ジェームズ・デンセロー

ロンドン：膨大な数のゲームデザイナーを擁して何年もかけて開発される超大作ゲームが主流の時代にあって、美学、音楽、プレイしやすさのシンプルな融合により、より伝統的なゲームがプレイヤーを魅了する例を目の当たりにすると心強く感じる。

全プラットフォームで遊べる『Sea of Stars』は、発売初週で25万本を売り上げるという目覚ましい成功を収めたが、この快挙の理由は明白だ。このインディーズ系ロールプレイング・ゲーム（RPG）は、任天堂のスーパーファミコン時代を彷彿とさせる日本的なスタイルを取り入れている。シンプルながら、探検、謎解き、戦闘を組み合わせ、現代のゲーマーにも魅力的になっている。   

『Sea of Stars』は、最近の『ゼルダ』作品のように30時間程度プレイできるという深みには欠けるかもしれないが、それを補ってあまりあるスケールの大きさがある。このゲームは任天堂スイッチで体験するのが最適で、夏至の戦士の中から1人を選び、陸と海にわたる冒険に出発する。   

ストーリーは古典的な悪役との戦いを筋とするため、オリジナリティが長所とは言えないかもしれない。このゲームでは、フレシュマンサーと呼ばれる、邪悪な錬金術師が創造した怪物が敵となる。   

善と悪の戦いという基本的な背景だが、生き生きとした音楽、多彩な登場人物たちとのユーモラスな会話、中心的戦闘メカニズムを楽しみながら、活気に満ちた環境の中に隠された宝物を通して報酬を得ていく。  

バトルには最大6人のチームメイトが参加でき、敵の弱点を突いたり、迫り来る攻撃を阻止するために、適切な攻撃、コンビネーション、スキル、アイテムを選択する戦略的なアプローチが必要となる。ボタンを押すタイミングを調整すれば、必殺技を増幅させることも可能だ。勝利のためには、チームの体力と「マナ」ポイントの管理とともに、上記の要素全てのバランスが重要だ。ただ、さまざまなアップグレードを活用しないと、バトルは繰り返しで冗長に感じるかもしれない。 

プレイヤーはキャラクターをレベルアップさせ、購入やミニ・クエストで手に入れたアイテムからヘルスや戦闘アセットを造り出せる。しかし、パーティメンバーが退場するだけで復帰できるため、重大な危険を伴わないので、危機感が薄れている。    

想像力豊かな環境は広域マップに移行し、海賊船に乗って島々を横断できるようになるが、インタラクションは制限される。断崖絶壁から砂漠まで、特徴的な土地はそれぞれ、強い感覚とアイデンティティを醸し出している。パズルは独創的だが難易度は高くなく、釣り等も小さなチャレンジは予想以上にバラエティに富んでいる。