• ロシア政府、ルハーンシクとドネツクに軍を再配備
• 米国はプーチン大統領の娘らに制裁

キーウ：ウクライナは6日、東部の住民に対し、同地域にロシアが新たな大規模攻撃を仕掛ける前に避難するよう呼びかけた。

ウクライナ北部のロシア軍は首都キーウの制圧に失敗し後退を余儀なくされていたが、ハリコフ、ルハーンシク、ドネツクへの再配備を前に再集結を行っていると見られている。

ウクライナのイリナ・ヴェレシュチュク副首相は同地域の住民に対し、ただちに西部のより安全な地域に避難するよう呼びかけた。「今後は住民の皆さんに攻撃が及び命の危険に曝されることになるため、ただちに避難を行ってください」。ヴェレシュチュク副首相はそう語った。

ウクライナ軍によると、ロシア軍はドネツクとルハーンシクの完全制圧を狙ってウクライナ東部への攻撃準備を継続しているという。ロシア軍の一番の狙いは、依然として同軍が完全制圧を試みているマリウポリのあるドネツクだという。

南部の港町であるマリウポリでは、依然として数万人が食料、水、電力のない状態で身動きが取れない状況が続いている。

「マリウポリの人道状況は悪化している」と英国の軍情報部は述べている。赤十字は、自力で逃げ出したマリウポリの住民500人以上が乗ったバスおよび民間車両をザポリージャ付近に先導したと発表した。

6日、ウクライナのその他の主要都市にロシアが砲撃を仕掛ける中、米国はロシアのウラジーミル・プーチン大統領の娘らを対象にした罰則を含めた新たな制裁を実行した。また、ロシア軍がブチャを再制圧する前にウクライナの民間人を虐殺したとされるさらなる証拠が見つかっている。

ローマ教皇フランシスコはこれを「虐殺」だと述べ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアを抑え込むために西側諸国はもっと行動を起こす必要があると発言した。「ロシア兵のこれまでの行動に対し、優柔不断な態度は容認できません」とゼレンスキーは述べた。西側諸国の一部のリーダーたちは、「未だに戦争および戦争犯罪は金銭的損失ほど恐ろしいものではないと考えています」

米国はロシアの銀行および政府関係者に対し新たな制裁を発動し、米国民によるロシアへの投資を禁じた。今回の制裁では、ロシアの銀行資産の3分の1を保有するロシア貯蓄銀行と、同国の金融機関としては4番目の規模を持つアルファ銀行が対象となった。

さらに米国政府は、プーチン大統領の成人の娘2人、セルゲイ・ラブロフ外相の妻および娘、ロシアの安全保障理事会メンバーらに対しても制裁を発動した。「ブチャでの残虐行為に関してロシアが即刻重大な代償を支払うべきだということをはっきりさせました」。ジョー・バイデン大統領はそう発言した。

英国もロシア貯蓄銀行の資産凍結を行い、年末までにロシアからの石炭輸入を禁じると述べている。

ロシアは制裁による外国為替取引の遮断が続く限りドル建て国債のルーブル支払いを続けると述べており、国際債務のデフォルトが現実味を帯びてきている。

ロイター/AFP