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フランクリー・スピーキング:湾岸協力会議、フルスピードで前進

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20 Dec 2021 02:12:09 GMT9
20 Dec 2021 02:12:09 GMT9
  • GCC事務局長はアラブニュースに対し、2025年を期限とするより広範囲の経済・政治的統合の目標に向け、すでに多くが為されてきたと語った

 フランク・ケイン

ドバイ: 湾岸協力会議は、「非常に困難な」スケジュールにもかかわらず、わずか4年後に加盟6ヶ国間の経済同盟を実現する計画を推進しているとGCC事務局長はアラブニュースに語った。

2020年にGCC事務局長に就任したナーイフ・アル・ハジュラフ氏は、先週のGCCサミットでの結論は決定的だったと述べた。「最高会議の指示と決断は非常に明確であり、期限は2025年と設定されている。現在、多くの作業が進行中だ。関税同盟、共同市場、また、直面し得る障壁の撤廃に取り組んでいるところだ」

「2025年は目前に迫っていることはわかっている。今後の4年間でやらなければいけないことがたくさんある。まったくのゼロから始めているわけではないことは強調しておきたい。2003年に関税同盟が発表されて以来、この20年間、膨大な量の仕事を実施、完了してきたのだ」と、アル・ハジュラフ氏は付け足した。

アル・ハジュラフ氏は、世界の様々な地域の主要な政策立案者とのインタビュー動画シリーズ「フランクリー・スピーキング」で、経済同盟実現へのGCCのコミットメントを強調した。このインタビューは、先週、リヤドで開催された第42回GCCサミット後に行われた。

多岐に渡るテーマを取り上げたインタビューで、アル・ハジュラフ氏は、GCCのさらなる政治的統合の可能性、加盟国の付加価値税(VAT)の税率を統一する必要性、商業活性化のために特別「ビジネスビザ」を発行することが望ましいこと、相互防衛安全保障へのGCCのコミットメントなどについても語った。

またアル・ハジュラフ氏は、サウジアラビアの故アブドラ国王が最初に掲げた野望であり、2015年にサルマン国王が改めて強調した目標である本格的な経済・政治連盟の実現に向けてGCCがっ積極的に取り組み続けることを誓った。「我々は、2015年にサルマン国王のビジョンに採用された連盟の実現のために全力を尽くしている」

元クウェート財務相のアル・ハジュラフ氏は、GCC全体としての「根本的な業績や画期的な変化」を称え、これまで争点となったGCC中央銀行の場所や共通通貨などの問題は「技術的な問題」に過ぎず、「政治的意志があり、方向性も非常に明確である」のだから解決は可能だと述べた。

また、現在、GCCの加盟国間でも0~15%までの幅があるVATの税率は、最終的には統一されるだろうと発言した。新型コロナウイルスによるパンデミックはVAT政策に「多大なる影響」を与えたという。

「いくつかの国がVATの税率を15%まで引き上げたのはパンデミックが理由だった。たとえば、サウジアラビアがそうだ。また、バーレーンも最近10%にVATを引き上げた。オマーンやUAEは5%を維持し、カタールは物品税は5%だがVATは課税していない。クウェートでは、VATも物品税も国民議会の承認待ちだ」

「VAT税率は一定の期間後には統一されるべきだと考えている。もともとは5%から始まったと思うので、今後、議論されていくだろうし、GCCとしては税率を統一させていきたいと願っている」と、アル・ハジュラフ氏は付け足した。

また、各国間の貿易を促進するために、GCC内での出張者向けに特別なビジネスビザを導入する見通しを示した。「とてもいいアイディアだ。GCCのアジェンダには組み込まれている。昨年もいくつかの会議で話し合ってきた。近いうちに結論を出したいと思っている」

「お分かりのように、これには加盟6ヶ国の様々な政府機関から多くの承認を得る必要がある。これは我々の計画の一部として議論されてきており、結論を出せるよう願っている。確定した時点で発表されるだろう」と、アル・ハジュラフ氏。

GCC拡大の可能性については、計画としては、ヨルダンやモロッコといった非GCC諸国との関係を「強化」していきたいと考えていると述べた。両国ともに、以前にアブドラ国王が加盟国候補として挙げている。

