• 有力な「444旅団」と「アル・ラダー」の間で起こった衝突は、長年の独裁者だったムアンマル・カダフィ大佐の失脚以降の権力をめぐるもの
• 前線地域からは合計234世帯が避難した

トリポリ：リビアの首都トリポリで2つの主要武装組織が銃撃戦を繰り広げ、「救急医療センター」が16日に公開した最新の犠牲者数によると、27人が死亡、106人が死亡した。

トリポリ西部で緊急サービスを提供している同センターは深夜、フェイスブックページで「暫定的な」犠牲者数を公開した。

今回の衝突は、有力な「444旅団」と「アル・ラダー（特別抑止部隊）」の間で14日夜に発生し、15日を通して続いた。両組織は、2011年に長年の独裁者だったムアンマル・カダフィ大佐が失脚して以降の権力をめぐって争っている民兵組織のうちの2つだ。

同センターによると、トリポリ南郊の前線地域からは合計234世帯、および負傷者を治療中に戦闘によって身動きが取れなくなっていた数十人の医師や看護師が避難した。

戦闘勃発時に3つの野戦病院と約60台の救急車隊が戦闘地域に派遣されていた。

ある内務省関係者によると、今回の衝突のきっかけは、14日に「444旅団」の司令官マフムード・ハムザ大佐が対立組織「アル・ラダー」に拘束されたことだった。

アル・ラダーの拠点であるトリポリ南東郊外スーグ・エル・ジュマーの社会評議会は15日遅く、アブドゥル・ハミド・ドベイバ首相（トリポリを拠点とする国連承認政府のトップ）との間で、ハムザ司令官を「中立組織」に引き渡すことで合意に至ったと発表した。

同評議会はテレビ放送された発表の中で、同司令官が引き渡された後に停戦を行うと述べた。そして15日遅くに戦闘は収まった。

リビアには2つの対立する政府が存在しており、同盟相手とする現地の民兵組織を変えながら権力をめぐって争っているが、今回衝突した両武装組織はいずれもドベイバ首相の政府の側についている。

両組織は5月にもトリポリで数時間にわたって衝突していた。やはり444旅団のメンバーが拘束されたことがきっかけだった。

リビアでは10年以上前にNATOに支援された反乱がカダフィ大佐を打倒して以降、紛争が断続的に続いている。

国連はリビアが比較的安定していた時期に、遅れている選挙が今年実施されることに期待を表明していた。今回の戦闘を受け、平穏を求める声が国際社会から上がっている。

国連リビア支援ミッション（UNSMIL）は声明の中で、トリポリの治安悪化とそれが民間人に与える影響を「懸念とともに注視している」と述べた。

「全当事者は、近年実現した良好な治安を維持し、対話を通して相違点に対処しなければならない」

イギリス、フランス、EU、米国の各大使館は、激化抑制を求める国連の呼びかけに同調した。

今回の戦闘を受け、トリポリ唯一の民間空港でアル・ラダー支配地域にあるミティガ空港は閉鎖を余儀なくされたと、当局者が15日に明らかにした。

航空便は同空港から約180km（110マイル）東にあるミスラタ空港に振り向けられ、駐機場に待機していた航空機は移動された。

リビア国防省傘下の444旅団は、国内で最も規律のある軍隊であるとの評判を取る。トリポリ南郊やその他の地域を支配している。

アブデル・ラウフ・カラ司令官率いるアル・ラダーは強力な超保守派民兵組織で、トリポリの警察として活動している。

同組織は内務省からも国防省からも独立していると自認しており、トリポリ中心部・東部、ミティガ空軍基地、ミティガ空港、1つの刑務所を支配している。

リビアは、国連の支援を受けるドベイバ首相の西部政府と、軍事的実力者ハリファ・ハフタル氏の支援を受ける東部政府の間で二分されている。

昨年8月にはトリポリで、ハフタル氏が支援する政府を支持する組織とドベイバ首相の政府を支持する軍隊の間で戦闘が発生し、32人が死亡、159人が負傷した。

リビアでは2021年12月に選挙が予定されていたが、立候補者の選定などをめぐり論争が起こった結果、無期限延期となった。しかし、国連は行き詰まりに終止符を打とうと努めている。

AFP