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生活環境悪化で、救いを求めるスーダン国民

ハルツームの市場でフルーツを並べる野菜売り。スーダン国民は、政府の失策により、何十年にもわたって経済的苦境に陥っている。(AFP)
ハルツームの市場でフルーツを並べる野菜売り。スーダン国民は、政府の失策により、何十年にもわたって経済的苦境に陥っている。(AFP)
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21 Mar 2022 05:03:13 GMT9
21 Mar 2022 05:03:13 GMT9

ハルツーム:スーダンの教員であるバビカー・ムハンマド氏は、わずかな収入でかろうじて家族の生活をまかなっている。しかし昨年の軍事クーデター以来、もはや生活していけるかどうかさえもわからない。

スーダンの多くの人々と同様ムハンマド氏も、生活必需品不足、新たに導入された税、燃料・電気・食べ物の急激な物価上昇に悩まされている。昨年10月に起きた、アブドゥルファッターフ・ブルハン・アブドゥルラフマーン・ブルハン将軍率いる軍事クーデター以降ずっとだ。

「クーデター以前は100スーダン・ポンドで20個のパンが買えました」と、6人家族を養うムハンマド氏は言う。

「パンだけで月2万7000ポンドの出費で、給料(3万スーダンポンド<50ドル>)の90パーセント相当です」と彼は言う。

「もう子供たちを学校に行かせられるかどうかわからない」。

ムハンマド氏は、生活環境の悪化に反対し今週ストライキに入った教師たちに加わった。

スーダンで起きた直近のクーデターは、2019年にオマル・アル=バシール前大統領が失脚した後、文民と軍の指導者の間で苦労して協議してきた政権移行を覆すもので、これにより米国からは壊滅的な制裁を受け、国際的に孤立することとなった。

また、国際的非難と制裁措置を引き起こし、米国、世界銀行、国際通貨基金が、貧困国であるスーダンにとって不可欠であった援助を停止した。

スーダンの輸出は激減し、外貨不足が報告され、米国や欧米の国際的な取引先との関係を再構築しようとする銀行の取り組みは、ピタリと止んでしまった。

経済学者のスマヤ・サイード氏は、「10月25日から禁輸措置が復活したようなものだ」と語った。

デモ参加者は今週、生活環境の悪化に反対する集会を何度も開いた。

スーダン国民は、政府の失政、内戦、2011年の石油資源の豊富な南スーダンの独立により、何十年にもわたって厳しい経済的苦境に耐えてきた。

バシール前大統領自身は、当初パンの価格の3倍化に端を発した数カ月の街頭抗議を経て、2019年4月に失脚した。

ハルツームのパン屋経営者協会のスポークスマンであるエッサメディン・オカーシャ氏は、パンの価格は 「人々の手の届かないところ 」まで急騰していると述べた。

オカーシャ氏は、この値上げは運営費の増加によるものだと考えている。

スーダンはまた、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な供給不足の影響を特に受けやすい国でもある。

スーダン北部のデモ隊はここ数週間、電気料金の大幅引き上げを受けて、エジプトとスーダンを結ぶ重要な貿易路を封鎖している。

1月、スーダン当局はセクターを問わず電気料金を大幅に引き上げ、一般家庭の電気代は約500%に値上がりした。

スーダン政府は、クーデターによって頓挫した政権移行期には、すでに燃料補助金を廃止する計画に着手していた。

燃料価格は過去1年間に何度か値上げされている。

土曜日のガソリンスタンドでのガソリン価格は、1リットルあたり672ポンド(1.50ドル)で、クーデター前の約320ポンドから上昇した。

多くの地元企業の経営者が営業停止を余儀なくされている。

北ハルツームの食品工場経営者は匿名を条件に、「一家の稼ぎ手である女性を中心に、約300人の従業員を解雇した」と語った。

「電気代や生産資材の値上げについていけなくなったのです」

経済学者のムハンマド・アル・ネイヤー氏は、スーダンは 「ショック状態 」であると言う。

「2022年予算に国際援助や融資がないことが悪影響を及ぼしている 」とし、財政計画が増税に大きく依存していることを指摘した。

「税金は現在、予算の58%を占め、物価を急激に上昇させ、国を不況に追い込んでいるのです」

スーダンは3桁台のインフレ率に悩まされおり、2月には258%に達した。

「政府がインフレ率を下げることは不可能で、500%にまで跳ね上がるだろう」とネイヤー氏は予想する。

AFP

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