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米軍、イランによる拿捕を阻止するためホルムズ海峡の商船に武装部隊を配備する可能性

ホルムズ海峡でUSSポール・ハミルトン艦上の機関銃の傍に立って警戒にあたる、テネシー州クラークスビルの米海軍小売サービススペシャリストのアーテイジャ・スチュワート氏。(ファイル/AP)
ホルムズ海峡でUSSポール・ハミルトン艦上の機関銃の傍に立って警戒にあたる、テネシー州クラークスビルの米海軍小売サービススペシャリストのアーテイジャ・スチュワート氏。(ファイル/AP)
アラビア湾のアブー・ムーサ島で演習を実施するイラン革命防衛隊。2023年8月2日に公開された写真。(Sepahnews、AP経由)
アラビア湾のアブー・ムーサ島で演習を実施するイラン革命防衛隊。2023年8月2日に公開された写真。(Sepahnews、AP経由)
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04 Aug 2023 09:08:11 GMT9
04 Aug 2023 09:08:11 GMT9
  • 当局者らによると、海兵隊員および海軍兵士は関係船舶からの要請があった場合のみ警備を提供する
  • 米国はこれまで、イランの海上での行動をめぐり、A-10サンダーボルトII攻撃機、F-16戦闘機、F-35戦闘機のほか、駆逐艦USSトーマス・ハドナーなどの戦艦をこの地域に派遣している

ドバイ:米軍は、ホルムズ海峡を航行する商船に武装兵士を搭乗させることを検討している。実行されれば、イランによる民間船舶に対する拿捕や嫌がらせの阻止を目的とした前例のない行動となる。米当局者らが3日、AP通信に語った。

イランは2019年以降、アラビア湾の狭い入り口である同海峡で船舶を相次いで拿捕している。主要国との崩壊した核合意に関する交渉をめぐって欧米に圧力をかけようとする努力の一環である。商船に米軍の部隊が搭乗することになれば、イランによる船舶拿捕は阻止されるかもしれないが、さらに緊張が高まる恐れがある。

検討されているこの動きが実行されれば、米国防総省がロシアと中国に焦点を合わせようとしている中、米軍の中東における並外れた関与をを示すものともなる。1988年に米海軍とイランが1日だけ海戦を戦った(米海軍にとって第二次世界大戦以降で最大の海戦だった)際に最高潮に達したいわゆる「タンカー戦争」の時でさえ、米国はこのような措置は取らなかった。

当局者らはこの計画の詳細をほとんど明らかにしなかったが、計画が明るみに出たのは、折しも数千人の海兵隊員と海軍兵士を乗せた水陸両用強襲揚陸艦USSバターンおよび揚陸艦USSカーター・ホールがアラビア湾に向かっている最中のことだった。これらの海兵隊員と海軍兵士は、世界の原油の20%が通過するホルムズ海峡における武装警備任務で主力となる可能性がある。

大西洋を航行する水陸両用強襲揚陸艦USSバターン。2023年7月20日。米海軍の配布写真。(AP)

AP通信は米国の提案についてイラン国連代表部にコメントを要請したが応答はなかった。しかしイランの国営IRNA通信はその数時間後、AP通信による報道を引用し、提案があったことを認めた。

匿名を条件にこの提案について語った5人の米当局者は、その大まかな内容を認めた。彼らは、最終決定が下されていないこと、そして米軍当局と湾岸アラブ地域の同盟諸国との間で協議が続いていることを強調した。

当局者らによると、海兵隊員および海軍兵士は関係船舶からの要請があった場合のみ警備を提供する。当局者の1人は、このプロセスは複雑だとしたうえで、兵士を配備するには船舶の旗国や所有者が登録されている国からの承認も必要となる可能性が高いと述べた。その承認はまだ得られておらず、得られるまでにしばらくかかるかもしれないという。

米国防総省でこの計画について質問されたパット・ライダー准将は、この件に関する発表はないと述べた。しかしより全般的には、イランによる挑発行為へのより迅速な対応を容易にするために追加の船舶、航空機、海兵隊が湾岸地域に派遣されたことに言及した。

また、米国とそのパートナーによるそうした努力は「ホルムズ海峡の開放性と航行の自由の維持、そしてあらゆる種類の悪意ある活動の阻止」を目的としたものだと述べた。

ホワイトハウス国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は記者団に対し、同海峡の重要性と、そこの船舶へのイランによる嫌がらせに対する米国の懸念を強調した。

同調整官は、「ホルムズ海峡は極めて重要な海路であり、世界中の海上貿易への影響が非常に大きい」と述べた。「海事における死活的なチョークポイントだ。我々は、そのチョークポイントに影響を及ぼそうとするイランによる脅威を目の当たりにしてきた」

アラビア湾での演習に参加するイラン革命防衛隊のスピードボート。2023年8月3日。(Sepahnews、AP経由)

3日、これに先立ち、中東を拠点とする米海軍第5艦隊の司令官であるブラッド・クーパー海軍中将は湾岸協力理事会(GCC)の事務局長と会談した。GCCはバーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、UAEの6ヶ国で構成される。

この会談についてのGCCの声明は米国の提案についてほのめかしていないが、クーパー海軍中将と関係者らは「GCCと米国の連携強化、そして世界および地域のパートナーとの協力」について協議したとしている。

バターンとカーター・ホールは7月10日、「ホルムズ海峡および周辺海域における通商の自由な流れを脅かそうとするイランによる最近の試みへの対応」と米国防総省が説明する任務のため、バージニア州ノーフォークを出発した。バターンは先週、中東への途上でジブラルタル海峡を通過して地中海に入った。

米国は既に、イランの海上での行動をめぐり、A-10サンダーボルトII攻撃機、F-16戦闘機、F-35戦闘機のほか、駆逐艦USSトーマス・ハドナーなどの戦艦をこの地域に派遣している。

今回の兵士配備計画はイランの注意を引いている。同国の外相は近隣諸国に対し、この地域は「外国人」による警備を必要としていないと述べた。2日には、同国の準軍事組織である革命防衛隊がアラビア湾の係争中の島々において予告なしで軍事演習を開始した。この演習には多数の小型高速艇、空挺部隊、ミサイル部隊が参加した。

これらの新たな敵対行為は、2015年の核合意の崩壊後にイランがウラン濃縮をこれまでになく兵器級に近いレベルまで進めている中で行われている。国際査察団は、同国はその気になれば「数発の」核兵器を製造できる量の濃縮ウランを保有していると見ている。同国は、自国の核開発は平和目的のためだと主張している。米国の情報機関は、イランは核兵器の製造を目指していないと評価している。

米国は、制裁対象のイラン製原油を積載しているとみられる船舶を世界中で追跡している。イラン産原油を積載しているとされる船がテキサス沖で立ち往生しており、まだどの会社もその原油の荷降ろしをしていないのは、石油業界がイランによるさらなる拿捕を懸念しているためであるようだ。

AP

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