Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

コロナウイルスのパンデミックの教訓から学ぶ

韓国ソウルのショッピング街でコロナウイルスの感染防止のためマスクを着用した女性が、携帯電話を使用している。 (ロイター)
韓国ソウルのショッピング街でコロナウイルスの感染防止のためマスクを着用した女性が、携帯電話を使用している。 (ロイター)
Short Url:
09 Apr 2020 04:04:03 GMT9
09 Apr 2020 04:04:03 GMT9

130万人以上の感染が確認され、75,000人以上が死亡したにも関わらず、世界はコロナウイルス(COVID-19)危機のピークにまだ達していない。それどころか、 予測にはばらつきがあるが、総数が現在の数倍となるであろうことと、制限措置(部分的または完全的な)が数か月継続するであろうことを表している。

しかしながら、パンデミックによる長期的な社会的影響がすでにある程度わかっており、次の危機に備えるために教訓を得るか、少なくとも過去数か月の出来事と行動を分析し始める必要がある。なぜなら、間違えないようにしたいからである。ウイルスや他の原因の危機(原発事故、大きな景気後退、前例のない問題)は今後も発生するであろう。実際に、COVID-19のようなパンデミックへの準備不足に関し、専門家は警告をしていたが、我々は耳を傾けなかった。それが起こる事態となり、多くの政府はまずい反応を示した。 おそらく今、我々はより前向きになるべきである。

病院、設備、スタッフ数、訓練、緊急システムなど、公共医療インフラストラクチャ改善といった明白な教訓は省略をする。むしろ他の教訓、特に社会のいくつかの主要領域に影響するデジタルインフラストラクチャの重要性に重点を置きたい。このような危機の中、最初の教訓はインターネットの極度の重要性である。政府が広くコミュニケーションし、例えば試験を含む教育システム全体を効果的なオンラインの手配に即座に切り替えるなど、重要な行動をとることを可能にするからだ。また、中国のような国では、食料品を含むすべてをスマートフォンを数回クリックするだけでオンライン購入でき、公共の混乱や大惨事を起こすことなく、主要都市の本格的な制限措置を2か月以上実施することができた。

情報通信技術、教育、商業、その他の分野の省庁を持つ各国政府が、将来に備えてデジタルインフラストラクチャの強化に取り組むことは間違いない。 恩恵はすぐに現れるだろう。最初は商業でより多くの活動と成長を、次に教育で、「混合学習」(オンラインコンポーネントを使用した教育と学習の強化)、そしてリモート講義と試験、国際入学などの新しいソリューションを提供する。

現在の危機からすぐに得られたもう1つの結論は、対面会議を大幅に減らすことができるということだ。 Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどのソフトウェアプログラムは、教育目的を含み、何百万人もの人々にとって非常にうまく機能しており、多くの人が「通常時にどうしてこれを使わないのか?」と疑問に思っている。 バーチャル会議では、遠く離れた場所にいる協力者を含むことができ、会議がはるかに効率的となる傾向がある。オンラインの方が人々は時間を厳守し、冗談を言ったりテーマから外れた議論に移る傾向が少なくなるのだ。

このように、今日では、職業面とソーシャル面の両方でリモート交流がますます頻繁になり、おそらくすぐにデフォルトのソリューションになることが確かと思われる。対面会議は少なくなるだろう。 医療の「通院」でさえバーチャルな診察となり、特にリアルタイムの自動翻訳が実現し、国際的なコラボレーションが増えるため、より多くの人がイベント(講義、会議、コンサートなど)にリモートで 「参加」するだろう。

リアルタイム自動翻訳の展望について少し話すべきだろう。これまで、国際的な参加者との会議では、全員が1つの言語を使用する必要があり、誰がどのコンテンツに参加できるかが制限されていた。ただし、Google MeetやBlackboard Collaborate(およびおそらくその他)のようなソフトウェアでは、リアルタイムのキャプションが可能であり、ソフトウェアがスクリーン上で口述された文章を入力する。そこから、発言を自動的かつ即座に翻訳して任意の言語でスクリーン上に表示することは、Google翻訳などのオンラインソフトウェアで実行できる1つのステップにすぎない。そうすれば、共通言語を話せない、少なくとも十分ではない人々が、世界中から本格的な技術会議を行うことができるだろう。

今日では、職業面とソーシャル面の両方でリモート交流がますます頻繁になることが確かと思われる。

Nidhal Guessoum

念のためにいうと、このオンライン支配の超仮想世界には欠点がある。 我々人間は社会性動物であり、孤独は鬱病や他の病気を引き起こす。人間は対面の交流、握手、抱擁、キス、暖かさ、そして「充実した時間」を共に過ごすことを必要としている。 ウェブカメラとマイクはそれを(すべては)提供できない。

さらに、政府が(インフルエンザを始めとし)感染拡大を追跡できるものと同じデジタルツールが、人々の身体的動向やデジタルアクションを追跡および監視することもできる。韓国では数年前に法律が成立し、ウイルスの蔓延を抑制し封じ込めるために、政府がウイルスに感染した人を追跡し、その情報を地域のすべての人に送信することができるようになった。中国では、顔認識ソフトウェアが、建物の内部は言うまでもなく、無数の街路で毎日使用されている。これはプライバシーに関する大きな問題を引き起こす。

コロナウイルスの危機は突然、そして非常に大きな被害をもたらした。それにより、我々全員が自分たちが自由に使えるツールで対応する必要が生じた。それは、多くの国で準備が不十分だった分野(特に公共医療)を示した。また、デジタルインフラストラクチャとツールが、このような危機の際に、そして平常時にも大きな影響を与える可能性があることも示したのだ。将来の危機をより適切に処理できるように、我々は結論を導き出し、この大災害から学び続けよう。

Nidhal Guessoumは、アラブ首長国連邦のアメリカ大学シャルジャ校の教授である。 Twitter:@NidhalGuessoum

特に人気
オススメ

return to top