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リビアの指導者ら、現体制に固執 国連「彼らに好都合」

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16 Feb 2024 08:02:46 GMT9
16 Feb 2024 08:02:46 GMT9
  • アブドゥライ・バティリ特使は、指導者らが平和に向けた舵取りに失敗していることにリビア国民が不満を持っていると述べた
  • 投票が無期限延期となってから2年以上となるが、選挙法の草案を巡り派閥間の分裂が続いている

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク市:15日、国連のリビア特使は次のように語った。ムアンマル・カダフィ政権を打倒した革命から13年経つが、リビアが立ち向かい続けている課題がある。持続可能な平和と民主主義のとらえどころのない探求と政治的混乱だ。

アブドゥライ・バティリ特使が嘆いたのが、リビアの現状が凝り固まっていること、主要な組織指導者の間で行き詰まりが続いているために、待望の国政選挙に向けた進展が妨げられてきたことだ。

2月17日に起きた2011年リビア革命の記念日を前にして安全保障理事会の会合が開かれ、そこでバティリ大使は、リビアの指導者らが平和と進歩に向けた舵取りに失敗していることに、リビア国民の間に不満が広がっていると語った。

バティリ大使は次のように語った。代表議会(HOR)と高等国家評議会(HSC)の6+6共同委員会が、選挙に向けた憲法・法律の枠組みを策定する作業が2023年に完了したにもかかわらず、国内のいずれの主要派閥も「当初の立場から大きく動かず、それぞれがひたすら協議への参加の前提条件を明示している。これは現体制を維持する手段であり、その方が自分たちにとって都合が良いのだろう」

政治的な行き詰まりが2つの政府の間で続いている。国連が承認しトリポリに本部を置くドベイバ首相率いる国民統一政府(GNU)と、リビア東部の国民安定政府(GNS)だ。GNSは、オサマ・ハマド首相が率いており、ハリファ・ハフタル将軍が指揮するリビア国民軍や代表議会(HOR)と連携している。

当初2021年12月に予定されていた選挙が無期限延期となって以降、この対立する2つの政権間の行き詰まりは続いてきた。それ以来行われてきた調停の取り組みで重点が置かれているのは、政府統一を目的とした国政選挙の新たなロードマップについて合意を促すことだ。

2023年3月、GNUが連携する高等国家評議会(HSC)とHORは、それぞれの代表6人で構成される6+6共同委員会を設立し、選挙の実現に必要な選挙法の起草を任務とすることになった。しかし両グループの指導者らは、草案のさまざまな面で合意に達することはできなかった。

バティリ大使は両グループの見解の相違を以下のようにまとめた。サーレハHOR議長は統一政府の樹立を優先し、HORを唯一の正当な政治機関として承認する必要があることを強調し、対立する2つの政府を統合するか一方を完全に排除する場合にのみ協議に参加するとしている。それに対し、高等国家評議会のモハメド・タカラ議長は、HORが発表した選挙法を拒否し、以前の案に戻すよう主張している。

ドベイバ首相は、GNUの監督下で選挙が実施されるまで自身が首相にとどまることを主張している。一方、ハフタル将軍とリビア大統領評議会議長のムハンマド・アル=メンフィ氏の間には、両政府を協議に参加させることについて意見の相違がある。

「今後前に進むために必要なのは、2021年の選挙実施を妨げたあらゆる問題の解消を、利害を異にする主要な組織の間で交渉と政治的解決を通じて行うことです」。バティリ大使はこう述べ、すべての派閥に対し前提条件を設けずに協議に参加するよう促した。

また彼は、利害関係者の不安や懸念に対処する必要があることを強調した。必要となる措置には、暫定的な仕組みをつくって「透明性の高い管理と公平なリソース配分、候補者全員に公平な競争条件を提供する保護措置、選挙が勝者総取りの状況となって他の候補者が不利益を被らないことの保証」を確保することが挙げられるという。

バティリ大使はリビアへの地域支援の重要性を強調し、国際社会による「統一的かつ協調的なアプローチ」を改めて求めた。

また移民、難民、亡命希望者の人権、人道ニーズ、保護についても懸念が高まっているとし、ここ数週間でリビアに入国する南スーダン難民の数が大幅に増加しているとの報告が上がっていることに触れた。

リビアとスーダンの国境地帯や国営の収容センターにいる難民に対して、国連機関が十分にアクセスできない事態が続いているとバティリ大使は述べ、リビア当局に対し「保護が必要なすべての人々に完全かつ自由にアクセスできるようにする」よう求めた。

また、リビアと近隣諸国との国境を越えた移民・難民の集団追放が続いていることに警鐘を鳴らし、すべての関係国の当局に対し「国際法違反である強制追放を今後やめる」よう改めて求めた。

さらに「とりわけ悲惨な状況にあるビル・アル・ガナム収容施設やアル・アッサ収容施設など、リビアの収容施設でのあらゆる法令違反と虐待の疑いについて全面的な立ち入りと独立した調査を行う」よう繰り返し求めた。

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