「当面はGCCにとっても、ヨルダンやモロッコにとっても、このような戦略的関係が非常に重要であり、それを強化していくつもりだ。我々には湾岸地域のみならず、アラブ世界全体の安定化のための賢明な声となる役目があると強く信じているからだ」と、アル・ハジュラフ氏は語った。

エジプトもまた、地域情勢やGCCとの関係において、ますます影響力のある役割を果たしていくだろう、とアル・ハジュラフ氏。「エジプトはアラブ世界の中心で、歴史的な役割を担っている。GCCは安定化を目指し、地域の文明化と平和と安全の維持という目標の実現のために努力している。つまり、エジプトとGCCはすでに協力し合ってきたのだ。あとは、この関係を制度化していく必要がある」

GCCは今回のサミットで、モロッコの西サハラに対する権利を認める国連決議と、隣国アルジェリアを疎外するリスクを考慮しても、「安全、安定、領土の一体性」を必要としていることを支持する立場を改めて表明した。「最初からずっと、それが我々の見解であり、信条だ」と、アル・ハジュラフ氏は主張した。

第42回サミットでは、加盟国のうちUAEとバーレーンの2ヶ国はイスラエルと関係を正常化しているにもかかわらず、GCCはこれまで通り、パレスチナの人々と1967年ラインでの二国家解決の権利を支持することを再確認した。

「2ヶ国はアブラハム合意に基づき、イスラエルと和平協定を結んだ。我々はそれぞれの国家の決断を心から尊重する。それでも、二国家解決が、この長期にわたる紛争に対してGCCが支持する解決策だ。この紛争は誰の役にも立っていない。パレスチナ人もイスラエル人も現状を維持することで何ら利益を得ているとは思えない」

GCCは二国家解決についてのイスラエル側からの回答を待っているところだが、アル・ハジュラフ氏は、1967年の国境を基礎とすることと東エルサレムをパレスチナの首都とすることは、和平構想に不可欠な要素だと語った。

GCCの共同防衛条約(加盟国への軍事攻撃は連盟全体への攻撃となることを明記している)も、今回のサミットで強調された。アル・ハジュラフ氏は、1990年にイラクがクウェートを攻撃したときと同様、この条約は今後も「拘束力を持ち」続けると述べた。

アル・ハジュラフ氏は、イエメンのフーシ派武装組織に対するイランの継続的な軍事支援が現地の状況を悪化させ、不必要に民間人の犠牲を増やしていると非難し、GCCは米国と国連のイエメン特使による和平追求の努力と、オマーンの役割とをともに全面的に支持していると語った。

また、過去50年間イランに占領されてきたアラビア湾内のUAEの島の領土問題は、対話と交渉、国際裁判を通じて解決されるべきだとアル・ハジュラフ氏は付け加えた。

また、ウィーンで行われているイランの核開発計画をめぐる交渉にGCCはもっと関与すべきだとアル・ハジュラフ氏。対話はイラン政府の同地域における攻撃的な拡張主義政策も含むべきだと語った。

「これは1つのパッケージとしてとらえるべきだ。ウィーンでの会談の議題はJCPOAの再開のみに限定されるのではなく、すべての問題を一挙に扱うべきだ。我々も交渉への参加を要求している。イランの核開発は1万マイル離れた米国政府には影響はなくても、我々には影響があるからだ。イランの持つ核戦力や施設から100マイルしか離れていないのだから」

アル・ハジュラフ氏は、レバノンの人々を支持するGCCの立場を改めて強調するとともに、ヒズボラとイランがレバノンの内政に及ぼしてきた影響や、政治エリートによる怠慢が続いていることを批判した。「彼らはまず、自分たちでどのように窮地を抜け出すかを考え始める必要がある。それから、外部に助けを求めるべきだ」

2021年1月のアルーラ・サミットでGCC内の分裂や相違は決着がつき、先週のサミット以前に同連盟の「新たな始まり」がムハンマド・ビン・サルマン皇太子の地域訪問によって固められたとアル・ハジュラフ氏は主張した。

「これらは非常に重要な出来事であり、問題を乗り越えたことに非常に満足している。今後、前に進んでいくことが楽しみだ」と、彼は語った。

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