行動を取らず、あらゆる側のスポイラーを助長し紛争のスパイラルを引き起こした」と非難した。

セキュリティアナリストのフィデル・アマキ・オウス氏もIGADの「有効性」に疑問を投げかけている。同氏はアラブニュースに対し、最近民主的に権力を移譲し民主主義の原則にコミットしたケニアだけが、スーダンの民主主義勢力を代表する道徳的権限を持っていると語った。

しかし、他のアナリストは、最近自国の紛争から脱したアフリカ諸国の指導者はスーダンの紛争当事者間の交渉を支援するのに適しているかもしれないとほのめかしている。

ナイロビに拠点を置く南スーダンの専門家アコル・ミエン・クオル氏はアラブニュースに対し、「アフリカ諸国はそれぞれの軍事的背景と直接の戦争経験から、優れた平和仲介者になれる」と語った。

「特に、(南スーダンのキール・マヤルディ氏は)対抗勢力の指導者たちに和平を模索するよう説得することができる」とクオル氏は付け加えた。

例え時期が間違っていても、アフリカの危機に対しアフリカの解決策を講じることは依然として正しい戦略かもしれない。スーダンを拠点とする治安専門家アフメド・へイル氏もアラブニュースの取材に応じ、「これらの地域ブロックはすでに調停プロセスにおいて良い結果をもたらしている」と述べた。

しかしへイル氏は、そのような会談が政治的レトリックに陥り、現場の現実から切り離されてはならないと述べた。

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