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人間による活動増加が宇宙の持続可能性を脅かしていると、COP28で専門家が警鐘

「宇宙における持続可能性」に関するパネルにおいて講演者らは、毎年打ち上げられる人工衛星の数が大幅に増加しているなか、従来は政府主導でのみ行われてきた宇宙探査計画に民間セクターが参入したことで、状況が複雑化していると述べた。AN Photo
「宇宙における持続可能性」に関するパネルにおいて講演者らは、毎年打ち上げられる人工衛星の数が大幅に増加しているなか、従来は政府主導でのみ行われてきた宇宙探査計画に民間セクターが参入したことで、状況が複雑化していると述べた。AN Photo
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04 Dec 2023 02:12:43 GMT9
04 Dec 2023 02:12:43 GMT9

ハイファ・アルシャマーリ

ドバイ:ドバイで行われているCOP28にて、専門家らは宇宙の持続可能性に対する脅威を強調し、人間の活動増加により高まる影響を浮き彫りにした。

「宇宙における持続可能性」に関するパネルにおいて講演者らは、毎年打ち上げられる人工衛星の数が大幅に増加しているなか、従来は政府主導でのみ行われてきた宇宙探査計画に民間セクターが参入したことで、状況が複雑化していると述べた。

一流保険企業ロイズ・オブ・ロンドンのブルース・カーネギー・ブラウン会長は、「今や地球の低軌道上にはおよそ9,000基の人工衛星が存在しており、この2年間でその数は倍になっています。リスクは高まっており、潜在的な衝突の頻度や、その結果として発生するデブリの数も大幅に増加しています」と述べた。 

さらにブラウン氏は、「我々はあと付けではなく、最初からそれぞれが自分たちの行動の後始末まで行うように義務づける形で、状況を整備していく必要があります」と続けた。 

英国の宇宙企業、アストロスケール(Astroscale)の最高経営責任者(CEO)を務めるニック・シェーブ氏は、問題はそれよりさらに深刻だと語る。「グレープフルーツより大きい物体が、宇宙空間には4万個存在しています。お分かりのように、こうした数字には大きなばらつきがあります。なぜかと言えば、多数の断片化がおきているからです。デブリ同士やデブリと人工衛星がぶつかり合い、断片化を起こしているのを我々は目の当たりにしてきました」シェーブ氏はそう説明する。 

デブリは数十年、あるいはそれ以上の長期に渡って宇宙空間に残り続けるなか、宇宙での衝突事故の増加に対する懸念は一層高まっており、不可能ではないにせよデブリの除去は困難だと別の専門家は警鐘を鳴らした。

「海中や地上、あるいは空の場合、物が壊れれば何らかの形で落ちてくるため、それを回収するのは簡単です。これが宇宙で物が壊れた場合、数百年に渡って留まり続けます」

しかし専門家らは、この問題を解決するためのテクノロジーの開発も進められていることを付け加えた。「弊社アストロスケールを含めて、多くの企業がいわゆるアクティブデブリの除去技術の開発を進めています」シェーブ氏は語る。

シェーブ氏は、こうしたテクノロジーは軌道上に打ち上げられてデブリを間近で評価し、ロボットあるいはその他の技術で確保して低軌道上まで引き下ろし、地球の大気圏へと廃棄すると説明する。

さらにシェーブ氏は次のように続けた。「我々としては、今後に向けて別の形でのデブリの廃棄方法を模索しています。現時点で我々は、証明段階にあるテクノロジーを数多く抱えています」

現状では唯一の宇宙の居住者である宇宙飛行士たちでさえ、宇宙を守るために非常にたくさんのことを行うべきだと考えている。

「私たちが人為的な気候変動の問題の一部なのか、それとも解決策の一部なのかと問われれば、私は単なる持続可能性の大使に過ぎないという罪を進んで認めたいと思っています。私たちにもっとできることは何でしょうか。持続可能な地球のための宇宙の持続可能性について私たちのセクターは、単に言葉で言うだけでなく、もっと何を示していくべきなのでしょうか」英国宇宙庁の予備宇宙飛行士で、探査商業化主任のミーガン・クリスチャン氏はそう述べた。

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