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「静かな脅威」:バーレーンは海面上昇対策の防壁を建設予定

2020年12月2日撮影。バーレーンのマナーマ港の石油タンク。(AFP/資料)
2020年12月2日撮影。バーレーンのマナーマ港の石油タンク。(AFP/資料)
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18 Aug 2023 05:08:19 GMT9
18 Aug 2023 05:08:19 GMT9
  • 公式の推定によると、5メートルの極端な海面上昇が起これば、国際空港を含む同国の大部分が浸水する

マナーマ:既に酷暑と戦っているバーレーンは、別の環境的な脅威、つまり沿岸の一部地域を飲み込む可能性のある海面上昇への対策を急いでいると、島国である同国の石油・環境大臣がAFPに語った。

湾岸地域の小国バーレーンは来年までに、海岸の拡張、より高い防潮堤の建設、陸地のかさ上げなどによって、進み始めた海面上昇に対する沿岸防御の構築を開始する予定だ。

「バーレーンは影響を受けやすい」と、バーレーンの石油・環境大臣で気候問題特使であるムハンマド・ビン・ムバーラク・ビン・ダイナ氏はインタビューで述べた。

「主な脅威は静かな脅威で、それは海面上昇だ」と、同氏は首都マナーマの自身のオフィスで語った。

公式の推定によると、5メートル(16.4フィート)の極端な海面上昇が起これば、国際空港を含む同国の大部分が浸水する。

マナーマにあるアラビア湾大学のサバー・アルジェナイド助教によると、0.5~2メートルの上昇でも、バーレーンの総面積の5~18パーセントが水没する可能性があるという。

バーレーンは、湾岸地域の資源豊かな国々の中で唯一の島国。その人口の大部分と主要施設の多くは海面から5メートル以下の低地の沿岸地域に分布している。

世界各地の他の島々もまた、地球温暖化により氷床と氷河が溶け出す中で、海面上昇による脅威にさらされている。

バーレーン当局は既に、1976年以来毎年1.6ミリメートルから3.4ミリメートルの海面上昇を観測してきたと、ビン・ダイナ氏は述べた。

同氏は、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から引用し、2050年までに海水面は少なくとも0.5メートル上昇する可能性があるとした。一部の専門家らはこの予測を控えめなものだと考えている。

海面上昇により洪水が悪化し、海岸地帯が脅かされる上、バーレーンの既に乏しい地下水が塩辛い海水で汚染される可能性もある。

「こういった理由で、海面上昇がバーレーンの最優先課題のひとつとなっている」と、ビン・ダイナ氏は述べた。

「海岸を(拡張)整備するか...特定の地域に岩の壁を築くか、岸辺の前を埋め立てるかだ」

大臣によると、これは政府が資金を提供し、「10年以内」に完了する予定の「詳細な計画」の一部だという。

ノートルダム大学の「世界適応イニシアチブ」により、湾岸地域のアラブ諸国の中で最も気候変動の影響を受けやすい国々のひとつとされたバーレーンは、地球上で最も暑い地域において危険な気温とも闘わなくてはならない。

専門家らによると、加速する気候変動による極度の高温により、今世紀の終わりまでに湾岸地域の一部は居住に適さなくなる恐れがあるという。

バーレーンは既に暑さに襲われている。

気温が摂氏44度(華氏111.2度)を上回り、エアコンの使用が著しく増えたため、同国では今月、エネルギー消費量の記録が2回更新された。

「これまでのどの年にも、今年ほどのメガワット数の電力消費はなかったので、気温は上昇している」と、ビン・ダイナ氏は語った。

気候変動対策における責務を果たすため、小規模な産油国であるバーレーンは2035年までに排出を30パーセント削減し、同期間に自国の需要の10パーセントを満たすよう再生可能エネルギーの規模を拡大することを計画している。

また、今後12年の間に、大気中の二酸化炭素を吸収する緑地を2倍、マングローブの総量を4倍に増やそうとしている。

ビン・ダイナ氏は、石油と環境の両方の大臣としての自身の2重の役割に矛盾は感じないと語った。この組み合わせは炭化水素が豊富な湾岸諸国ではよくあることだ。

クウェートの環境当局は石油省の監督下にあり、アラブ首長国連邦は国営の巨大石油会社ADNOCを率いるスルターン・アル・ジャーベル氏を、ドバイでの開催が迫る国連の気候変動に関する第28回締約国会議(COP28)の議長に選んだ。

「1人の人間が石油と環境問題の両方に同時に目を向けるようにしていることは、バーレーンが」気候変動との闘いに「いかに真剣であるかを示している」と、ビン・ダイナ氏は主張した。

大臣は「石油産業全体にあらゆる環境規制を実施することができる」と、同氏は語り、炭化水素の利益が気候問題より優先されるという逆の可能性を退けた。

AFP

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