• 数十万人が、容赦ない砲撃の中、食料も水もなく、マリウポリ市内で身動きが取れなくなっている
• シリアとチェチェンで戦い、クリミア掌握作戦に参加したロシアの将軍が殺害された

キエフ/リヴィウ：ロシア政府は7日、空爆や砲撃から逃れるウクライナ人に退避ルートを提示したが、その退避先はロシアか同盟国のベラルーシに限定した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の報道官は、この提案を「全くもって非道徳的」だと表現し、ロシアは「人々の苦しみを利用してテレビ映像を作ろうとしている」と述べた。

「彼らはウクライナの市民であり、ウクライナの領土に避難する権利があるはずだ」と同報道官は述べた。

ロシアの提案は、ウクライナとロシアの交渉官による3回目の和平交渉を前にして発表された。それまでの交渉では、人道的アクセスを認めるという約束以外の成果はほとんどなく、この約束も実現していない。

ロシアに包囲された南部の港湾都市マリウポリで2日間にわたって停戦が実現しなかったことにより、数十万人が容赦ない砲撃の下で、食料も水もなく身動きが取れなくなっている。キエフ州マカリヴの町では、パン工場に対するロシアの空爆により、少なくとも13人の市民が死亡した。

ロシアとウクライナの代表団が停戦協議のために集まる中、ウクライナのある交渉官は、ウクライナに対する攻撃を止めるようロシアに要求した。国連は、攻撃により、170万人の難民が発生したと発表している。

7日にウクライナとロシアの交渉官の間で行われた3回目の和平交渉の後、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は国連安保理に対し、ロシアは8日の朝に停戦を実施し、キエフ、マリウポリ、スムイ、チェルニヒウから離れる人道的回廊を開くと伝えた。ゼレンスキー大統領は懐疑的な見方を示し、人道的回廊での合意の代わりに、ウクライナが7日に得たものは「ロシアの戦車、ロシアの多連装ロケット砲、ロシアの地雷だ」と述べた。

双方は7日、3回目の協議を行い、出席したロシアの交渉責任者のウラジーミル・メディンスキー氏はその後、戦争を終結させる政治的解決に向けた進展は何もなかったと述べた。トルコの外相によると、両国の外相は10日にトルコで会談する予定だという。

「民間人に対する大規模な暴力が差し迫っていることについて議論の余地があると本気で信じている国の代表と協議を始めることになる」と、ウクライナの交渉担当者のミハイロ・ポドリャク氏が述べた。「そうでないことを証明しよう」

ロシア軍部隊は、ベラルーシから南へと進軍するのに遅れが生じていた数日間を経て、「キエフに猛攻撃を仕掛けるためのリソースを蓄積し始めている」と、ウクライナ軍参謀は述べた。ウクライナは、激しい攻撃に晒されているキエフ近郊のイルピンから民間人2000人が避難したと発表した。

マリウポリでは、セルゲイ・オルロフ副市長が、同市に対して立て続けに空爆が行われていると語った。オルロフ副市長は、当局は6000人を避難させる準備を整えたものの、ロシア軍が輸送のためのバスを爆撃したと語った。

ウクライナ政府は、同国の軍が、数日間におよぶ激しい戦闘の舞台となった北東部の町チュグエフと、戦車による砲撃を受けたと州知事が発表していた南部の戦略上重要なムィコラーイウの空港を奪還したと発表した。

英国王立防衛安全保障研究所のアナリストのエド・アーノルド氏は、攻撃のペースが上がらない限り、ロシアはこれまでの前進を確固たるものにし、さらなる部隊を動員するために、一時停止する必要に迫られるだろうと述べた。

「現在のロシアの戦死率では…この作戦は約3週間以内に持続不可能になる兆候がある」と、同氏は述べた。

ウクライナ軍情報機関は、ロシア軍が侵攻開始以降掌握しようとしてきたウクライナ第2の都市ハリコフ周辺での戦闘で、ロシア軍の将軍が死亡したと発表した。

同情報機関は、死亡したのはヴィタリー・ゲラシモフ少将45歳で、シリアやチェチェンでロシア軍と共に戦い、2014年のクリミア掌握作戦に参加した人物だと述べた。

同少将の死亡を独自に確認することはできなかった。ロシアはコメントを出していない。

戦闘ではこれに先立って別のロシア軍の将軍も死亡した。ロシアの現地将校組織は、ロシア第7空挺師団長であるアンドレイ・スホベツキー少将がウクライナで死亡したことを確認した。

スホベツキー氏は、ロシアのシリアでの軍事作戦にも参加していた。

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は7日、リトアニアとラトビアを訪問し、ロシアが軍事作戦を拡大した場合の安全保障について、両国と、8日に訪問するエストニアが抱いている不安を鎮めた。バルト三国は、1991年に再び独立するまで、何十年にもわたるソ連の占領に耐えてきた国々だが、EUとNATOの加盟国となっている。

ブリンケン国務長官は、NATOの相互防衛協定に対する米国の義務は「神聖なもの」であり、NATOと米国はバルト三国に部隊を恒久的に駐留させることを議論していると強調した。

欧米の経済制裁と戦争に対する世界的な怒りの声に対応して、ますます多くの多国籍企業が、ロシアを重要な金融サービスや技術、様々な消費者向け製品をロシアから切り離している。

いわゆる4大会計事務所のうち、KPMGとプライスウォーターハウスクーパースの2社は6日、ロシアから撤退し、同国に拠点を置く会員企業との関係を解消すると発表した。

TikTokは、政府がSNS上で侵略に関する人々が発言できる内容を取り締まったことに対応して、ユーザーはロシア国内で新しい動画を投稿できなくなると述べ、アメリカン・エキスプレスはロシアとベラルーシでの全ての事業を停止すると発表した。ネットフリックスもロシアでのサービスを停止すると発表した。

ロイター通信/AP通信