• 犯罪を隠蔽し、後に死亡した少女の治療を遅らせたとされる被害者の母親と祖父母にも同様の処罰が求刑された
• 少女が祝砲の流れ弾で死亡した事件を受けて、こうした発砲を犯罪とする法案が国会に提出された
• 日本大使館、メンタルヘルス慈善団体エンブレイスに移動診療所を贈呈

ナジャ・フーサリ

ベイルート：レバノンで、6歳の姪に性的暴行を加えた男に死刑が求刑された。少女は暴行時の傷害が原因で後に死亡した。犯罪の隠蔽を手伝ったとされる少女の母親、祖父、祖母も死刑が求刑されている。

彼らはリン・タレブちゃんの計画的殺人、犯罪証拠の隠蔽、少女の命を犠牲にして叔父を保護した罪に問われている。被告人は全員拘留中。

北レバノンのサマランダ・ナサール第一捜査判事によって8月31日に提出された起訴状は、母方の叔父であるナダー・ボウ・ハリルが6月29日、妻が子供を出産して入院している間に、自宅の浴室で少女に性的暴行を加えたと告発している。

被害者の母親であるワアド・ボウ・ハリル、祖父のファワズ・ボウ・ハリル、祖母のハヤート・アル・ロズは、「犯罪を隠蔽し、証拠隠滅を試み、犯行現場を取り巻く状況を変え、5日間も病院に連絡せず、塩水への入浴しかさせなかったことで、内出血、そして身体的・心理的外傷と闘っていた子供の苦痛を悪化させ、最終的に早すぎる死に至らしめた」として告発されている。

医師は、少女はすぐに治療を受けていれば助かった可能性があると述べている。

レバノンで最近起きた子どもの死亡事故の別の例では、7歳のナヤ・ハンナちゃんが、ベイルート東部ハダス地区でサマーキャンプ中に運動場で食事をしていたところ、「祝砲」の流れ弾が頭部を直撃し、23日後の土曜日に死亡した。

一人っ子の彼女は、8月3日に大学入学資格試験の結果が発表され、合格者の一部が祝砲を放った後に負傷した。銃弾は彼女の首と頭の間に突き刺さり、死亡するまで3週間以上集中治療室で治療を受け続けた。

彼女の死は、銃器の無秩序な使用に対する抗議と、責任者の責任を問う声を呼び起こした。しかし、犯人は特定されていない。ソーシャルメディア上では、少女の命を奪った祝賀の方法を「無知の武器」と表現する運動家もいる。

アディブ・アブデル・マシー議員は実弾を空に向けて発砲することを犯罪とする法案を起草、これを、「ナヤ・ハンナ法案」と名付け、国会に緊急承認を促した。

「このような現象が、喜びの時も悲しみの時も、さらには動機も理由もない時でさえ続いている結果、市民の死傷者が増えている」、と彼は語った。

アブデル・マシー議員は、ベッリー国会議長に提出した法案の中で、「許可された銃器であろうと無許可の銃器であろうと、空に向けて武器を発砲し、個人に危害を及ぼしていない場合、1年から3年の禁固刑、最低公務賃金の15倍の罰金、武器の没収、武器の許可証の永久取得禁止」と提案している。

「発砲により人体に負傷、障害を負わせ、又は死に至らしめた場合は、刑罰は懲役と罰金で強化される。死に至らしめた場合、罰則は15年の禁固刑と最低公務賃金の50倍の罰金となる」

一方、レバノンの人々がこのような悲劇に直面し続け、同国で長く続く経済危機の影響が深刻化する中、同国にある日本大使館は、メンタルヘルス問題のケアを専門とする非営利団体「エンブレイス」に移動診療所を寄贈した。

8月31日に同団体にクリニックを寄贈した際、馬越正之駐レバノン大使は、地理的な問題にかかわらず、困っている人々のメンタルヘルスサービスへのアクセスを改善する取り組みの重要性を強調した。彼はまた、日本は今後もレバノンとその国民に寄り添い、未曾有の苦難の影響に直面するレバノンを支援していくと付け加えた。

エンブレイス代表のミア・アトゥイ氏は、この移動診療所プロジェクトは「精神保健サービスを必要としている弱い立場の患者を支援し、同国における精神保健ケアの重要性に対する認識を高める上で、極めて重要な役割を果たしている」と述べた。

また、日本の当局による継続的な支援と、メンタルヘルスサービスへのアクセス向上を支援することで人々の生活を向上させるためのたゆまぬ努力に感謝の意を示した。

エンブレイスによると、この移動診療所により、全国、特に地方から年間700人以上の社会的に弱い立場にある人々が、手頃な価格で質の高いメンタルヘルスサービスを受けられるようになるという。