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米国はイスラエルのガザでの戦争を擁護し、全ての市民の犠牲の責任はハマスにあるとした

イスラエルの攻撃で父を亡くし、嘆き悲しむパレスチナ人の少年。(ロイター)
イスラエルの攻撃で父を亡くし、嘆き悲しむパレスチナ人の少年。(ロイター)
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10 Nov 2023 08:11:26 GMT9
10 Nov 2023 08:11:26 GMT9
  • 米国政府の中東人道問題担当特使であるデビッド・サターフィールド氏は、ガザに搬入される援助物資の量は、生存のために最低限必要な量にも程遠いという
  • 「我々はイスラエルを強く支持する。(しかし)作戦がどのように遂行されるかが問題だ。そして、作戦は可能な限り最大限に、市民の犠牲を最小化する方法で遂行されなくてはならない」と、同氏はいう

レイ・ハナニア

シカゴ:最近就任した米国の中東人道問題担当特使のデビッド・サターフィールド氏は9日に、現在のガザでの戦闘期間における全ての市民の犠牲の責任はハマスにあるとした。

また、同地のパレスチナ人市民への人道支援は目下のところ、生存のために必要な「最低限」にも程遠いことを認めた。

アラブニュースが出席した記者会見の中でサターフィールド氏は、現在、毎日約100台の支援トラックがガザに入っているが、現地で悪化していく人道危機に対応するために必要な最小限となる1日150台には遠く及ばないと述べた。

同氏は、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエル軍による暴力激化の報告に関する質問に回答することを拒んだが、米国政府はガザでハマスを掃討するためのイスラエル軍の作戦を支持すると、改めて述べた。

「現在の状況下でできる限り、ガザ南部および中部のパレスチナ市民のニーズを満たすため、なるべく継続的かつ持続可能な形で、人道支援を運ぶことに注力している」と、サターフィールド氏は語った。

「ここで指摘しておきたいのは、我々はほんの2週間半、3週間前にゼロから始めたということだ。今までに1日およそ100台のトラックにまで支援のレベルを高めてきた。適切な、国連が必要だとする基本的な人道支援をガザ南部に運び入れるために、より高いレベルの支援を検討している」

「3週間前、南部の国連の支援スタッフが利用できる燃料がなかった。現在では、海水脱塩プラントでの使用、南部および中部の各病院への供給、国連の支援スタッフ自身の移動のための燃料がガザで手に入る」

「そして、これを進める中で、国連、UNRWA (国連パレスチナ難民救済事業機関)、ICRC(赤十字国際委員会)、世界食糧計画が利用できるさらなる燃料を確保するため取り組んでいる」

現在パレスチナ人に提供されている人道支援は「ほんの手始め」だと表現したサターフィールド氏は、続けてこう述べた。「1日150台のトラックが入っても、生存のための基本的人道支援を提供するのに最低限の分にしかならないことを理解している。それよりはるかに多くが必要だ」

イスラエルによる4週間以上にわたるガザへの爆撃で増えていくパレスチナ人の死者数に関して質問を受けたサターフィールド氏は、市民の死はガザでの15年にわたるハマスの攻撃性の結果だとして、イスラエル軍の作戦の具体的問題に触れることを拒んだ。

ガザの保健当局によると、この1か月でイスラエルのガザへの爆撃により、4,000人もの子どもを含む10,000人以上のパレスチナ人が死亡しており、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は今週、ガザは「子どもたちの墓場となりつつある」と述べた。

サターフィールド氏によると、米国のジョー・バイデン大統領はイスラエル当局と緊密に連携し、「明確に認識できる戦闘から保護されるべき人道的な場所が攻撃を免れられるような、市民の犠牲をできる限り最小限にするやり方で作戦を遂行することが必要だと訴えようとしている」。「しかし、言っておかなくてはならないのは、15年、16年の間、ハマスはこういった人道的な場所の多くの内部、周囲、地下に意図的に入り込んできたということだ。それがこの種の作戦の複雑さを大いに増大させている」という。

同氏は加えてこう述べた。「イスラエルが、権利であるだけでなく責務でもある目標を達成できるよう願っている。このテロ組織(ハマス)がイスラエ人にもたらす脅威を終結させ、彼ら(ハマス)がその幸福について少しも気にかけないガザの市民にもたらしてきた脅威を終結させるという目標だ」

「しかし、どのように行うかが非常に重要だ。そして人道支援は必須で、終始必要不可欠だ」

サターフィールド氏は、米国の支援の取り組みは、北部におけるイスラエル軍の活動から逃れてきたガザ中部および南部の市民に対する支援提供に重点を置くものだと述べた。そして、米国政府はパレスチナ人のガザからの強制退去を支持しないと述べた。

「ガザの住民の未来はガザにあり、他のいかなる場所にもない」と同氏は語った。「根本的原則の問題として、我々はガザの住民の移住を支持しても、望んでもいない」

「現在南部にいる人々には、戻っても安全な状況となった時に北部に戻るためのあらゆるチャンスがあるべきだ」

米国は、ヨルダン川西岸地区のパレスチナの指導部が最終的にガザの統治権を引き受けるようになることを期待していると述べたサターフィールド氏は、バイデン政権は二国家解決を引き続き支持するとして、それに向けた詳細やプロセスを「模索していかなくてはならない」と述べた。

同氏は、バイデン氏のイスラエルへの支持を改めて表明し、同国には「ハマスがもたらす脅威を終結させるという自国民に対する責任がある」と述べた。

さらにこう述べた。「我々はこの目標の達成に向けて取り組むイスラエルを強く支持している。しかし、同様に確信してきたことは・・・作戦がどのように遂行されるかが問題だということだ。そして、作戦は可能な限り最大限に、市民の犠牲を最小化する方法で遂行されなくてはならない」

「さらに、できる限り安全で確実な形で、なるべく多くのガザの人々に、最大限の人道支援が提供される必要があるとも考え、そのことを明確にしてきた」

「ハマスが過去15年にわたってガザでしてきたことの性質を考えると、実現は難しい。しかし、これらの課題にまとめて対処する必要があり、市民の犠牲を最小限に抑え、人道支援の提供を最大限にする形で作戦が行われなくてはならない」

150万人以上のパレスチナ人がイスラエル軍の弾幕を前にして自宅から避難したことを、各報告が示している。サターフィールド氏は、米国とイスラエルが9日に発表した毎日4~5時間の人道的交戦停止について認識しているとした上で、これによってより多くの人道援助がガザに搬入され、北部の暴力を逃れてきたガザ南部および中部のパレスチナ人に届けられるようになることを期待していると述べた。

同氏は、国境沿いで激化するイスラエルとヒズボラの戦闘の脅威についてコメントすることを拒み、ヒズボラとイラン政府は「大統領の非常に単刀直入なメッセージを理解している。そのメッセージとは、この紛争の拡大の可能性について検討する地域の者たちに対して、止めろ、止めろ、止めろと言うものだった」とだけ述べた。

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