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アーノン・ミルチャン氏、ネタニヤフ首相の汚職裁判で贈り物の「供給ライン」について証言

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の裁判で証言するためにジ・オールド・シップ・ホテルに来た、ハリウッドのプロデューサーでイスラエル国籍のアーノン・ミルチャン氏。2023年6月25日、イギリスのブライトン。(ロイター)
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の裁判で証言するためにジ・オールド・シップ・ホテルに来た、ハリウッドのプロデューサーでイスラエル国籍のアーノン・ミルチャン氏。2023年6月25日、イギリスのブライトン。(ロイター)
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26 Jun 2023 07:06:48 GMT9
26 Jun 2023 07:06:48 GMT9
  • この訴訟で起訴されていないミルチャン氏は、ネタニヤフ首相のニックネームを使ってヘブライ語で「シャローム、ビビ!」と挨拶した。

エルサレム:ハリウッドの大ヒット映画を手がけてきたイスラエル人プロデューサーは25日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の汚職裁判の証人台に立ち、自身が同首相からの求めに応じて数万ドル相当のシャンパンや葉巻などの贈り物を日常的に贈っていたことを証言した。

自身の拠点に近いイギリスの都市ブライトンからリモートで証言したアーノン・ミルチャン氏は重要証人であり、その証言は、ネタニヤフ首相に対して起こされている3つの訴訟のうちの1つにおいて同首相が詐欺と背任を犯したことを証明しようとしている検察にとって必要不可欠だ。

検察は、25日に始まり今週と来週にかけて行われる予定のミルチャン氏の証言により、ネタニヤフ首相とその妻に贈られた贅沢品の全容が明らかになると期待している。これらの贈り物を受け取ったことで、同首相が自らの地位を利用してミルチャン氏の便宜を図ることが促されたとみられている。

首相官邸で週次閣議に出席するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相。2023年6月25日、エルサレム。(AFP)

弁護側は、ネタニヤフ首相はミルチャン氏の個人的な利益のために行動していたのではなく、贈り物は単なる友好の印だったという主張を展開しようとするだろう。

検察側と弁護側の弁護士がブライトンのホテルの会議室でミルチャン氏の尋問を行っている。記者の入室は許可されていないが、プライベートでイギリスを訪問中の首相夫人サラ・ネタニヤフ氏が同席する予定だ。

1日6時間に及ぶとみられるミルチャン氏の証言は、エルサレムの法廷において裁判官や他の弁護士のために配信され(同氏への質問も可能)、記者や他の出席者も見ることができる。

自身の公判においていくつかの審問に出席してきたネタニヤフ首相は、証言開始直後に警護部隊や側近に守られながら法廷に到着した。この訴訟で起訴されていないミルチャン氏は、ネタニヤフ首相のニックネームを使ってヘブライ語で「シャローム、ビビ!」と挨拶した。

イスラエルのテレビ局「チャンネル13」は、サラ・ネタニヤフ氏と78歳のミルチャン氏が別々にホテルの階段を上る様子を放送した。エルサレムの法廷には証言の様子を上映するためのスクリーンが設置された。

映画プロデューサーとして『プリティ・ウーマン』『それでも夜は明ける』『レヴェナント:蘇えりし者』などのヒット作を手がけてきたミルチャン氏は、起訴状によると、数年にわたってネタニヤフ首相とその妻に葉巻やシャンパンを贈っていた。宝飾品と合わせると20万ドル近くに相当するこれらは、起訴状では贅沢な贈り物の「供給ライン」と表現されている。

起訴状は、ネタニヤフ首相がその影響力のある地位を利用し、ジョン・ケリー元米国務長官を含む外交的人脈を用いてミルチャン氏の米国ビザを延長させたとしている。検察はまた、ミルチャン氏に数百万ドルの税制優遇を与えることになったであろう法案の成立を同首相が推し進めたとしている。

起訴状は、「ネタニヤフ被告とミルチャン氏の間に多くのつながりがあることを考慮すれば、同被告はミルチャン氏の問題に関与することを完全に避けるべきだった」としたうえで、ネタニヤフ首相とイスラエル国籍のミルチャン氏には1999年以来の関係があると付け加えている。

ミルチャン氏は、ネタニヤフ首相に対して起こされている3つの訴訟のうちの1つで証言を行っている。他の2件は贈収賄、詐欺、背任の罪での訴訟であり、ネタニヤフ首相はより好意的に報道してもらうために有力なメディア王らとの間で互いに規制上の便宜を図ったとされている。

ネタニヤフ首相は不正行為を否定しており、自分はリベラルなメディアと偏向した司法制度が仕組んだ魔女狩りの犠牲者だと主張している。

ネタニヤフ首相は訴訟問題に政治的に悩まされている。4年弱の間に5回も選挙が行われることになったイスラエルの政治的危機の中でも、公判中の身である同首相に国を統治する適性があるのかという問題は中心的なものだ。

訴訟問題をめぐっては、ネタニヤフ首相が物議を醸すイスラエルの司法改革計画を推進しているのは自身が有罪を免れるためだとの批判もある。同首相はその非難を否定している。

この裁判は2020年に始まったが、ネタニヤフ首相自身の審問はまだ行われていない。検察側の証人は40人以上出廷しており、その中には同首相の敵に回った一部の元最側近も含まれている。

目撃者の証言により、3つの訴訟に光が当たっただけでなく、ネタニヤフ首相の性格に関する、また納税者や裕福な支援者からの金で生活しているという同首相一家の評判に関するセンセーショナルな詳細も明らかになっている。ミルチャン氏の側近であるハダス・クライン氏は昨年、一家は「贈り物が大好き 」だと証言した。

司法取引という案が繰り返し浮上しているが、検察は現時点では裁判を最後まで行う決意を固めているように見える。ただ先週の報道によると、裁判官らは検察に対し、より重い犯罪である贈収賄の立証は難しいと伝えたという。

AP

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