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ウクライナとロシアの紛争は、国際的な偽善を顕にした

2022年3月3日、ウクライナのリヴィウにて、ロシアのウクライナ侵攻による空爆の警報音が鳴り響く中、学校地下のシェルターに避難する人々。(ロイター)
2022年3月3日、ウクライナのリヴィウにて、ロシアのウクライナ侵攻による空爆の警報音が鳴り響く中、学校地下のシェルターに避難する人々。(ロイター)
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04 Mar 2022 08:03:15 GMT9

ウクライナとロシアの紛争は、勇気を持って事態に目を向けようとする者たちに対して国際的な偽善を顕にすることとなった。数多くの偽善的な動きの中から、私は以下の事例を取り上げることにした。

まずは国連の偽善である。2003年、米国は国連の承認を得ずにイラクに侵攻した。米国が拒否権を発動したため、安全保障理事会による非難決議は否決された。米国の侵略に対して、集団制裁も行われなかった。2014年には、ロシアが国連の承認を得ずにウクライナのクリミア半島に侵攻した。この時も、ロシアが拒否権を発動したため安全保障理事会の非難決議は否決された。しかし、米国と欧州によるロシア連邦に対する制裁が行われた(これは米国と欧州による偽善である)。

次に、ロシアの偽善だ。ロシア政府は、シリアにおいて自国民を爆撃し、投獄し、家を奪い、広く迫害したバッシャール・アサド大統領を、自国民から保護するために介入を行った。今ロシアは、ウクライナ国民を守るという名目で同国に侵攻を行っている。ロシア政府は、ウクライナ国民たちがウォロディミル・ゼレンスキー大統領によって迫害され、家を奪われ、投獄され、爆撃されてきたと主張している。

3番目は、米国、EU、その他の国々の偽善である。1967年、イスラエルがアラブ3カ国に侵攻した後、国連安保理決議242号と338号により、「戦争によって領土の獲得を行うことは許されない」という原則に則ってイスラエルに対して同地域からの撤退要求が行われた。だが、イスラエルはこの原則に従わなかったのみならず、これらの地域はイスラエルの領土の一部であり、パレスチナ人たちによってその土地が少しずつ奪われていると主張したのである。イスラエルに対して、米国、欧州、その他の国からの制裁は一切行われていない。

しかしながら米国、欧州、その他の国々は、ロシアのウクライナ侵攻に対して制裁を行っている。世界が我々に対してどちらかの側に付くことを望むのなら、彼らはこれまでのように偽善的なやり方で紛争に対処すべきではない。今こそ国連憲章の原則を順守し、大国による二重基準と偽善を捨て去る時である。

  • トゥルキ・アル・ファイサル王子は、サウジアラビアの主要外国情報機関である総合情報部(GID)で、1977年から2001年にかけて長官を務めた。2002年10月には、サウジアラビア英国大使に任命。2005年7月まで同職を務め、サウジアラビア米国大使に任命される。2007年2月に引退。ファイサル王財団の創業者・理事であり、ファイサル王リサーチ・アンド・イスラム研究所(KFCRIS)の会長を務めている。
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